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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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収支相償に対する切れ味鋭い説明 [2020年07月02日(Thu)]

○山野目座長 ただいま収支相償の問題と寄附にかかる贈与税の課税関係の発生に関して 特段の御意見を頂戴いたしました。いただいた2点に関するお話は、この有識者会議にお いて引き続き検討に際して留意してまいることにいたします。この際、何か特段の御発言 がおありでいらしたならば承ります。


 ○米澤室長 事務局から、2点コメントを申し上げます。収支相償についてはしゃくし定 規に運用しているようにいつも受け取られてしまって、私どもの説明が不十分なところも あって大変申し訳なく思っております。例えば、将来的にやりたい事業に備えて資金を確 保しておく「特定費用準備資金」という仕組みもありますので、そういった仕組みも御活 用いただければと思います。


           公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する

有識者会議(第 5 回 )令和2年4月2日(木)議事録



収支相償についての誤解には間髪を入れずに説明する。特定費用準備資金だけをズバッと言う。いいですね。このブログの主張と一致します。

内閣府公益法人室長=内閣府公益認定等委員会事務局長です。久々に事務局長から切れ味の鋭い発言がありました。


収支相償は特定費用準備資金が「適正な費用」として必ず毎年クリアできるように設計されています。


「解消」などとガイドラインにない用語を使い出してから誤解が広がりました。


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収支相償をはじめとする財務三基準とシステム論的思考 [2020年06月30日(Tue)]

公益法人の収支相償規制が「黒字を出してはいけない」とか、遊休財産規制が「余裕資金をもってはいけない」とかに理解され、その結果「制度は法人の持続可能性を考慮していない」というような理解をされている公益法人の役員の方はいらっしゃいませんか?

それは誤解であることをこのブログで繰り返し述べています。


新型コロナウイルスの時代を迎えて、今の公益法人制度では経営できないと感じている理事の方も多くいらっしゃると思います。


こうした法人の不安に当局はもっとしっかりとしたメッセージを出してほしいものですが、立場上、なかなか言えないのかもしれませんし、誤解ではないと思っている可能性もあるやもしれません。


この数年の解釈変更が「法人の活動がしやすいように緩和」したはずのものが廻り回って、「寄付に指定があっても指定正味財産ではない寄付

といった訳の分からない会計上の新たな規制まで生み出してしまっています。


こうした現象を説明するのに「相互連関性」という用語で説明してきましたが、これもご理解頂くのは難しかったようで事態は改善していません。


本日は随分昔に流行った「システム論」を使って解説してみたいと思います。


収支相償規制、遊休財産規制、公益目的事業比率規制のいわゆる財務三基準の細部の骨子を作った方はシステム論的な思考方法があったように思います。


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公益法人協会のアンケート結果と全国公益法人協会での収支相償等立法趣旨の講演 [2020年06月25日(Thu)]

公益法人協会が「公益法人・一般法人の運営および寄附等に関する アンケート調査結果 (2019 年 12 月実施分)」 を公表しています。


手間のかかる作業を毎年していただいて頭が下がる思いです。


「公益法人になって苦労している点、困っている点」では、実に回答数の81.2%が何らかの点でお困りになっているようで、ほぼ半数の 48.9%(703 件)の法人が「毎年の定期提出書類の作成事務負担が大きい」と回答しております。また、「収支相償で事業活動が制限される」についても 46.4%(667 件)と過半数に迫る勢いで、協会はこれら 2 つの項目が公益法人を苦労させてている主な要因と考えているようです。


 認定法や認定規則で制限されているはずの提出書類が、電子申請でできるようになったことから、一旦出来上がるとそれにしたがって惰性で提出書類が提出されることになります。書類は本当に必要な分だけを求めているのか、不断のチェックが必要かと思います。


 また、収支相償については、制度設計者として大変申し訳なく思います。ただし、「民間の公益の増進」という立法趣旨のもと、収支相償については十分にいろんなことを考えて作り上げてきました。根幹は「公益目的事業から生じた収入は公益目的事業の適正な費用に使用してください」というそれほど常識と違和感のないはずのメッセージが、「黒字を出してはいけない」という非常識なメッセージに変えられて伝わっていることが残念でなりません。


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病膏肓に入る収支相償と特定費用準備資金 [2017年08月12日(Sat)]
特定費用準備資金をめぐる混乱が起きるであろうことは平成27年の年04月16日にこのブログで予想していたところです。残念ながら、その予想が的中してしまっているようです。公益認定等委員会の会計研究会報告にそれがはっきりと示されています。


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河野太郎行革担当大臣が収支相償の運用見直し指示 [2016年07月14日(Thu)]
 昨日のTBSニュースによると、河野行革担当大臣が、国と地方の間で運用にばらつきがあるとして、内閣府にルールの周知徹底と、運用見直しを指示したそうです。

さすがに河野大臣、問題の本質をしっかりと押さえていらっしゃる。

(収支相償は)「単年度で収支をバランスしなければならないというものではなくて、翌年度以降に繰り越しをするなど弾力的な取り扱いができるのですが、これが必ずしも行政庁で徹底をされておりません。」

収支相償の現在の運用の課題を的確に表現されています。収支相償は余った資金を公益のために使うことを宣言させるものです。つまりアセット・ロックです。そのことを見事に一言で表現されました。まさに本ブログで言い続けた内容です。
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非営利法人研究学会 第19回大会(神戸大学)で収支相償論を発表します [2015年09月13日(Sun)]
非営利法人研究学会 第19回大会が9月16日・17日に神戸大学で開催され、「“クリープ現象”としての収支相償論」を発表します。
 これは、今回のFAQ改訂に伴い追加された問5−2−Eの「剰余金解消計画の一年延長」が制度設計時とどこかどのように異なるのか、そしてそれはどのような経緯で「変形」したのかを、公表資料に基づいて検証しております。
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開高健の『輝ける闇』と消えた「短期の特定費用準備資金」 [2015年06月04日(Thu)]
 ノーベル文学賞の有力候補といわれながら、病魔に襲われ受賞が適わなかった開高健さんの作品の一つに『輝ける闇』というものがあります。べトナム戦争の従軍記者を主人公にした小説で、文豪が文字通り命を懸けて生み出した不朽の名作です。

 「輝ける闇」という表現はいうまでもなくoxymoronと呼ばれる撞着語法・矛盾語法です。まさか編集者が開高さんのタイトルに文句をつけることはないでしょうが、現実の社会ではoxymoronのような投げかけに対して頭から否定されることは少なくありません。ましてoxymoronのように見えてそうでないものもありますので、このような表現に出会った時には慎重に対応されることをお勧めします。

 そう思っていたところ、今回のFAQの改正で「短期の特定費用準備資金」という用語が消えました。会計研究会は議事録を公開していないので、どのような深遠な議論がなされてこの言葉が消えたのか知る由もありませんが、小生にとっては思い出深い用語です。




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側抑制と収支相償 [2015年05月13日(Wed)]
自慢ではありませんが、小生は高校時代から、interdisciplinary(学際的)という英単語を知っていました。ある理想に燃える研究者が学内や文部省を説得し、この用語を使って文理融合型の文系学部を新設したからです。日本ではこうした文理融合型の学部新設は初めてのことでした。都内の高校生だった小生は、三木清が西田幾多郎を慕って一高から京大へ進学したことを恥ずかしげもなく意識しながら、阪大まで行きました。その理想が高かった故でしょうか、激務の中新学部新設の中心になられた阪大の先生は、学部新設後ほどなく他界され、残念ながらその謦咳に接する間もありませんでした。
 
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収支相償の略称を適正費用規制にしてみては如何? [2015年04月26日(Sun)]
 公益法人制度のいわゆる財務三基準の中で、遊休財産規制にしても、公益目的事業比率にしても、法律上の用語が使用されています。しかし、認定法5条6号及び14条のいわゆる収支相償についてだけは、法律上の用語というよりも、条文を些か意訳しすぎた略称になっていないでしょうか。この略称が一人歩きした結果、「黒字を出してはいけません」というメッセージが、法人サイドにも、監督する側にも蔓延してしまっているように思います。そこで、略称を法律の条文を忠実に反映した「適正費用規制」に変更してみてはどうでしょうか?「適正な費用」とは何なのかというこの法律の根幹部分に間違いなく多くの関心が集中するものと考えます。これならば、法改正も、「緩和策」も必要なく、世の誤解を解くことができるのではないでしょうか?


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智に働けば角が立つ。特定費用準備資金 [2015年04月16日(Thu)]
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。夏目漱石はうまいことをいうものです。

「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について(最終報告書素案)」に関する御意見について(御意見の取りまとめ)(以下「意見のとりまとめ」という)が内閣府から発表されました。なお、私が提出した意見はここをご覧ください。

 「意見のとりまとめ」について少々愕然としております。行政手続法上のパブリック・コメントではなさそうで、96件集まったとされる意見のうち、54件に回答が付されております。ある程度は、答えられない意見が寄せられていただろうとは想像しましたが、中途半端に回答されたものを読む限り、問題意識が通じていないのではないかと思います。さはさりとて、3期後半の委員会に期待をせざるを得ないわけですから、ここであまり細かなことまで指摘するのも、こちらの品位が疑われてしまいます。



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収支相償の3つの基本公式 収支相償と特定費用準備資金その2 [2015年01月28日(Wed)]
先日、収支相償と特定費用準備資金のことについて書きましたが、本日はその追加です。本日の目的も「黒字を出してはいけない」というメッセージを払拭することにあります。

収支相償とは次の二つの規定を指して言います。

【法第5条第6号】
その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。

【法第14条 】 公益法人は、その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない。

確かに字面をみると、憂鬱になってしまいそうになりますね。

1.条文の趣旨
この規定の趣旨は次のようなものと考えられます。

公益目的事業は、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものですから、事業の特性として資源を最大限に活用し、無償又は低廉な対価を設定することなどによって受益者の範囲を可能な限り拡大することが求められているものと考えられます

もともと、公益法人の指導監督基準には、「対価を伴う公益事業については、対価の引下げ、対象の拡大等により収入、支出の均衡を図り、当該法人の健全な運営に必要な額以上の利益を生じないようにすること」とありました。対価の引下げが、収支の均衡に寄与するかどうかという経済原理についてはここでは措いておきましょう。認定法では「対価」以外にも拡大はしていますが、収支相償はこの基準が元になったものと考えればわかりやすいでしょう。

2.条文の視点
 この条文には、次のような視点があると思います。もちろん、これ以上にもあるのですが、全てを解説するとわかりにくくなるので、次の3点だけを指摘しておきましょう。
@ 適正な費用の範囲とは何か。
A 収入の範囲とは何か(長くなるのでこの部分は改めてにいたします)。
B 収入が実施に要する適正な費用を償う額を超えないとはどういう意味か。

 念のために言っておきますが、収支相償で比較するのは、「収入」と「適正な費用」です。
公益目的事業費の会計上の「収益」と「費用」ではありません。

この辺りが、かえって会計の知識のある人には読みにくくなっています。

3.基本公式@ 費用の公式
収益事業等を行っていない場合及び収益事業等の利益の50%を繰り入れる場合には、ガイドラインには、

以下の合計額を費用とする、とあります。
@ 損益計算書上の公益目的事業の会計に係る経常費用 
A 公益目的事業に係る特定費用準備資金の当期積立て額

ここでは、@は公益目的事業費、Aは特費積立額と簡単に呼びましょう。

そうすると以下の公式ができます。
収支相償上の費用=公益目的事業費+特費積立額

これを 収支相償の基本公式@ 「費用の基本公式」と呼んでおきましょう。
 
収益事業等の利益の繰入額が50%を超えるときには、さらに付加されて複雑になりますが、基本はこの式を考えることなので、収益事業等の利益の繰入額が50%を超えるときは、今日の説明から除外しておきます。全部説明するとまたわからなくなりますから。

4.基本公式A 適正な費用の公式
さらに、ガイドラインは、少し離れた場所で、
B 費用は「適正な」範囲である必要から、謝金、礼金、人件費等について不相当に高い支出を公益目的事業の費用として計上することは適当ではない。(以下略)
としていますから、公益目的事業費には、適正でない費用を入れないということが前提となっています。万一、赤字を出すことに必死になって「不相当に高い」費用を計上していたとしましょう。

そうすると
収支相償上の「適正な費用」=(公益目的事業費+特費積立額−「不相当に高い部分の額」)となります。最後の「不相当に高い部分の額」をα(アルファ―です)と置き換えると、
αが「適正な費用」ではないとして収支相償上の費用計算から除かれる可能性があります(なお、ガイドラインにはαが発生しないことを前提としていますので、控除するとは書いてありません。ここではあえて計算式を念頭に入れてαとしておきます。)

そうすると、

収支相償上の
「適正な費用」=(公益目的事業費+特費積立額−α)


これをここでは 収支相償上の基本公式A 「適正な費用」の基本公式と呼んでおきましょう。

 ただし、αがゼロでないということは「適当ではない」ということになります。

「適正な費用」の基本公式をみると、法人が何をしなければならないかよくわかります。

 ここで αがゼロでないときには、満たしていた収支相償が満たしていないことにもなりかねないことから、第5条第6号や第14条に抵触することになりますし、あるいは第5条2号の経理的基礎というものに抵触する可能性があります。もちろん、第5条第3号、4号の特別の利益にも注意しなければなりません。

 したがって、相手がだれであっても、「不相当に高い支出」とりわけ収支相償を逃れるための無駄な支出は厳にやめておくようにお勧めします。言い換えれば、αを常にゼロにすることが法人に求められていると考えます。
(なお、平素より合理的な理由に基づき正しい手続きで「高い支出」をしている場合には、「不相当に高い支出」ではなく、民間らしさの一環とも考えられます。絶対額だけで萎縮しないようにしてください。)

さらに、ガイドラインを見ると
(第1段階では)収入が費用を上回る場合には、当該事業に係る特定費用準備資金への積立て額として整理する。
と、記載されています。

つまり、ガイドラインでは、特定費用準備資金への積み立ては決して「例外的な措置」ではないことがお分かり頂けると思います。

5.基本公式B 剰余金の公式
収入の話をすると非常に長くなりますので、改めてにさせてください。次に「収支相償上の剰余金」の話に飛びましょう。

同じく、収益事業等を行っていない場合及び収益事業等の利益の50%を繰り入れる場合は
(収支相償上の剰余金)=「収入」−「適正な費用」です。
  つまり
   =「収入」−(公益目的事業費+特費積立額−α)

     αは通常はゼロでなければなりませんので、
 収支相償上の 「剰余金」≒「収入」−(公益目的事業費+特費積立額)
または 「剰余金」≒「収入」−公益目的事業費ー特費積立額 


と簡単に考えてもいいです。
 これを 収支相償上の基本公式B 「剰余金」の基本公式と呼んでおきましょう。

つまり、「剰余金が出たので特定費用準備資金として積み立てた」という表現は正しくありません。収支相償上の剰余金は、特定費用準備資金を積み立てることが前提となっております。くどいようですが、特定費用準備資金が組み込まれているといってよいと思います。

また、剰余金を(公益目的事業費の収益−費用)と理解すると、ガイドラインが全く理解できなくなってしまします。式からいっても、黒字、赤字という言い方となじまないことがわかると思います。

6.設問Bの答え
次に最初の設問のBを考えます。
「収入が実施に要する適正な費用を償う額を超えないとはどういう意味か」
についてですが、ガイドラインは次のように応えています。

(4) 剰余金の扱いその他
@ ある事業年度において剰余が生じる場合において、公益目的保有財産に係る資産取得、改良に充てるための資金に繰入れたり、当期の公益目的保有財産の取得に充てたりする場合には、本基準は満たされているものとして扱う。このような状況にない場合は、翌年度に事業の拡大等により同額程度の損失となるようにする。
A 事業の性質上特に必要がある場合には、個別の事情について案件毎に判断する。また、この収支相償の判定により、著しく収入が超過し、その超過する収入の解消が図られていないと判断される時は報告を求め、必要に応じ更なる対応を検討する。

収益事業等を行っていない場合及び収益事業等の利益の50%を繰り入れる場合は

公益目的保有財産に係る資産取得、改良に充てるための資金(資産取得資金)への繰入れ等の手段は「本基準は満たされているものとして扱う」わけであり、特費積立額でクリアしていれば、そもそも剰余金すら発生していないということになります。

ここで収支相償解決のためのメニューがいっぱい出てきますので、目移りしますが、「適正な費用」に当初から入る「特費積立額」と、「本基準は満たされているものとして扱う」とされる他のメニューとは位置づけが異なることはお分かり頂けるものと思います。

収支相償の法の趣旨と法人の柔軟な活動を支援するという「読み方のコツ」を使えば、少しは制度が使いやすくなるのではないでしょうか?

先日も述べましたが、「不相当に高い支出」に気を付けるべきであり、一般的な意味での黒字すなわち(公益目的事業費の収益−費用)については、そもそもそんな式は出てこないのですから、気にしなくてよいのです。

結局「黒字を出してはいけない」というメッセージが誤解を与えるということばかりではなく、不用意な支出を誘発する恐れがある「危険」なメッセージであるということがお分かり頂けたものと思います。

さらに、ガイドラインを読み続ければ、本当に「感動に」出会えますよ!!
法人の皆様が自由で柔軟な公益活動を実施されることを祈念致しております。
年度末に向け収支相償関連で絶対してはならないこと [2015年01月19日(Mon)]
 3月末決算の公益法人が多いのではないかと思います。年度末になると収支相償がことさら会計担当者への心理的なストレスになっているようにも聞いております。

「法人の運営上、お金を余らせても(黒字になっても)大丈夫ですよ」ということは先日のブログで指摘した通りです。このメッセージだけでもほっとするのではないかと思います。

 逆に、黒字を無理になくそうとして、妙なことをすることだけは絶対に避けて下さい。そのような誘因を無くすためにこそ特定費用準備資金があると考えてください。

 単年度会計は役所でずっと用いられているものですが、当然、運営面でやりにくく、年度末に予算が余りそうになることがあります。そこでそのようなときに予算を使い切るための、「悪い意味でのテクニック」が多くの役所に蔓延していました。会計検査院が度重なる検査を行い、これらの「悪い意味のテクニック」は、不適切な事務処理としての見解が何度も出ていますから、いくら法人のために行ったといっても、これらの「悪い意味のテクニック」は「不適切な会計処理」として、公益認定法5条2号(経理的基礎)や5条6号(収支相償=「適正な費用を償う額」として認められない)として公益認定法に抵触していることが疑われるものと思われます(会計検査院の結論をすべて適用してよいのかという議論はここではひとまず措いておきましょう。)

そのような「悪い意味のテクニック」の一つに、いわゆる「預け金」(会計上の「預り金」とは全く異なるものです)というものがあります。
 業者等に契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより費用を支払って、業者等に「預け金」として保有させて、後日、これを利用して契約した物品とは異なる物品を納入させるなどしていたものです。業者等をいわば財布代わりにしてつじつまを合わせる方法です。

この「悪い意味のテクニック」は、ルール上はっきりダメだとして考えておいた方がよいと思われます。

 無駄な支出も無駄ですよね。

 要は、収支相償のために無理やりつじつまを合わせるために支出を増やすのではなく、「余らせたうえで」ルールとして確立している特定費用準備資金を中心とした内閣府が勧める方法を活用することを強くお勧めします。余った場合のことを考えて、事前に、冷静に公益の増進のための計画を理事会などで話し合っていくことも、大切だと思います。

 なお、ガイドラインの「特定費用準備資金」の記載は、柔軟な対応を可能にするためのものだと考えてもう一度熟読してみてください。規制だと思って読むと難解な文体でなかなかわかりにくいものですが、柔軟な活動のための規制緩和の文章だと思って読むと全く違って読めると思います
収支相償と特定費用準備資金 [2015年01月18日(Sun)]

収支相償対策に特定費用準備資金を活用してみてはいかがですか?


 ちょっとあまりにも誤解などが多いので、久しぶりにブログを始めてみました。

 巷間、「公益目的事業では黒字を出してはいけない」と叫ばれていますが、これはかなり歪曲されたメッセージです。このメッセージの広がりが、無視できない大きさにまで広がっているように感じています。「赤字にすることを考えながら」事業するなんてことはあってはなりませんし、そのようなメッセージを発することがないようにしましょう。


「必ずゼロ以下にする必要はありません」というのが内閣府の公式見解として出されています(よくある誤解 回答3)。「公益目的事業に再投下」する場合には、収支相償は満たされます。とりわけ、「特定費用準備資金」は使いやすい制度です。ただし、「特定費用準備資金」についても使いにくいという誤解が広がっているようですが、その点は改めて書くことにしたいと思います。

 ここで強調しておきたいのは、「公益目的事業は黒字を出してはいけない」という誤解が広がることを想定して、それを回避するために、「特定費用準備資金」がつくられたということです。黒字が出たときのために、平素の理事会で特定費用準備資金を設定する必要が出たときに、何のための「特定」の「費用」に充当するのかを議論しておくことをお勧めします。それは公益の増進のための平素の議論と言ってもよいでしょう。

 収支相償は公益目的事業財産を公益目的事業のために使用することをフロー面で担保するものだと思います。「特定費用準備資金」の設定とは、将来的に費用として公益目的事業のために使用することを法人として「宣言」することだと考えればよいのではないでしょうか。

 また、赤字黒字というのは法人の「運営面」の結果です。収支相償は「運営面」を束縛するものではないと思います。法人さんの自由で柔軟な運営を応援しております。
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