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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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気を吐く助成財団センター [2021年09月29日(Wed)]

 かねてより「新型コロナウィルス感染症」拡大に対する各種団体の緊急支援活動に関して情報を収集していた公益財団法人助成財団センターが本日付けでデータを更新しています。


http://www.jfc.or.jp/grant-search/covid19/


「新型コロナウィルス感染症」に対して各助成財団が様々なプログラムを新規に立ち上げていることがよくわかります。


「画一的対応が重視される行政部門、収益を上げることが前提となる民間営利部門だけでは様々なニーズに十分に対応することがより困難な状況になっている。  これに対し、民間非営利部門はこのような制約が少なく、柔軟かつ機動的な活動を展開することが可能であるために、行政部門や民間営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対応する多様なサービスを提供することができる」 (閣議決定2003)と謳われた立法趣旨です。



 これもダメ、あれもダメと、ひたすら法人規模に比して消化しきれない規制を被せるよりも、「柔軟かつ機動的な活動を展開」するために何が必要かを、もっと議論する良い機会のように思います。


収支相償や、その根幹の特定費用準備資金なども、誤解が多いですが、全ては「公益の増進」のために作られています。


https://blog.canpan.info/deguchi/archive/249


https://blog.canpan.info/deguchi/archive/251


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誤解を解く!特定費用準備資金は1回は理由の如何に関わらず変更可能。 [2021年09月28日(Tue)]

収支相償のYouTubeの第二弾です。

特定費用準備資金(及び資産取得資金)は収支相償を現実的にするための道具としての柔軟な対応を可能としています。世間での誤解が収支相償制度をおかしなものとしています。


特定費用準備資金(及び資産取得資金)をどんな理由であっても1回は変更することが可能なルールです。もちろん、止むを得ない理由があればそれ以上変更することができるものとしてつくられました。


資金不足なれば当然取り崩すことは可能という前提です。

誰が考えても当たり前の制度です。


「公益の増進」のための制度を間違って運用していませんか?




https://youtu.be/0CpFjiNmpR0https://youtu.be/0CpFjiNmpR0
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収支相償の都市伝説を覆すYouTube [2021年09月15日(Wed)]
 以前にもご紹介しましたとおり、全国公益法人協会がYouTubeを作っていましたが、今回は収支相償について設計時の考え方をわかりやすく解説しています。



収支相償は、もちろん、組織の黒字を前提とした制度です。

「赤字にしなければならない」という都市伝説が如何におかしなことか、小生が説明しております。


世上で言われていることとあまりに異なるので驚かれる方も多いと思います。
公益法人の方は必ず最後までご覧になってください。


このYoutubeに引き続き弾力化としての道具である「特定費用準備資金」をさらに詳しく説明する予定です。


公益法人の方は安心して公益目的事業に邁進してください。

一般法人の方、移行認可法人の方はもっともっと公益認定申請をしてください。

日本の公益活動は足りておりません。

官民挙げて公益法人を作ろう、公益目的事業を活発に行っていこうと皆で自信をもって言おうではありませんか。
                                  出口正之

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FATFに関して内閣府が公益法人メールマガジン臨時号を発行 [2021年09月13日(Mon)]
本日(令和3年9月13日)、内閣府が公益法人メールマガジン臨時号を発行し、FATF (マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の国際基準作りを行うための多国間枠組み「金融活動作業部会(Financial Action Task Force。)」の報告書の内容を紹介しています(重要なので下記に全文を載せます)。 

  FATFの重要性については、本ブログでも指摘していましたし、『公益・一般法人2020年6月15日号』においても台湾の財団法との関係で指摘をしておりました。 

  とりわけ、ブロクの指摘は「日本の場合には、サードセクターの管轄部局が縦割りで分断されているために、問題意識が十分に共有されていない可能性があります。問題意識が希薄なままで推移することが一番恐ろしいことではないでしょうか。」と指摘しましたが、今回の報告書の内容と全く一致しています。  

  日本政府は早急に対応を取る必要があるでしょう。  大阪府公益認定等委員会では、すでに監督に関連してFATF問題の重要性については数度に亘って議論をしております。この点を踏まえて監督のプライオリティを変更しました。

 また、サードセクター全体の連携を強化しようとしている【「民都・大阪」フィランソロピー会議】も背景にはFATFのNPOレポートが頭にありました。  非営利組織の自由な活動を奪うことなく、FATF報告書に対応していくことは実は簡単ではありません。政府の機敏にして慎重な難しい対応を的確に取っていただくよう切望いたします。
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「民都・大阪」フィランソロピー会議の報告書 [2021年09月07日(Tue)]

 些か旧聞に属するかもしれませんが、「民都・大阪」フィランソロピー会議が昨年度提言を含む報告書を発表しています。「副首都」ということを考えるのであれば、政治・経済・非政府・非営利の三つのセクターの内、まずは三番目のセクターすなわち非営利のセクターの首都を大阪に移せというシンプルな主張です。



 そのための道筋が描かれています。一朝一夕にはいかないでしょうが、令和元年度の内閣府の非営利団体実態調査によれば

収入の状況は、全団体合計では 51 兆 425 億円で前年度比 8.1%増であり、同年度の民間非営利団体の経費は、全団体合計では 54 兆 7,160 億円で前年度比12.7%増となっています。


移転収入や移転経費が含まれていますので、比較は難しいですが、着目に値する経済規模を有しています。


 日本では、東京一極集中の脆弱性が各方面から指摘されている中で、東京への集中は止むことはありません。休眠預金活用制度を見てもわかる通り、各国の政策は非営利の部分にかなりウエイトが置かれていますが、日本では非営利セクターが法人格がばらばらで非営利セクターを一つのセクターとして見ることがほとんどありません。


  何よりも「民間=企業」という視野狭窄的な見方も打ち破っていく必要があるでしょう。是非注目していてください。


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