服を選ぶときに既製(レディメイド)品を選ぶのは「通常」は楽です。何より供給側にとっては大量生産もできますし、都合がよいでしょう。しかし、多様な消費者のニーズに既製品だけでは対応できません。人の体型は様々です。
服が既製品しか販売していなければ、一方的に「排除される」消費者もいるでしょうし、何より多様な消費者の質的ニーズにも応えていくことができません。
長らく主務官庁に指導されていた日本の助成のスタイルを見ると既製服を売るスタイルとよく似ています。スケジュールがすべて決まっていて、決められた申請書を提出して、選考委員会に諮って助成先を選定するというスタイルです。
こうしたスタイルと私はレディメイド型助成ないしはプログラム型助成と呼んでいます。日本ではレディメイド型助成が圧倒的に多いです。このスタイルには大きな利点があります。
- 周知しやすい。
- 専門的な知識無しでもできる。
- 多様な助成ニーズを断りやすい。
- 他者から文句がつけにくい。
- 特に行政庁から「特別の利益供与」(公益認定法5条3号4号違反)と疑われる心配がほとんどない。
他方で、下記のような欠点もあります。
- 助成決定まで時間を要する。
- 助成先に必要な時にタイムリーに助成ができない。
- 申請書の範囲のニーズは入ってくるものの、それ以外のニーズが入手できない。
- 多くの死票ならぬ死申請書を作り出し、社会に負担をかける可能性がある。
- 助成先のニーズに必ずしも合った金額や内容となりにくい。
レディメイド型助成は、海外では一般にRFP(Request for Proposal)方式と言っています。政府のスタイルと言いますか、政府が実施する場合にはほぼこの形になりますね。「官の文化」といえるかもしれません。