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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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国際非営利会計基準(IFR4NPO)のアジアで初のリアル会議開催 [2024年08月20日(Tue)]

2019年から継続している国際非営利会計基準策定の、161か国が関与している世界的なビックプロジェクト(IFR4NPO)は、コロナの影響でずっとオンラインの会議が開催されてきました。


今回、マレーシアのMalaysia Accounting Standards Board(MASB=マレーシア会計基準委員会)のイニシアティブで、アジアで初めてのリアルによるラウンドテーブルが開催されます。


議題はこちらです。


2019年から6年計画で始まったこの国際的ビックプロジェクトですが、コロナの時期と重なり会議はオンラインで行われていました。


今回、MASBの主導でリアル会議が開催されることは画期的なことです。


日本の非営利会計が混乱状態にあることもあってか、この分野でも日本のプレゼンスが少ないことが残念です。


しかし、強制的な非営利会計が乱立する日本には直接関係しないかもしれませんが、このような世界的な非営利会計議論は非営利会計を考えるうえで非常に重要な論点をたくさん提供してくれます。

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INPAG(国際非営利会計ガイダンス)についてのパブコメ締め切りまであと1か月 [2024年08月13日(Tue)]

 国際非営利会計基準の世界標準モデルを世界的に議論しているIFR4NPOの INPAG(国際非営利会計ガイダンス)の第三次公開素案のパブコメの締切りまであと1か月となってきました。


 日本がこの動きに乗り遅れていることに大変危機感を感じております。


 第三次公開素案(ED3)は非営利組織特有の問題について特に意見を求めております。


@資金会計についてです。かつて番場嘉一郎先生は、非営利会計における資金会計の重要性を指摘しておりましたが、近年日本ではその発想が消えているところですが、国際非営利会計の中では重要事項として取り入れられております。


A費用分類についてです。「性質別分類」(現在検討されている日本の新公益会計基準議論では「形態別」という用語が使用されている)と「機能別分類」、さらにその併用版など多様な分類がある中で、これらを維持しつつ、国際間で共有可能な方法が提案されています。


Bファンレイジング・コストについてです。ファンドレイジング・コストに対する共有理解から、どのように含めるのかといった点まで詳しく提案されています。


総ページ数217頁に及びます。

https://www.ifr4npo.org/ed3/


コメントはテンプレートを埋めていけばよいようになっております。


https://www.ifr4npo.org/have-your-say/


日本の非営利会計が国際トレンドの中で完全に埋没しかねないような状況の中ですので、是非コメントをお願いします(コメントは英語のみ)。


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国際非営利会計ガイドラインの公開草案2のパブリックコメント締切迫る [2024年01月26日(Fri)]

かねてより、国際非営利会計基準を検討している国際非営利会計基準策定委員会(IFR4NPO)では、「国際非営利会計ガイドライン」の公開草案2を公表しており、3月15日がパブリックコメントの締め切りです。


IFR4NPOのメンバーは下記のとおりですが、本部や小生から会計関係者、会計関係機関に参加をお願いしておりますが、残念ながら、関与している日本からは必ずしも適任とは思えない出口一人が参加しております。


Technical Advisory Group

https://www.ifr4npo.org/technical-advisory-group/


Practitioner Advisory Group

https://www.ifr4npo.org/practitioner-advisory-group/


Donor Reference Groupとして以下の助成団体

Bill & Melinda Gates Foundation Children’s Investment Fund Foundation

Ford Foundation Foreign, Commonwealth & Development Office (UK)

Global Affairs Canada Global Fund Conrad N. Hilton Foundation

Oak Foundation Open Society Foundations

United States Agency for International Development World Bank



とりわけ、Donor Reference Groupについては参加をお願いできればと考えております。


今回、パブコメの対象となっている国際非営利会計ガイドライン(以下「INPAG」という)は、日本の議論を考える上でも大変参考になると思います。


1.開発プロセスで念頭に置いている NPO は、財務報告書のユーザーのニーズを満たすために、資産と負債を追跡し、さまざまな取引と活動について報告する必要があるNPOです。言い換えれば、金融機関から借り入れなどの必要があるものだけです。こうしたガイドラインをどこまで、どの対象に適用するのかということが一番大切なことだと思います。


2.ベースとなる会計基準を大企業に適用されるIFRS(国際財務報告基準)ではなく、IFRS for SMEs(中小企業向け国際財務報告基準)であるという点です。


3.INPAG開発のロードマップが極めて長期であること

プロジェクトがスタートしたのは2022年1月ですが、完成予定は2025年半ばの予定です。

開発中のガイダンスは、国際非営利会計ガイダンス(INPAG)と呼ばれます。 「公開草案」は、パブリックコメントのために公開されるガイダンス文書の提案版です。 これは 3 つのパート (ED1、2、および 3) に分けて発行され、それぞれに 4 〜 6 か月の協議期間が続きます。 ED2 は  2024 年 3 月 15 日までパブリックコメント募集中です。


4.現金主義やプロジェクト会計について根強い意見が主張されていること。

必ずしもINPAGに反映されているわけではありませんが、Donor Reference Groupを中心に現金主義会計やプロジェクト会計に対する強い要望があります。



是非、多くの日本の方から公開草案2に対して公開草案2に対してのコメントをお願いいたします。


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国際非営利会計ガイダンス(INPAG)の第2次公開草案の公表。パブコメ募集 [2023年09月29日(Fri)]

私もかかわっているIFR4NPO国際非営利会計ガイダンス(INPAG)の第2次公開草案が公表されました。これは、、この分野における世界的な信頼性と信頼性を高めることを目的としています。



現在、非営利組織に対する国際会計ガイダンスはありません。 この公開草案は、2022年11月に公開された最初の公開草案に続くものです。今回の2番目の公開草案では、助成金と寄付からの収入、助成金経費、在庫、外貨換算という4つの主要なセクター固有の会計問題が取り上げられています。


この公開草案は 3 部構成のうちの 2 番目です。 2024 年 3 月 15 日までにそれに関するコメントの募集が行われています。組織であっても個人であっても構いません。是非、コメントの提出をお願いいたします。



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IFR4NPOが国際非営利会計ガイダンス (INPAG) の公開草案を公表 [2022年11月23日(Wed)]
国際非営利会計基準(IFR4NPO)プロジェクトについてはこれまでも何回も本ブログで紹介してまいりました。

詳しい経緯など知りたい方は、

出口正之2021「国際非営利会計基準策定議論の動向と我が国への影響」産業経理Vol81 No.3 pp.19−33

等をご覧ください。

この度、IFR4NPOは、財務報告の状況を変革し、非営利セクターが説明責任を示し、多くの利害関係者の信頼を確保するためのより強固な基盤を作成する、一世一代のチャンスだと表明しております。

今回、国際非営利会計ガイダンス (INPAG) と呼ばれるガイダンスを作成しており、最初の公開草案は、2023 年 3 月 31 日までパブリック コメントを受け付けています。

本プロジェクトには出口も関与していますが、いささかトリックスターとしての役割を演じていたように思いますし、世界の会計士界の構造もよくわかりました。

21世紀が会計士の不正による株式市場の信頼の揺らぎ(エンロン事件、ワールドコム事件)が、会計士の役割を大きくし続けていったこと、グローバルな価値観の対立が先鋭化してきた現代において、なぜか「財務報告」の考え方が「一般性」を持って語られていく様など学術的にも面白い「フィールド」に身を置いたように思います。

さはさりとて、できるだけ多くの方々に先入観を持たずに、国際非営利会計ガイダンス (INPAG) の公開草案に接していただければと存じます。

是非パブリックコメントを出していただくようにお願い申し上げます。

なお、必要があれば、時間の許す限り、説明会などは実施させていただきたいと思っております。

特に実務の方々が現場を踏まえて積極的に発言していかないと、「監査」をする視点から演繹的に作られていますので、世界は会計士に支配されてしまいますよ。
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国際非営利会計基準(IFR4NPO)の意見公募について動画限定公開 [2021年07月29日(Thu)]

先般、国際非営利会計基準(IFR4NPO)の意見公募についての日本語による解説のZOOM会議を急遽開催致しましたが、ご要望もあり日本時間の7月31日朝まで限定で公開いたします。(意見表明は7月30日までです。英語に限りますが、1項目だけ回答することも可能です。】


(日本語により回答方法の解説。限定公開)


CPのダウンロードはこちらから



発生主義?現金主義?

それぞれの利点、欠点は?あなたはどう考えますか?

https://www.ifr4npo.org/resources/accounting-issues/accounting-basis/



非営利組織のステークホルダーは誰?あなたはどう考えますか?

https://www.ifr4npo.org/resources/accounting-issues/stakeholders-and-needs/


非営利組織の会計基準を考えるときの非営利組織をどのようにとらえればよいでしょうか?

あなたのお考えをお聞かせください。

https://www.ifr4npo.org/resources/accounting-issues/who-are-npos/


上記の質問などに対してWEBを使った簡単なあなたの回答はこちらから

一般的なテンプレートによる回答はこちらか(お勧めしています)


決定しているものは一つもありません。声が届かないことで将来に禍根を残さないようにお願いいたします。




Using the online survey

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国際非営利会計基準(IFR4NPO)の意見公募についての日本語による解説 [2021年07月13日(Tue)]

 問い合わせも増えてきたので、国際非営利会計基準(IFR4NPO)の意見公募についての日本語による解説のZOOM会議を急遽開催することに致しました。


 2021年7月21日(水) 午後4:00―5:00 です。


 日本は世界から見ても非営利会計についての議論が多い国の一つだとは思いますが、基本的に米国のFASB概念書の影響を受けた専門家の議論が多いので、極めて同質的な議論が多いのではないかと素人ながらに感じています。


 国際非営利会計基準(IFR4NPO)の原案(Consultation Paper:CP)は、多くの議論の公約数的な意味合いがありますが、実はその背後には極めて多様な意見の交換があります。


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国際非営利会計基準議論の中の個別論その@:“Double Funding Fraud”(「二重資金調達不正」) [2021年03月23日(Tue)]

 先週の土曜日に公益社団法人非営利法人研究学会の関東部会がオンラインで開催されました。國學院大学の金子良太先生が「非営利組織会計の国際的枠組み」と題して、IFR4NPOの非営利会計基準の原案(CP)等について報告されました。


 正統派の会計学者である金子先生であるので、公表されたばかりの原案について、概要や位置づけについてさすがに非常に的確に報告されていました。とりわけ、日本のこれまでの非営利会計の議論で「ユーザーの視点の軽視」を端的に指摘されていました。日本では「実務家の視点」とは、財務諸表を作成する側の要請が強く、財務諸表を利用する側の視点が弱いのではないかという重要な点を指摘されていました。


 金子先生は、内閣府の「公益法人の会計に関する研究会」(会計研究会)における唯一の学者のメンバーです。議事録ではなく議事要旨しか公表していないので、詳細まではわかりませんが、最近、会計研究会の議論が良くなってきたのではないかと思っていますが、それは金子先生のご尽力によるところが大きいのではないかと思っています。上記の「ユーザーの視点の軽視」との指摘は非常に重要な問題提起だったと思います。



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日本の公認会計士は気の毒:非営利会計基準の統合の行程表作成のための新組織の設立を [2021年03月09日(Tue)]

 国際非営利会計基準(IFR4NPO)のプロジェクトに参加して海外の方と非営利の会計について議論をしていると、つくづく日本の公認会計士の方は気の毒だなと思うようになってきました。


 うすうすは感じていたもののさしたる証拠もなかったのですが、日本の非営利の会計のように会計基準が多数濫立している国は、どうやらほとんどないということがはっきりしてきました。


 学校法人会計基準、社会福祉法人会計基準、公益法人会計基準、NPO法人会計基準、医療法人会計基準などが濫立して、公認会計士の方が勉強しようにも一苦労だからです。あまりに気の毒すぎます。


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会計学の権威 藤井秀樹京大教授との共編著を上梓 BLVを作成しました [2021年02月10日(Wed)]

研究者向けの学術書で恐縮ですが、会計学の権威 藤井秀樹京大教授との共編著で、会計学者、会計史学者、文化人類学者による『会計学と人類学のトランスフォーマティブ研究』(清水弘文堂書房)を上梓しました。



事情通ならばが著者を見ただけで驚くのではないでしょうか?

藤井先生をはじめIFRS(国際財務報告会計基準)の策定にかかわったIASB(国際会計審議会)の元理事の山田辰己さんまでもご一緒しているのですから。


国内では、「トランスフォーマティブ研究」と銘打った書籍は初めてではないかと思います。「トランスフォーマティブ研究」とは既存の学問の変革をもたらせるような研究という意味で、この100年余、米国の学術界で非常に強調されてきました。


現代の学術が細かいところに入り込みすぎているのではないかという「タコつぼ研究批判」も背景にはあったものと思います。



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国際学会のウェビナーで国際非営利会計基準について議論します。 [2021年02月03日(Wed)]
非営利の分野の国際学会であるISTR(本部米国ボルチモア)において、国際非営利会計基準について議論いたします(英語のみ)。

パネリストは、イギリス/ニュージーランドの会計学者であるCarolyn Cordery 先生、

米国の会計基準設定機関であるFASB(財務会計基準審議会)のJeffrey Mechanick氏と小生との三人で実施します。なお、FASBは日本の公益法人会計基準に非常に大きな影響を与えています。


日本時間は2月17日(水)午前7時からとなります(米国とは時差の関係で表面上の日にちも異なりますのでご注意願います)。


申し込みはこちらのページのregistrationをクリックして入りください。

https://www.istr.org/events/EventDetails.aspx?id=1464667


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国際会計基準策定者や各国の策定者が作成した国際非営利会計基準94か国への関心の広がり [2021年02月01日(Mon)]

国際非営利会計基準(国際非営利財務報告基準)原案の作成者たちであるTechnical Advisory Group (TAG)はどんな方々なのでしょうか?


議長を務めているのが、Ian Carruthers氏で、国際公会計基準(IPSAS)を策定した国際公会計基準審議会(IPSASB)の会長も務めた方で、英国勅許公共財務会計協会(CIPFA)の会長です。


他の方々は各国の会計基準設定機関に所属する方で、米国財務会計基準審議会(FASB)をはじめ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、オーストリア、コロンビア、マレーシアなどの会計基準審議会関係者で構成されています。


また、企業会計の国際基準である国際財務報告基準(IFRS)策定を行った国際会計基準審議会(IASB)は、TAGのオブザーバーという形で参加しています。


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国際非営利会計基準は日本の公益法人会計基準議論に修正を迫る [2021年01月29日(Fri)]

先般の林雄二郎の「サードセクター論」のウェビナーには主催者として驚くほどの多数の方にご参加いただきました。あリがとうございました。

ところで、非営利の国際会計基準(直訳は国際非営利財務報告基準)も「サードセクター論」に基づいています。

企業のセクターの「企業会計」の国際基準である国際財務報告基準(IFRS)の存在。政府のセクターの「公会計」の国際基準である国際公会計基準(IPSAS)の存在がありました。

これに対してサードセクターとしての非営利セクターの国際非営利会計基準(IFR4NPO)については以下の議論がありました。

@非営利セクター独自の「会計としての特殊性」はなく、法制度上の制約から非営利独自の会計基準が必要であるという立場。

A非営利セクター独自の「会計としての特殊性」はあるのだから、法制度に関係なく、その「会計としての特殊性」に基づく非営利セクター独自の会計基準が必要であるという立場。

国際非営利会計基準の議論はAの立場に立ちます。このことは日本の非営利組織、とりわけ公益法人会計基準の考え方に以下の2点から非常に大きな修正を迫るものと考えます。


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国際非営利会計基準案が公開されました。意見を募集しています。 [2021年01月28日(Thu)]

かねてよりご紹介しておりました国際非営利会計基準(直訳は国際非営利財務報告基準)についての国際プロジェクトですが、1月28日付で国際非営利会計基準の原案(CP)が公開されました。


A4で260頁の大部のものとなっております。


今後の非営利セクターの運営に非常に大きな影響を与えるものと思います。


これは、日本でいえば、公益法人、学校法人、社会福祉法人、NPO法人、更生保護法人、医療法人、一般社団財団法人などに共通する国際会計基準となります。今後数年をかけて作り上げていくもので、そのための原案が公開されています。


「国際基準」である以上、西洋社会の議論で決めてよいものではありません。「企業会計を当てはめることが善」としてこれまで「非営利独自の会計」としての十分な議論が行われてこなかった国々の非営利会計議論にも非常に大きな影響を与えるものと思います。


原案のダウンロードはこちらから可能です。

(ページ中ほどのShape the future, share your voice Access の

the Consultation Paper hereをクリック願います。)



なお、原案の取り扱い上の問題もございますので、ご関心の方はあらかじめ【deguchi(at)minpaku.ac.jp (at)を@ に 変更】までご一報を頂戴できれば幸甚です。



Consultation Paper – Part 1の意見募集の期限は本年7月30日です。 Consultation Paper – Part 2 の意見募集の期限は本年9月24日です。

なお、説明会等が必要ならば遠慮なく【deguchi(at)minpaku.ac.jp (at)を@に変更】までご連絡ください。時間の許す限りご協力させていただきます。



非営利会計の国際的な標準化の議論に幅広い参加を [2020年11月19日(Thu)]
全国公益法人協会の機関誌『公益・一般法人2020年11月15日号』No.1018 において、「論壇」を執筆させていただきました。


(詳しくは、同誌をご覧ください。)

日本では非営利法人会計の会計基準がばらばらになってしまいましたので、日本公認会計士協会が「モデル会計基準」をつくっております。

また、広い参加によってNPO法人会計基準もでき上がっています。

国際的には、企業会計の標準化、公会計の標準化が既に存在していることから、非営利の国際的な会計の標準化の動きが活発化しています。

企業会計、公会計の国際標準化に関わった方々がドンといますが、実によく世界各国の方々の声を拾い、プロセスを公開しながら意見を求めています。

会計関係の方々はデュー・プロセスを重視しますから、国際非営利会計の標準化議論でも合意形成にこれでもかこれでもかというほどのプロセス重視を行っています。合意軽視の手法としては日本のNPO法人会計基準と非常に近いと思います。

日本ではかつて資金収支会計でほぼ骨格が標準化されていた非営利の会計ですが、今世紀に入り、資金収支会計と、損益会計が入りまじり、ますます混迷の度合いを深めております。

多くの方々のご参加に期待しております。




国際非営利会計基準策定プロジェクト [2020年08月30日(Sun)]

企業会計の国際財務報告基準(IFRS)、公会計の国際公会計基準(IPSAS)に対して非営利組織の国際会計基準が存在しないことから、すでにお伝えした通り、現在、大規模な国際非営利会計基準(IFR4NPO)策定プロジェクトが進行しております。

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これは大規模な学術調査により、世界の179か国の72%の調査対象団体が、国際的な非営利専門の会計基準を望んでいるという結果からスタートしています。言い換えれば、現行の国際基準に対して多くの団体が違和感を覚えているということでしょう。


同調査ではイングランド&ウェールズでは現金主義会計を使用している登録チャリティが80%近くに上っていることが明らかになっています。


本報告書の中の世界全体での調査では24%が現金主義会計です。

8%が一部発生主義を取り入れた修正現金主義型会計で、発生主義会計は68%となります。


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非営利会計の国際標準化とオンライン研究会のご案内 [2020年06月18日(Thu)]

非営利会計は各国で様々に定められています。

それに大きな影響を与える大きな存在として、各国の企業会計及び公会計があります。

企業会計や公会計は別個に国際標準化が行われています。国際財務報告基準(IFRS)、中小企業向けIFRS、さらに国際公会計基準(IPSAS)です。これらは企業や公的組織に適用されることを前提に作られており、非営利会計に適用することは想定されていません。


デービスやマードックを嚆矢として、非営利会計は、企業会計・公会計とは15か所の重要な相違があるという主張が様々な国の非営利会計議論に影響を与えています(なお、日本には全く影響を与えていないと思われます)。


特に国際NGOに助成する各国の助成団体及び当該助成金を受け取る国際NGOはこの問題に頭を悩ませていました。それぞれ報告書や決算書が異なるからです。こうしたことから非営利の国際会計基準を、企業会計や公会計とは異なる観点から作り上げるべきだという主張はこの10年ほど国際的に高まっています。ごく自然な流れだと思います。



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