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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益認定法第35条第1項こそ改正を [2022年10月30日(Sun)]

公益法人は制度改革以降、新しい制度に対しての勉強に次ぐ勉強を強いられてきました。その範囲は法律、会計、各種法律様々な分野に及びます。


他方で、公益認定法は下記のような規定があります。



公益認定法第35条第1項

第三十五条 委員は、人格が高潔であって、委員会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律、会計又は公益法人に係る活動に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。


なぜ「公益法人に係わる」ことが「活動に関して優れた識見を有する者」だけに限定されるのでしょうか。


これであれば、たとえば企業会計に関して知識があれば、公益法人に係わる会計やその実情を全く知らない人たちにでも堂々と制度の運用がなされてしまいます。


その弊害は非常に大きいものがありました。


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公益法人協会の50周年 [2022年10月20日(Thu)]

公益財団法人公益法人協会が50周年を迎えました。誠におめでとうございます。


初代理事長渡辺昌夫さんの謦咳に触れた人間としては感無量の思いがあります。


50周年に合わせて記念シンポジウム「多様化する社会と公益法人の可能性ーサステナブルな公益活動の実現に向けてー」が先般行われました。


そこで印象に残った点を3点挙げておきたいと思います。 

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サントリー地域文化賞贈呈式の大阪開催の意義 [2022年10月19日(Wed)]

最近、助成財団の守旧性がよく語られるようになりました。新しいことをしようとするのにものすごいエネルギーが必要とされます。ひどい場合には定款の変更や変更認定申請など膨大な事務作業が待ち受けています。そこまでいかなくても、変化しないことに慣れきっている理事会や評議員会に対して「etwas Neues=何か新しいこと」をしようとすれば、説明の必要も出てきます。

 そんな中で、先般のサントリー地域文化賞(公益財団法人サントリー文化財団主催)の贈呈式が実に20年ぶりに東京から大阪へと変更になったことは、何気ない変化のように感じるかもしれませんが、大阪の人間としては関係者の間に非常に大きな決断があったように感じます。

残念なことに、大阪から東京への流れは様々な分野で生じてしまっています。「民都・大阪」を目指す「民都・大阪」フィランソロピー会議では、大阪の企業設立による企業財団の主たる事務所の大阪への設置を主張しています。大阪の企業は繰り返し、大阪の活性化を主張していますから、まず、その主張の一貫性を「非営利の組織」である企業財団から始めてみてはどうかというものです。

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公益促進機能:新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議 が始まりました。 [2022年10月07日(Fri)]

 雨宮孝子氏を委員長とする「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」(以下「有識者会議」)が始まりました。


 この10年近く、公益法人についての内閣府の会議はほとんどガバナンス強化に終始していました。


 今回は、その重要性は否定しないまでも、「公益法人の活動を活性化する観点」という基本スタンスが入れられたことが特徴です。この点は本ブログの主張と完全に一致します。


さらに、収支相償については、「公益促進機能」(内閣府資料3:18頁)という用語を初めて使った点がとても素晴らしいと思います。


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