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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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事例としての講師謝金規程の強要 [2019年09月23日(Mon)]
公益法人の職員数の中央値は5名。つまり、公益法人の半数の職員数は5名以内です。職員が1名以内の公益法人は17.5パーセントにも達します。

他の国が明確な比例原則の下で、中小法人対策が取られているにもかかわらず、我が国は書類で公益法人を押しつぶそうとしているかのようにも思えます。

とりわけひどいのが、「規程」作成の押しつけです。最近出版されている専門誌からは依然として講師謝金規程を整備するように指導している様子がうかがえます(例えば『公益・一般法人』5月号、9月15日号)。確かに一般法76条第3項第3号に基づく内部統制の整備が求められているとはいえ、法定されているもの以外については、まさに法人の「内部統制」の範囲ではないでしょうか。

それと企業と異なることは、「予算による統制」という非常に明確な統制が公益法人には存在しています。そうした企業との差異を全く意に介することなく、規程類を押し付けられ、さらに法人の柔軟性を損なう規程まで作らされて一体どのくらいの法人に意味があるのでしょうか?

かつて 公益法人にはどれだけの規程類がいるか:公益法人絶滅危惧種論 でも記載しましたが、未だに「爪楊枝の上げ下ろし」が跋扈しているようなので、事例として「講師謝金規程」を取り上げたいと思います。
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【ISTR説明研究会と国立民族学博物館ツアーのご案内】 [2019年09月21日(Sat)]

公益社団法人非営利法人研究学会等の学会に向けて告知したものですが、関心のある方はどなたでもどうぞ。


ISTR説明研究会と国立民族学博物館ツアーのご案内】


国立民族学博物館の出口(元ISTR会長)と申します。

平素は大変お世話になっております。

米国IRC501C)3の免税法人である国際学会ISTR法人(International Society for Third Sector Research, Inc.の来年のカナダ・モントリオールでの世界大会(2020年7月7日から10日)の査読付き応募締切が10月26日に迫ってきました。


例年この時期になると、小生のところに非常に細かな質問(例えば、WEB申請の方法などを含め)が舞い込んできます。他方で、多くの方が参加を希望しながらも最後に諦めたというご連絡も受けております。また、申し込んだものの査読で不採択になったという連絡も受けております。


 (注)ISTRは非営利組織(英国チャリティ、米国のIRC501条C3の団体、日本の公益法人、学校法人、社会福祉法人、NPO法人等)に関する国際的学際的な学会です。

  米国のIRC501 (C)3団体とは内国歳入庁から免税資格を得ている公益の団体です。



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変更認定に関わるパブリックコメントの賞味期限:膨大な書類の原因 [2019年09月07日(Sat)]
 公益法人行政は今やほとんどが既存公益法人の「変更」の認定等に費やしている。

当方に寄せられる不満も「変更」に関わることが多い。「公益の増進をしようとしているのに、これだけ事務作業を要求されてはとてもではないが、対応できない」と。

パブリックコメントの「回答」がどれほどの法的拘束力を有するかについては、つぶさには承知していない。しかし、国民の対しての約束だから一応遵守されているものだと信じたい。

平成19年9月8日に発表されたパブコメの中の変更認定に関するコメントとその回答には以下のようなやりとりがある。

(コメント)
 法人に変更があった場合に、かなり詳細にわたる資料の提出を求める規定となっている
 が、現行の主務官庁による監督以上の過剰な行政手続は不要とすべきである。

(回 答)
変更の認定にあたっては、変更に関わる書類に限定して提出を定めています。また、行政庁の変更を伴わない事業区域、事務所の 変更は軽微な変更として届出のみで足りるとし、手続きの簡素化を図っています。
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オーストラリアの公益認定等委員会 [2019年09月02日(Mon)]
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 この数年、「オーストラリアの公益認定等委員会に相当する組織」(チャリティ委員会)に注目しています。
その理由は、第一に職員数が約100名で、内閣府の公益認定等委員会とほぼ同規模であること。第二に事務所が首都キャンベラでもなく、経済の中心のシドニーでもなく、メルボルンにあるということ。これは「民都・大阪」フィランソロピー会議を考える上で、非常に大きな意義があります。第三に、各国のチャリティ委員会についてよく研究しているということ、とりわけ非営利会計についての研究の蓄積があります。


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