公益法人協会、さわやか福祉財団 、助成財団センター の三団体(いずれも公益財団法人)は「公益法人として同じ民間の非営利活動を担っている立場から、こ の改革会議の結論に対し重大な疑念」を抱くとして意見表明を行っています。
公益法人関係団体が他の法人格の政府の議論に意見を表明することは異例のことですが、意見表明せざるを得ないほど、学校法人のガバナンス議論が迷走したためだと考えます。
学校法人の不祥事にたたみかけるような形で、「企業のガバナンス」を学校法人に導入しようとするあまり「評議員会」という摩訶不思議な機関に株主総会と同じような役割を期待しているわけですから、そのことで現場が混乱している公益財団法人が意見を述べることは無理からぬことと言えるでしょう。
企業のスタイルを無批判に「善」とする考え方を私は「ビジネスセントリズム」と称していますが、今回もまさに「ビジネスセントリズム」の極致といってよいと思います。
上場企業に適用されているコーポレート・ガバナンスも、その雄とされたT社が問題を惹き起こすなどしても、「ガバナンス」に対してしっかりとした考察が行われていません。
「ガバナンスの外形的強化→不祥事→ガバナンスが不十分という指摘」の繰り返しの中で一体何が起きているのかそろそろ考える時期ではないでしょうか?
残念ながら、無批判のガバナンス礼賛といった宗教に近い信仰は一向に衰えることはありません。
さらに、学校法人のガバナンス議論では、公益法人とりわけ公益財団法人のガバナンスがより良きモデルとされ議論が進みましたから、当の公益法人が戸惑いを隠せないこともよくわかります。