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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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完全にデジャブ 柔軟化と称しての規制強化提案を許すな [2022年12月23日(Fri)]
前回お話した会計研究会の行った混乱は次のステップを踏んでいます。

1.制度を理解しないままに、法令上の根拠が不明確な規制(以下「幽霊規制」という)を前提とする。
2.当該幽霊規制を少しだけ、緩和して、緩和策として発表。
3.結果的に元の制度よりも厳しい制度に変化させる。

今回も、幽霊規制を柔軟化することで、結果的に規制強化を「柔軟化」と呼んでいます。全く同じことを繰り返しております。断固として抗議すべきです。

例えば、第4回の有識者会議でのある委員の提案では以下の表現があります。

定期提出書類提出時に変更の認定がされていなくても、認定変更申請(ママ)を提出済(予定)であり、「成長戦略に投資すること」が明らか であれば、新規事業に対する積立等を3号財産若しくは4号財産 として認める


という提案です。これが「柔軟化」として出されています。

これでは全く会計研究会の時と同じではないでしょうか。

公益認定法はどのようになっているでしょうか?
変更認定申請
(変更の認定)
第十一条 公益法人は、次に掲げる変更をしようとするときは、行政庁の認定を受けなければならない。ただし、内閣府令で定める軽微な変更については、この限りでない。
(略)
二 公益目的事業の種類又は内容の変更

事業の実施の段階で、この規定に係わる事業を行う場合には、事前に変更認定申請または事後すみやかに変更認可申請をしなければなりません。

特定費用準備資金のコンメンタール的役割を果たしている第19回公益認定等委員会での解説では、以下の通り、積立の段階では行政庁が係わる必要がないことを明確にしております。

○事務局  特定費用準備資金は、法人が随時こういうものをやりましょうということで決めて頂ければよく、年度途中や、以前からやっているものがあればそれに入れても構わないですし、決算の段階においてこういうことをやっていこうと決めてそこに繰り入れてもらうということでも構いません。(第19回公益認定等委員会議事録)

また、ガイドラインでは、「当該特定の活動の実施に当たっては、変更の認定(認定法第11条)等を要する可能性があることに留意する。」と、変更認定の必要があるときには、「実施にあたっては」と明確に時期(積立て時ではなく実施時)を明示しています。


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公益法人制度改革の「理解が進まず」とは誰の理解のこと? [2022年12月22日(Thu)]

 「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」において大筋は素晴らしい議論が展開されていますが、残念ながら中には大きな前提の誤解によって議論がされている部分もあるように思います。


 それは、「(民間側の)理解が進まなかった」という前提で議論を進めている方がいらっしゃいます。


 確かに、民間側が正確な情報を得ていなかったことは衆目の一致するところかもしれません。


 それを「理解が進まなかった」とするのはいささか無責任であり、責任転嫁ではないでしょうか。


 ごく最近の内閣府は非常に正確な情報を出していますし、誤解を与えるような内容ではないと思います。しかし、それはわずかこの数か月に限られています。こうした情報をずっと出し続けていたのであれば、確かに「民間側の理解が進まなかった」と言ってもしょうがないかもしれません。


 しかし、当局等が「正しい情報を出していない」のであれば、民間側に「理解をさせてこなかった」と言うべきでしょう。その恐れがあるからこそ、内閣府は謙虚さをもって収支相償の誤った指導の事例を集めているのだと思います。


 このところの内閣府は素晴らしいと思います。


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公益法人を増やす方向性こそがFATFとの関係で絶対条件 [2022年12月21日(Wed)]

 公益法人に関する改正を議論する有識者会議の中で、唖然とするほど国際感覚の欠如した意見に遭遇します。


近年の各国の非営利法人制度の改正には、FATFの影響が非常に強くみられます。


当然、FATFとの関係を考えれば、行政との関係が深い公益法人にできるだけ多くの法人がなってもらうことが重要です。


しかるに、「税制上優遇措置のある公益法人で活動がしにくいのならば、一般法人で活動すればよい」と言わんばかりの危険極まりない提案が出されているのです。


これは、国益に反するどころか、国際的な孤立を招きかねない極めて危険な提案だと言えるでしょう。


公益に係わる法人は、簡単に、公益法人(=行政庁の監督下に置く)になれるようにすることが、当然の方向です。


すでに国際社会から非営利組織政策についてのダメ出しの勧告をもらっているのです。


行政庁の関与ができない公益を名乗る法人の増加は、制度設計時の2006年ならまだしも、国際情勢が緊迫化している東アジアの2022年の状況下でそのような法改正をすることは、国際的な批判の対象となることに十分留意すべきです。


まさに亡国の提案です


 内閣府は重ねてFATFに関する注意喚起を近頃行っています。


「FATF 勧告対応法」(=国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第千二百六 十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等 の一部を改正する法律)が成立し、12月9日にそれが公布されたばかりです。


それに沿った議論を有識者会議ではお願いいたします。


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フィランソロピー大会OSAKAの登録方法 [2022年12月09日(Fri)]

既報のとおり12月13日(火)午後2時から「民都・大阪」フィランソロピー会議による第4回フィランソロピー大会OSAKA2022がオンラインで開催されます。


日本では非営利法人格が学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、公益財団法人、公益社団法人、一般財団法人、一般社団法人、認定NPO法人、NPO法人、医療法人、宗教法人等バラバラです。そのことで非営利セクター全体の政策がうまく取れていません。

 民都を目指す大阪は、この問題を解消するために、非営利法人の結集を呼びかけます。


登録・参加は無料です。


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登録方法は以下の通りです。


下記をクリック。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_jYW5vDnbQV6shQR-UGHFvg


画面上にメールアドレス等を記載の上、「登録」を押してください。


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是非ご参加ください。


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