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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益認定等委員会よ、しっかりせよ。 [2016年08月01日(Mon)]
 内閣府公益認定等委員会が今年も会計研究会を開催することを公表しました。その文面を見て驚いた公益法人関係者が小生宛に一斉に問い合わせをしてきました。


 基礎の基礎、いろはのイに問題がある。このブログでそのことは何度も感じていましたが、武士の情けで、多少、舌鋒を緩めてきたのは間違いだったのかもしれません。


「現在、新制度への移行はほぼ完了し、税制優遇を受ける法人が、安定的な経営を行いつつ、寄附等から形成された財産を過大に内部留保せず、無償・格安でサービスを提供するという制度改正の趣旨に沿った運用が積み重ねられている」とありますが、公益法人には、「内部留保」という概念はすでになく、認定等委員会としては間違ってはいけない箇所です。


 この文面が委員会をすり抜けてしまったという点で、残念ながら専門委員会としての鼎を軽重を問わざるを得ません。
 企業会計用語である「内部留保」の誤用は一事が万事であるばかりでなく、公益法人関係者に対してはその気持ちを逆なでするに等しい影響を与えています。


 もともと強制適用ではなかった平成20年度公益法人会計基準をIFRSにあわせたばかりではなく、旧FAQでは平成16年度公益法人会計基準、昭和60年度公益法人会計基準をも許容していたのにもかかわらずに、事実上、平成20年度公益法人会計基準を強制適用させようと、FAQが変更されたばかりだからです。



 これでは、何のために任意提出である別表gが存在しているのか、説明できるのでしょうか。


法人には平成20年度公益法人会計基準を使えといいながら、自らは平成20年度公益法人会計基準には存在しない企業会計用語(「内部留保」)を堂々と使っていることに、公益法人関係者は強い憤りを感じています。


 さらに仔細に検討すれば、「収支相償の基準を充たすために特定費用準備資金を積み立てる際には、将来に予定された事業の実施や事業拡大に限らず、将来の収支変動に備えて資金を積み立てることができるよう、要件の明確化等」を検討することになっています。


 しかし、この点は昨年(平成26年度会計研究会)のパブリックコメントに対する回答(「意見のとりまとめ」)において、法人側が訊いてもいないことにもかかわらず、以下の通り同種のことが可能であるとすでに述べています。


@「特定費用準備資金において将来的に発生する赤字の補てんについては、制限をしていないところです。」

A「単年度の収支で黒字が発生した場合に、将来の赤字が見込まれる場合には、これに備えて、資金を積み立てる(特定費用準備資金)や将来の将来の公益目的事業に使用するための財産の取得なども可能」です。


今ごろ、「将来の収支変動に備えて資金を積み立てることができるよう」とはどういうことなのでしょうか?


 そのときにも、ブログで、こうした行き過ぎた会計の勇み足に強い警告を発しています。


 収支相償をはじめ財務三基準は法令解釈であって、会計の専門家にのみ任せてはいけません。公益認定等委員会の真摯な対応に期待いたします。

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