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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益法人の情報公開?まずは隗より始めよ! [2024年10月16日(Wed)]

 今回の公益法人制度改革の最重要点の1つは間違いなく情報公開だと思います。


 これに関連して公益法人の作業も大変多くなります。公益法人制度の改善のためであり、仕方ないことかもしれません。公益法人の関係者は今必死に取り組んでいるところです。


 しかし、地方分権の中で都道府県の行政庁の委員会の情報公開の現状はどうなのでしょうか?


 地方分権ですから、条例に基づいて認定及び監督の委員会たる第三者機関が設置され、地方においても「公益認定等委員会」や、「公益認定等審議会」などの名称が付けられ、委員会についての運営規則もそれぞれで作られています。


 運営規則の内容はほぼ同じであり、会議の議事録及び配布資料については個別審査に関わるものなどを除き一部の例外はあるものの、原則公開であり、これまでずっと公開されてきました。


 年に2,3回しか委員会が開かれていない県もあれば、人口が少ない県でも熱心に開催している県もあります。


 しかるに、本年度はすでに半年も過ぎているのに、会議開催の痕跡すらないものが、9県にも及んでいます。全国の20%近い県の数となるので、驚きです。


 もちろん、今年度に入って一度も委員会が開かれていないということはないと思いますが、そのうち6県は、本年になって一度も会議開催の情報がありません。


 さらに、そのうち1県は、最後の会議は令和4年3月であり、さらに、もう1県は実に平成30年3月が最後です。


 地方には地方の事情もあるのかもしれません。しかし、このことは地方の委員会でしっかりと原因や再発防止策も含めて議論し、その議事録を公開すべきでしょう。監督されている法人がどういう思いで、今回の大改正を受け止めているのか、その気持ちの万分の1でも思いをはせれば、当然のことだと思いますが、間違っているでしょうか?


 公益認定法では、内閣総理大臣は知事に対して、法人に対する勧告、命令、取消しなどの監督処分を行うことの指示を行う等の権限を有しています(公益認定法60条)が、地方分権の建前から、このようなことまで地方行政庁に対していちいち口出すことはかえってどうかとも思います。


 法人のチェックに関しては、行政庁は事細かに法令を超えたことまで指導しています。では、行政庁のチェックは誰がしたらよいのでしょうか?


 地方の委員は、自らの会議の開催録の公開状況すらチェックしていないのでしょうか?


 アカウンタビリティ、情報公開、大切でしょう。わかります。でも、まずは隗より始めよ!ではないでしょうか?



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