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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益財団法人公益事業支援協会が公益認定法改正に関する無料セミナー実施 [2025年04月08日(Tue)]

公益財団法人公益事業支援協会理事長千賀修一)が公益認定法改正に関する無料セミナー実施します。公益法人を苦しめていた財務三基準の大幅緩和に伴う公益活動の活性化を目指した改正法ですが、他方で注意すべき点も多々出てきました。改正法の概要と注意点、既存の公益法人や新規に公益認定を目指すためのセミナーを開催します。

同法人が出版した『小規模公益法人500ハンドブック』に現れた公益法人の実態に基づき、今後の民間による公益の増進の益々の発展を議論しようとするものです。参加者には同書を差し上げます。



1.日時 

  4月12日(土)

  13:30〜16:20 


2.場所 

  虎ノ門法曹ビル201号室

  東京都港区西新橋1-20-3 虎ノ門法曹ビル2F

 3. 参加費用 (リアル参加・オンライン参加)
  無料   

 4.申込締切日
 いずれの会場も開催日の前日12:00まで(会場参加の場合、定員に達した時点で受付終了となります。)

5.申込方法
 下記URLから受付フォームページにアクセスし、必要事項をご記入頂 きお申し込みください。

 

第1部 公益認定法改正により公益認定制度はどう変わるか

1.公益法人の実態や制度を知る専門家が非常に少ないことの問題点

  (1) 地方の公益認定の委員会の委員約 230 名のうち、公益法人役員の肩書を有する者はわずかに3名

  (2) 世界中で社会貢献専門機関が大幅に増大・活躍する中で、日本の公益法人のプレゼンスは大幅に低下。この分野での世界的調査で日本は最下位(114か国調査)やワースト2位(142か国調査)などの調査結果が続出。

2.公益認定を阻んでいるという都市伝説の「公益目的事業と経理的基礎及び技術的能力」の要件。「小規模公益法人500ガイドブック」の中を見れば公益認定を小規模でも受けることができることがわかる。

  (1) 小さく生んで税制上の優遇措置により大きな寄附を得て活動する海外の制度を習って大改革があったのに、公益認定時に「経理的基礎」を根拠に、申請時に寄附予定者の第三者の「寄附確約書」や「預金通帳」・「確定申告書」のコピーまで提出させていた近年の実態。

  (2) 「小規模公益法人500ガイドブック」は公益認定の教科書。不認定や勧告など悪いケースの前例しか文書が残らない構造であれば、毎年認定は厳しくなる。本書で紹介している、認定された前例である、「小規模公益法人500」を見ることで、真の認定の姿が明らかになる。

3.公益認定の財務基準が大幅に緩和され、ガバナンスが重視された内容について

  (1) 公益法人活性化のための法改正。公益法人活性化のための最大のチャンス。

  (2) しかし、拱手傍観していれば、元の木阿弥。

  (3) 新しいことを行おうと思えば、様々なところから批判が出る。しかし、今度は認定法第三条の二に、「公益法人は、公益目的事業の質の向上を図るため、運営体制の充実を図るとともに、財務に関する情報の開示その他のその運営における透明性の向上を図るよう努めなければならない。」とされた。

活発な活動を行う公益法人が一つでも多く誕生するための解説を行います。

<講師> 出口 正之


これまでの公益認定手続の実情と今後の改善について

1.講演者が設立又は当法人がサポートして公益認定を受けた法人は全部で8法人ある。また令和6年12月15日現在当法人のサポートを受けて公益認定申請又は申請準備中の一般法人が8法人ある。これらの経験を踏まえて以下のことを説明する。

  (1) 申請から審査終了までの期間

@ 4ヶ月以上3法人 A 5ヶ月以上1法人 B 7カ月以上1法人

C 9カ月以上1法人 D 1年6ヶ月以上1法人、これらの法人が審査に長期間要した理由

(2) 公益認定等委員会委員制度の問題点

公益認定法は、公益の増進のため旧法時代公益の認定権を官が独占していたのを民間の意見を取り入れることに変更。しかし、現在の公益認定制度は旧法の許可時代と変わらず公益認定をできるだけ出さないようにしている。

2.「新ガイドライン」のレジュメを見ながら以下の点について説明する。

  (1) 新ガイドラインは、総論的には公益認定法の制定の趣旨に沿っており、この総論の趣旨の通り運用されることが必要である。

  (2) 「小規模公益法人500ガイドブック」に掲載されている公益法人が行っている公益目的事業と、同内容の事業を行う一般法人が公益認定申請したとき、同様に公益認定を受けられることが公平な行政を行う上で必要である。しかし、これまで他の公益法人で公益目的事業として認められている事業を新たな法人が公益認定を申請したときこれを認定しない例がある。この点について国民の立場からどうあるべきかについて意見を述べる。

  (3) 公益目的事業と収益事業を区分する分岐点が明確になっていない。

公益法人である美術館において、美術に関連するグッズをミュージアムショップで販売するとき公益目的事業としている法人と収益事業としている法人がある。

  (4) 卒業生が母校の在学生又は卒業生に限定して奨学金を出す一般財団法人を設立して、公益認定を受けることができる。同窓会又は卒業生が母校の卒業生に対して奨学金を出している公益財団法人があるので、この制度を活用する方法について詳しく説明する。

  (5) 小規模法人が少ない予算(年間100万円以下でも可)で公益認定を受けることができることについて例をあげて説明する。

3.公益認定を詳しく取得した後の法人活動が活発になり、公益が増進し、それにより多くの人が恩恵を受けている法人を紹介する。

<講師> 千賀 修一


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