おばけと化する「指定」正味財産
[2019年04月07日(Sun)]
上田秋成の『雨月物語』の中に「菊花の約」という話がある。赤穴宗右衛門は菊の節句(重陽の節句)九月九日に再会しようと約束した友人丈部左門にどうしても会えなくなった。そこで「人一日に千里をゆくことあたはず。魂よく一日に千里をもゆく」という言葉を思い出し、自殺し、魂だけが約束の日に左門に会いに行き、約束を果たしたという奇妙な心身二元論の話だ。
今回の公益認定法の内閣府令の改正に伴い、パブリックコメントとその回答が公開されている。今回の改正で「指定正味財産」は、財産と果実(=運用益等)の二元論に基づいて分離することになってしまった。
府令改正に伴うパブコメとその回答を見て、本来一つの「財産と果実」が切り離されたので、なぜか「菊花の約」を思い出したのである。