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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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会計学者へのお願い:大規模チャリティ適用会計だけでチャリティ会計全体を議論しないでください。 [2019年02月06日(Wed)]
 海外、とりわけ欧州の公益法人(チャリティ)政策の基本原則として比例原則が挙げられることが多いです。規模別に採用すべき会計も分けられています。英国のSORP(大規模チャリティ適用会計)は、年間所得が50万ポンド以上のチャリティだけに適用され、その簡易版を含めても25万ポンド以上です(Morgan 2013;出口2017)。それ未満については会計は発生主義を採用していません。数カ国の知識しかありませんが、規模に関係なく非営利組織に現金主義を認めていないのは、小生が知る限りにおいて日本だけです。

 最近、優れた会計学者がチャリティ会計の本や論文も出し、内容も素晴らしいものがあります。、会計学の議論としてはSORPは格好の題材でしょう。しかし、SORPのことだけを論じて、「チャリティ会計は発生主義である」という主張を会計学者の皆さんがなされるのは非常に紛らわしいと思います。

 番場嘉一郎先生は減価償却不要論をはじめとして、このあたりのことをしっかりとご研究されていたのですが、どうも皆さん参考にもされていないようです。


 その上、日本への適用問題として、非営利組織の会計が発生主義であることを前提に議論すれば、混乱は必至でしょう。2011年のNPO法人の調査で66パーセントが現金主義を採用していたことも、当然といえば当然なのです。

 会計を言語に模する考え方がありますが、現金主義か発生主義かというのは母国語が異なるようなものです。特に資金収支ベースで貸借対照表を作成することは非常に難しいものがありましたが、番場先生が関わって見事な資金収支ベースの会計基準を作り上げています。

 小生は現金主義を徒に勧めるものではありませんが、会計学者の先生方が、せっかく研究業績を上梓されるのであれば、是非、誤解のないような表現を使っていただきたいと思います。
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