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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益法人を研究する大学院生に給付型奨学金を支給 [2026年04月01日(Wed)]

公益財団法人公益事業支援協会(理事長千賀修一)が、公益法人を研究する大学院生に給付型奨学金を支給を行っており、今年度の奨学生を募集しております。


これは我が国において「民間が担う公」としての重要な役割を期待されている公益法人制度に関してあまりにも専門家が少ないことを考慮して昨年度より開始されたものです。


1.目的

 公益法人は、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するために公益活動を実施する存在であり、その活動に資するために公益法人の研究は極めて重要であるが、我が国において公益法人の研究に関する助成は極めて少ないのが実情である。そこで公益法人制度を研究する研究者を増やすため以下の通り奨学金助成事業を開始する。

2.対象者

 非営利法人制度を研究する大学院修士、博士課程学生

3.奨学金給付対象期間

 奨学生として採用決定した月の翌月から1ヶ月10万円、合計年間120万円  全額給付ですので返還の必要はありません。

 但し、後記5の研究論文を所定の期間内に提出しないときは、全額返還していただきます。

 また奨学金は、学術研究のための奨学金ですので、奨学生の判断で自由に使うことができ、使途に制限を設けません。

4.募集期間及び募集人数

 募集期間は、令和8年4月1日から、2ヶ月以内(令和8年5月31日)。

 募集人数は若干名。

5.奨学生の義務

 奨学生が応募した研究テーマを選択し研究論文を奨学金給付が終了した月から2ケ月以内に提出すること。同論文は原則として当財団ホームページに掲載する。

 奨学生が上記研究論文を提出しないときは、奨学金全額を無利息で当法人に返還しなければならない。

6.研究テーマ

 以下のいずれかから選ぶこと。

@ 公益法人に関する事例研究

A 公益認定の実態に関する研究

B 公益法人の役職者の報酬・給料の実態調査研究

C 公益社団法人の社費(会費)及び公益財団法人の賛助会費の実態に関する研究

D 公益法人の地域間格差に関する研究

E 公益認定における不認定、勧告、命令、認定取消しに関する研究

F 公益法人の活性化に関する事例研究

G 小規模法人の能力と制度のギャップに関する研究

H 行政庁の不当な指導の実態に関する研究

I 新公益法人会計基準に対する公益法人の受け止め方に関する研究

J 改正公益認定法での情報公開の進展を活用した研究

K 改正公益認定法で「新しい資本主義の実現」に資した事例研究

L その他、公益法人の活動に資するための研究



その他、申請書や提出先等については

https://www.pusa.jp/scholarship/index.html をご覧ください。


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太田達男氏が新公益信託法施行に関してステートメントを発表 [2026年04月01日(Wed)]

 本日4月1日より、いよいよ新公益信託法が施行されます。施行に当たって太田達男氏がステートメントを発表しました。ここに同氏の許可を得て全文を掲載いたします。


 その前に、なぜ太田氏がステートメントを公表するのかという点について、小生から簡単に説明したいと思います。


 公益信託は信託法(1922年)に盛り込まれながら、その後50年間全く利用されていませんでした。いわば、「眠れる森の制度」だったわけです。この制度を目覚めさせたのは、当時信託銀行に勤務されていた太田さんであり、1972年8月に『金融界』という雑誌に「公益信託にスポットライトを」という一文を寄稿したことが契機となっています。


 この論文が嚆矢となって様々な動きがあって、第1号の公益信託が1977年に誕生したのです。


 したがって、太田さんは公益信託に命の息吹を与えた方であり、その後も一貫して公益信託の発展に思いを抱いておられました。104年を経て公益信託が名実ともに市民社会において活用可能なものとして生まれ変わるときに、ステートメントを発表されることについては当然のことであり、関心ある者すべてが謹んで傾聴すべきものと思いましたので、本ブログで全文を掲載させていただきました。


2026年4月1日

公益財団法人公益法人協会

理事・会長 太田達男

新公益信託の施行にあたって

 新しい公益信託に関する法律が今日4月1日に施行されました。1922年に制定されて実に104年ぶりの大改正です。我が国における公益信託の歴史は大変苦難の道を歩んできたといってよいでしょう。

そもそも大正初期に信託法の制定が論議された際、政府が臨時法制審議会に提出した原案は私益信託だけで、公益信託に関する条文は全くありませんでした。この審議会で江木衷という学者がただ一人「公益信託を欠く信託法は信託法ではない」と主張、原案を固執する政府とそれに従う他の委員を相手に孤軍奮闘した結果、原案の最後に公益信託の規律8条文が追加されました。

しかし、その後50年間、公益信託が設定されたことはなく冬眠状態にありましたが、財団法人と比較して簡便に財産を基礎として公益活動を実行できる器として、見直しの機運が進み1977年に第1号の公益信託が2件誕生しました。この時代の公益信託は、受託者が実質的に信託銀行に限られ、信託財産や事業内容なども様々な制約があり税制上も厳しい条件があり、市民社会に根付くというまでには至りませんでした 。

そして、今回公益信託は抜本的に改正されました。誰もが受託者になれる、信託財産の制限も基本的になくなり、事業も助成型だけでなく、公益法人同様様々な事業展開が可能となりました。公益信託への寄付税制もほぼ公益法人並みに優遇されることになりました。

少子高齢化が超スピードで進んでいる日本では、単身高齢者の急増、富裕層の拡大、価値観の多様化も進み、生前・死後における公益組織への財産寄付も急拡大していますが、これらの受け皿として公益信託は、寄付者の願いを信託財産に込めることできるユニークな制度です。

 公益信託制度が生まれたものの冬眠状態にあった約50年、実用化はされたものの規制が厳しく成長が止まってしまった約50年を経てようやく今回を迎えました。市民社会における大きな役割を果たす次の50年の始まりと捉えたいと思います。



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