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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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猪瀬さんの「フィランソロピー首都」「公益庁」新設構想の素晴らしさ [2015年12月30日(Wed)]
 大阪の副首都構想について、大阪府市の特別顧問となった猪瀬直樹氏が12月28日の第1回副首都推進会議で、「フィランソロピー首都」「公益庁」新設構想(以下「猪瀬構想」)を発表しました。

 「大阪からこの国のかたちを変えることができる」と主張したその内容は、「官都」東京・「民都」大阪の構造のもとに発展してきた日本の伝統と将来を見据えたものです。地域エゴによる首都一部移転構想とは異なり、「官都」と「民都」をつなぐ懸け橋としてのサード・セクターとして「公益庁」を新設し、大阪を「フィランソロピー首都」として非営利セクターを活性化させることが日本の将来にとって必要だ、という壮大な構想です。

  会議の後のぶら下がり記者レクでは、端的に分かりやすく説明しています。
また会議全部の録画はYouTubeにアップされており、1時間10分ぐらいのところから、猪瀬構想の説明が始まっています。是非ご覧になってください。


これらの説明を聞く限りにおいて、「公益庁」の新設は役所に屋上屋を重ねるのではなく、旧民法34条法人下で、もともと一つであった学校法人、社会福祉法人、公益法人等の関係部署を一つに集めることによって再編するもので、行政改革に逆行するものではないと思います。大阪にこれらの部署を一か所に集め、「新しい概念」をつくって「組み立てる」ことによって、世界のフィランソロピー・マネーが最も有効に活用できるようにしようという壮大な計画のようです。

「世界観をつくっていく」「大阪の発想で国を変えるのだというビジョン」ということの重要性を指摘しています。

 マスメディアが「公益庁」という分かりやすい用語に飛びつく一方で、猪瀬さんが「フィランソロピー・キャピタル(首都)」という深みのある提案もしていることにも注目すべきでしょう。「フィランソロピー」とは「フィル(愛する)」と「アントロポス」(人類)というギリシア語を語源にもつ英語です。組織的な寄附、財団の助成金などに使用される、いわば、専門的な知識を背景に含んだ寄附といってよいかもしれません。猪瀬さんは「税金とは異なる流れ」とも説明しています。

その代表例の一つとしてマーク・ザッカ―バークの5兆円の寄附が挙げられます。ザッカ―バークはいわゆる従来の財団のカテゴリーではなく、LLC(Limited Liability Company)という新しい組織体を使った新しいフィランソロピーを計画しています。

残念ながら、ネオリベラリズムは巨大なマネーの集中を可能にしてしまいました。そのマネーが最も有効なフィランソロピー活動を可能にする場所(及び制度)を模索しているようにも思います。そうした世界のフィランソロピー・マネーにとって魅力的な都市は現在の日本にあるのでしょうか。公益法人制度改革で税制のことは解決しています。ザッカ―バークの寄付は税プラスアルファ―が必要であることを世界に示したようにも思います。忖度しすぎかもしれませんが、猪瀬構想は第三の役所としての「公益庁」創設によって、世界に伍していけるようなモデル、ないしは世界に先駆けたモデルを大阪に作ろうとするものだと思います。

もちろん、ザッカ―バークのような巨大寄附だけについて言及しているのではありません。今の大阪城は昭和初期に市民の寄附によって再建されたものです。猪瀬さんはこれを「大阪城は昭和のクラウド・ファンディング」という言い方をしました。思わずうなりました。「クラウド・ファンディング」というのは、今世紀に入ってIT技術の進展によって発達した寄附による資金調達手法です。「共感寄附」とも訳され、達成したいプロジェクトをWEB上で提示し、賛同者の寄附を集める方法です。これと同じコンセプトは昭和初期の大阪にあったのだという主張ですから、柔軟な発想に本当に驚きました。

もう一つメディアが見落とした重要用語に「サード・セクター」「第三のセクター」というものがあります。「政府でもなく、企業でもない、第三のセクターである、その規模は35兆から40兆円」という驚くべき規模についての指摘があります。この部分の首都機能を大阪に持とうという提案だと思います。

是非実現に向けて大きなうねりができることを期待しております。
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