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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益財団法人公益事業支援協会が『小規模公益法人500ガイドブック』を刊行 [2024年12月01日(Sun)]

 公益財団法人公益事業支援協会(理事長千賀修一)が『小規模公益法人500ガイドブックーー現在の公益認定審査の実情と問題点・公益認定取得のすすめ』を発行しました。

小規模法人500.jpg


 本書は、内閣府による令和3年の「公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告」を活用したものである。正味財産に着目して、500法人を選び出し、さらに、内閣府の公益法人の閲覧請求を使用し財務省表等を取り出して作り上げたものです。


 内閣府はこのデータとデータベースについて少なからぬ予算をつけて作りあげていますが、こうした形で社会全体に向けて活用されることは素晴らしいことではないでしょうか?



 さらに、巷間、公益認定が難しいと言われていることに対して、小規模法人の事例を載せることで多くの方に、公益認定を目指してほしいと願う気持ちがあふれてのことだと思います。様々な公益法人が社会のために活動していることがとてもよくわかります。


 また、前半の現在の「公益認定審査の実情と問題点・公益認定取得のすすめ」は、弁護士法人の代表弁護士でもある、同法人理事長の千賀修一氏が執筆しています。


 同氏は多忙な弁護士業務の傍ら、多くの法人の公益法人の申請書をご自身で作成され、行政庁とのやり取りを記録し、当初、問題のなかったやり取りがどんどんと変化していく様をリアルに描きでしています。ある法人の公益認定申請では、担当者とのメールのやり取り224回、メールを含めた提出書類は1000ページ、期間は1年6か月となったといいます(標準処理期間は4か月)。これらの事実は、担当官や担当委員くらいしか状況がわからなかったのではないでしょうか?


 幸い、本年公益認定法が改正され、こうしたおかしな事態にも手が打たれるようなので、もうこのようなことにはならないと思いますが、こうした異常事態が生じた真の要因が何だったのかまでを理解するうえでも本書は必読書です。


 冒頭の千賀氏の「現在の公益認定審査の実情と問題点・公益認定取得のすすめ」の最後には、「現在一般法人として活動中の法人又はこれから公益活動を行う志を持つ方が本書に掲載する500の公益法人の事業内容を参考にして、できるだけ多くの方が公益認定を取得して公益法人として活動されることを期待します。」と本書の狙いをはっきりと記して結ばれています。


 ぜひ皆様お読みください。


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