オリエンシートをつくってみる [2009年03月17日(Tue)]
オリエンシート(デザイン依頼内容をまとめた紙)に沿って説明することで、 「言った/言ってない」の問題に発展することも、 「言い間違い/聞き間違い」することも、 「言い忘れ/聞き忘れ」することもありません。 そしてなによりも、 「なんだこりゃ」なデザインがあがってくる確率が減り、 デザイン内容のギャップが少しでも無くなれば、 結果として制作進行の効率化につながります。 |
オリエンシートの基本は5W1H。
(1)Why/なぜ? (2)Who/誰に? (3)When/いつ使う? (4)What/何を? (5)Where/どこまで? (6)Howmuch/いくらで? (7)When/いつまでに? (8)Who/誰が? 最低限、書いていただきたいのはこの8つです。 いずれも箇条書きでOKです。 (同じWを使い回しており、分かりにくくてスミマセン) 準備のコツでお伝えしたワーク内容と重複するところもありますが、 それはそれで参考にしていただきつつ、 それぞれ、具体的に何を、そしてどこまで書けばいいのかをご説明します。 あ、ちなみに、これはこのブログ全般に言えることですが、 あくまで広報担当一年生さん向けに書きますので、 専門的なところまではカバーしておりません。 玄人な方やプロな方は、「オリエンシート」「RFP」などでネット検索して、 もっと詳しい資料や情報をゲットしてください。 ところどころ「A4サイズのチラシ」を例にとって、ご説明していきます。 まずは、 (1)Why/なぜ? ここでは、「経緯」と「現状の課題」、そして「達成像」を書いてください。 ・経緯 今回の制作物に至った背景と、かける想いについてまとめてください。 例; ・インターネット環境を持っていない人にも告知したい云々 ・いままでのチラシのイメージから脱却したい云々 などなど ・現状の課題 既存のものがあれば、現在抱えている問題点と、 うまくいっていることをまとめてください。 例; ・いままでのチラシは文字中心で読みづらい&手に取ってもらいにくい ・キャッチコピーは評判がよい などなど ・達成像 この制作物を通じてどんな成果を達成したいか、という「ゴール」です。 叶えたい成果や得たい効果、成功のイメージを書き出してください。 例; ・チラシからの集客を○人達成すること ・信頼感や安心感のある団体イメージを定着させたい ・これまでアクセスのなかった層からの参加を達成させたい などなど これら3つの要素は、デザインボランティアにとっての心の燃料となります。 デザインする理由があればあるほど、デザイナー魂が燃え上がります。 (2)Who/誰に? ここでは、「ターゲット層」を書いてください。 どんな人に向けての制作物なのか、 その制作物を喜んでくれる人はどんな人かを 3〜4グループに分けて、 ・属性(職業、所属) ・その職業は何年目で、役職などがあれば ・彼らが困っていること ・彼らが悩んでいること ・彼らが知りたがっていること ・団体の認知レベル(知っている/知らない) ・団体の接触レベル(未接触/はじめて接触/何度も接触) ・団体で扱う問題に関する知識レベル(小学生〜教授) を書き出して下さい。 記入後、 ・各グループの優先順位 を決めて下さい。 難しければ、 ・属性(職業、所属) ・彼らが困っていること ・団体で扱う問題に関する知識レベル(小学生〜教授) 最低この3つを絞り出してください。 (3)When/いつ使う? 今回の制作物は、どんなシチュエーションで使用するものですか? チラシであれば、 ・場所 ・手渡し/設置 ・求める効果 ・制作部数の使用内訳 などを書いて下さい。 ターゲットとシチュエーションについて、ひょっとしたら 「なぜ、そこまで書かなければいけないの?」 とお感じになられるかもしれません。 その理由をご説明したいところなのですが、 ボリュームが大きくなりそうなので、すみません、ここでは割愛いたします。 (4)What/何を? 今回つくりたいものの名称と、仕様を説明してください。 例; 名称:○○イベント広報のためのチラシ サイズ:A4 印刷仕様:両面印刷(表面カラー、裏面モノクロ) 部数:1000部 つくるものの基本的な情報となります。 「口頭でもいいじゃない?」と思われがちですが、 明文化を怠ってしまうと伝達ミスにつながる恐れがありますし、 時間が経った上でその伝達ミスが発覚すると、 取り返しのつかないことになりますのでご注意を。 (5)Where/どこまで? NPOとデザインボランティアの役割分担を明文化しましょう。 つまり、今回デザインボランティアにどこまでの業務をやってもらうか、 ということをオリエンの段階で定義しておきましょうよ、ということです。 例; NPO:写真素材準備、テキスト原稿制作、印刷会社交渉、など デザインボランティア:素材加工、デザインラフ制作、最終版下制作、入稿作業、など 準備のコツの中でも触れましたが、ここが曖昧のまま制作進行してしまうと、 「この作業は、あなたがやってくれるものだと思っていたのに」 というセリフをお互いが言い出す状況になりかねません。 お願いしたいことが(気が引けてしまうほど)たくさんあったとしても、 「ここまではできるけど、ここから先はお願いします」と 早め早めに本音を伝えることがポイントです。 (6)When/いつまでに? 依頼から完成までのスケジュールを踏まえた上で、 最初のデザイン提案をいつ実施すればいいか、明記してください。 例; 1stデザイン提案:○月○日頃(一週間後) デザイン検討:1週間程度 入稿・納品:1週間程度 「デザインボランティアの都合次第だし、決められないなあ」 という考えをしてしまいがちですが、 コーディネート主体はあくまであなた、ですので、 相手にスケジュールを委ねるのではなく、主体的に提案するようにしてください。 (7)Howmuch/いくらで? 今回の報酬について明記しましょう。 報酬はあるべき、ということを言いたいわけではなくてですね、 あってもなくても明記しましょう、と。 特に交通費や材料費、出力代などの実費については曖昧にしないように。 もし都合の悪いことがあれば、 「○○円までなら実費弁償可能ですが、それ以上は持ち出しになります・・・」 など本音も含めてエクスキューズしてみてはいかがでしょうか。 お金の話は、先の役割分担以上に、後々揉める火種となりかねません。 早め早めに確認し合いましょう。 (8)Who/誰が? デザインボランティアの窓口になる方のお名前を1人、明記してください。 担当窓口の役割は、 ・NPO内の意見や決定事項を集約してボランティアに伝える ・デザイン素材を集約してボランティアに渡す ・ボランティアからの質問や提案を受けつける などが挙げられます。 組織とボランティアの橋渡し的役割ですね。 この担当窓口が決まっていないと、ボランティアにとっては ・誰に質問すればいいか分からない! ・デザイン素材がいろんな人から送られてくる!(しかも重複してるし!) ・いろんな人からいろんな意見がきて、どれが決定事項か分からない! などの混乱状態になってしまいます。 もちろん、担当窓口を一人設けることにより、 意見集約や素材集約に時間も手間もかかってしまいます。 でも、その負担をボランティアに押しつけることによって生じる業務ミスや、 そのミスを挽回するコストを考えると、妥当なコストだと私は思います。 以上がオリエンシートの基本型です。 次の記事では、「さらに上を目指す人」向けのオリエンシート項目をご紹介します。 |