• もっと見る

民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


<< 2026年01月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
月別アーカイブ
アカデミックな学会は公益法人または認定NPO法人を目指せ [2015年09月21日(Mon)]
 今年の夏の官庁の人事異動で、第4代内閣府公益認定等委員会事務局長を務めた駒形健一氏(前公害等調整委員会事務局長)が日本学術会議の事務局長となりました。現役の方なので人物評は差し控えますが、公益認定制度を熟知した方が日本学術会議の事務局長となったということは実に意義深いものです。また、公益も公害も共に考えてきた人だというのも偶然とは思えません。日本学術会議は、我が国の人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野の約84万人の科学者を内外に代表する機関であり、210人の会員と約2000人の連携会員によって職務が担われています(同会議WEBより)。研究者の集まりである学協会(以下「学会」という)の多くは、日本学術会議協力学術研究団体となっており、日本学術会議と学会との関係は深いものであります。

 
 学会は言うまでもなく研究者の学術論文や学会発表の質の正当性を測る基礎的な組織でもあります。現在では、学会での評価(例えば、論文の査読結果)などが、研究者自身の評価やその研究者が所属する機関の評価に直結し、ひいては税金の配分にまで影響しています。言ってみれば、学会の中に公的な性質が内在しているともいえます。つまり、公益性が前提となった組織になっているとでも言えましょう。
 今回の公益法人制度改革にあたって110の学会が公益法人、一般法人の学会は94、NPO法人の学会は114となっています(いずれも筆者調べ。2015年3月時点)。筆者の調べた結果ですが、一般法人の数より公益法人の方が多くなっています。

 学会での評価を税金の配分の基礎として利用してきたのも研究者自身です。社会に対して、しっかりと情報公開をして、その正当性を主張し続けなければならない時代に入っているようです。「皆、ボランティアでやっているのだから」という甘い気持ちが通用するとはとても思えません。例えば、一部の研究室が学会を私物化し、利益相反の塊となっていては、公益どころか、社会にとって有害であるだけです。一貫性の保てない学会、説明責任の果たせない学会は、学会の存在そのものが社会にとっての「公害」と言ってよいかもしれません。
組織として一般法人やNPO法人のままでは駄目だというつもりはありませんが、すくなくともガバナンスや情報公開に関しては、公益法人ないし認定NPO法人と同等であることが必要だと思います。今の一般法は、会社法を写したものであり、多くの学会で使いにくいことはよく分かります。また、公益認定法も使いにくいという声も聞きます。そうならば、そこから逃げるのではなく、そのことを含めて研究対象とすべきでしょう。研究者なのですから。とりわけ、NPOの研究者は真っ先に研究すべきでしょう。最も身近なNPOなのですから。

 これほど法整備が進んだ状態で、学会が任意団体のままでコンプライアンスに甘い状態でいることは許されないでしょう。

 大学改革で疲弊している研究者に鞭打つようで気が引けますが、これほどまでに研究者の社会的信用を落としたのもまた研究者自身であったということも忘れてはいけないのではないでしょうか。
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント