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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益法人協会太田達男会長の優れたコラム [2020年01月27日(Mon)]

 公益法人協会の太田達男会長が現在の公益法人政策上の問題をイギリスのチャリティ・コミッションと比較した重要なコラムを発表しています。現在の日本の公益法人行政の問題を端的に主張された優れたコラムだと思います。


 規模別に対応するという「比例原則」といわゆる指導のmust(法令上しなければならないこと)とshould(チャリティ・コミッションが法人に対してしたほうがよいと勧めること)の区分の紹介です。是非お読みください。


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会計学者へのお願い:大規模チャリティ適用会計だけでチャリティ会計全体を議論しないでください。 [2019年02月06日(Wed)]
 海外、とりわけ欧州の公益法人(チャリティ)政策の基本原則として比例原則が挙げられることが多いです。規模別に採用すべき会計も分けられています。英国のSORP(大規模チャリティ適用会計)は、年間所得が50万ポンド以上のチャリティだけに適用され、その簡易版を含めても25万ポンド以上です(Morgan 2013;出口2017)。それ未満については会計は発生主義を採用していません。数カ国の知識しかありませんが、規模に関係なく非営利組織に現金主義を認めていないのは、小生が知る限りにおいて日本だけです。

 最近、優れた会計学者がチャリティ会計の本や論文も出し、内容も素晴らしいものがあります。、会計学の議論としてはSORPは格好の題材でしょう。しかし、SORPのことだけを論じて、「チャリティ会計は発生主義である」という主張を会計学者の皆さんがなされるのは非常に紛らわしいと思います。

 番場嘉一郎先生は減価償却不要論をはじめとして、このあたりのことをしっかりとご研究されていたのですが、どうも皆さん参考にもされていないようです。
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中小規模チャリティ組織は現金主義 イギリスの会計規制 [2016年09月19日(Mon)]
「ほとんどの国で(例えば、イングランド、ウエールズ、スコットランド、米国)では、中小の公益組織(チャリティ)には、報告の免除や(発生主義というよりはむしろ)現金主義での報告が認められている」(Cordery, C. J., & Sim, D. (2014). Cash or accrual: What basis for small and medium-sized charities' accounting?. Third Sector Review, 20(2), 79.


 ということで、本日はイギリス(イングランドとウエールズ)のチャリティ専用法人格CIOの会計規制を紹介したいと思います。規模別に四区分されてそのうちの下から二つは以下の通りです。



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