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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公認会計士の「職業的懐疑心」は公益認定審査の弊害 [2022年11月30日(Wed)]

 21世紀に入って会計士が絡んだ虚偽の財務諸表によって世界の資本市場が揺らぎ、その反省から、グローバルな資本市場を安定化させるために財務報告の重要性は非常に高まってきています。IFRS(国際財務報告基準)もしかりです。これらは株主、投資家、金融機関といった「特殊なステークホルダー向け」の会計ですが、これを「一般的」という用語を使って流布させています。投資の判断、融資の判断には「わかりやすい会計」です。一般性を何ら実証することなくこのような用語の跳梁跋扈を許している会計学者にまず猛省を促したいと思います。


 したがって、監査は財務諸表をまず疑うことからはじめられます。そこで公認会計士は「職業的懐疑心」ということを徹底的に叩き込まれています。財務諸表が虚偽であったことから資本市場が揺らいだのですから当然です。数字が正しいかどうかを示す書類を容赦なく要求します。


 ここからが本題です。人間はだれしも思考法にはそれまでの知見に基づいたパターンに支配されてしまいます。公認会計士が公益認定の申請審査を行えば、「職業的懐疑心」を発揮することは仕方がないことでしょう。


 海外へ行かれた方ならご存じと思いますが、税関申告書という「持っていないもの」をチェックしているだけの書類があります。税関で「職業的懐疑心」を発揮したらどのようになるでしょう。


公益認定の申請書は、虚偽申告に非常に厳しい罰則を用意しています。

申請者の中の数字で明らかな矛盾があるものについてはチェックも必要でしょう。


 しかし、申請書の数字をまず疑い、その裏付けを次々と取っていたのでは、大変なことになります。


 申請書の内容が真であることを確認するのが公益認定の審査ではありません。


 提出された申請書の内容を所与として、それが公益認定法の認定基準に合致しているかどうかを確認する作業が公益認定審査です。


 寄付予定者の財力を確認するために確定申告書を求めるなどあっていいはずがありません。


 公益認定をここまで運用上の混乱に陥れた原因を究明すべきでしょう。


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第4回フィランソロピー大会OSAKA開催のご案内 [2022年11月26日(Sat)]

12月13日(火)午後2時から「民都・大阪」フィランソロピー会議による第4回フィランソロピー大会OSAKA2022がオンラインで開催されます。



 そこでは大阪での非営利組織の結集が呼びかけられる予定です。



 大阪では、先ごろ全国に先駆けて、大阪財団社団連合会が発足し、大阪府公益認定等委員会委員として公益法人関係者を推挙することになりました。


 これは「民都・大阪」フィランソロピー会議の議論を経て、昨年の第3回フィランソロピー大会OSAKAでの提言を受けたことによるものです。


 公益法人制度のかなめである、公益認定等委員会委員に公益法人のことを全く知らない人が就任している実態を憂いて、「民都・大阪」フィランソロピー会議で長年議論してきたことを実現する第一歩でした。

    

  2022 フィランソロピー大会OSAKA2022 チラシ第1弾.jpg


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公益認定法上の収益事業等と税法上の収益事業 [2022年11月25日(Fri)]

公益認定法上の収益事業等と税法上の収益事業とは異なる概念。


公益認定法上は


目的(=別表該当性)と「受益」の範囲(不特定多数性)(=まさに「公益」)に着目して公益目的事業が定義され、それ以外が収益事業等。


言い換えれば、公益目的事業と(収益事業等=非公益目的事業)とがある。


つまり、公益目的事業と非公益目的事業


これに対して


税法上の収益事業は


営利競合に着目して収益事業が定義され、それ以外が非収益事業


言い換えれば、収益事業と非収益事業


したがって、公益目的事業であると申請してきているものに対して、これは「公益目的事業ではないから」収益事業であるという論理はありえても、


これは「企業も行っているから(=営利競合であるから)」公益目的事業ではないということは論理的にあり得ない。


行政庁が公益目的事業を否認するときには、精緻な論理が必要です。


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大阪財団社団連合会が正式発足。大阪府公益認定等委員会委員を推挙へ [2022年11月24日(Thu)]

本日、「民都・大阪」フィランソロピー会議の提言を受け、大阪財団社団連合会(会長堀井良殷)が正式発足。大阪府へ大阪公益認定等委員会委員を推挙することが決まった。


これは公益法人制度改革開始後、大阪府の公益認定等委員会委員に公益法人関係者が一人もいないことを憂慮した「民都・大阪」フィランソロピー会議が、同会の発足を提言。同会から公益法人制度を熟知した公益法人関係者を大阪府公益認定等委員会委員として推挙することを求めたことに対応した。


詳しくは、「民都・大阪」フィランソロピー会議事務局へ。


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IFR4NPOが国際非営利会計ガイダンス (INPAG) の公開草案を公表 [2022年11月23日(Wed)]
国際非営利会計基準(IFR4NPO)プロジェクトについてはこれまでも何回も本ブログで紹介してまいりました。

詳しい経緯など知りたい方は、

出口正之2021「国際非営利会計基準策定議論の動向と我が国への影響」産業経理Vol81 No.3 pp.19−33

等をご覧ください。

この度、IFR4NPOは、財務報告の状況を変革し、非営利セクターが説明責任を示し、多くの利害関係者の信頼を確保するためのより強固な基盤を作成する、一世一代のチャンスだと表明しております。

今回、国際非営利会計ガイダンス (INPAG) と呼ばれるガイダンスを作成しており、最初の公開草案は、2023 年 3 月 31 日までパブリック コメントを受け付けています。

本プロジェクトには出口も関与していますが、いささかトリックスターとしての役割を演じていたように思いますし、世界の会計士界の構造もよくわかりました。

21世紀が会計士の不正による株式市場の信頼の揺らぎ(エンロン事件、ワールドコム事件)が、会計士の役割を大きくし続けていったこと、グローバルな価値観の対立が先鋭化してきた現代において、なぜか「財務報告」の考え方が「一般性」を持って語られていく様など学術的にも面白い「フィールド」に身を置いたように思います。

さはさりとて、できるだけ多くの方々に先入観を持たずに、国際非営利会計ガイダンス (INPAG) の公開草案に接していただければと存じます。

是非パブリックコメントを出していただくようにお願い申し上げます。

なお、必要があれば、時間の許す限り、説明会などは実施させていただきたいと思っております。

特に実務の方々が現場を踏まえて積極的に発言していかないと、「監査」をする視点から演繹的に作られていますので、世界は会計士に支配されてしまいますよ。
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公益認定法32条を設置目的を明確化するよう改正せよ [2022年11月19日(Sat)]

 公益認定法32条を立法趣旨に照らし設置目的を明確化するよう改正すべきことが段々と明らかになってきたように思います。


 公益法人制度改革をするのであればその本丸である公益認定等委員会のこれまでの役割についてしっかりと評価する必要があるでしょう。

 

 これまでの各種の政府公表の議事録から、公益認定等委員会委員が公益法人のことを何も知らず、法令を超えて規制を強化し、無駄な資料を要求している姿が段々と明らかになってきています。

 

 特に、第4回新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議事務局説明資料 の中の15ページに示された情報は驚きとしか言いようがありません。


 行政庁ではなく、委員会が法令に示された提出資料以外のものを要求していることが明らかになりました。とりわけ寄付者予定者の確定申告書まで委員会が要求するというのは、委員会が委員会設置の目的を理解していないことだと思います。


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