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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益法人制度改革の「理解が進まず」とは誰の理解のこと? [2022年12月22日(Thu)]

 「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」において大筋は素晴らしい議論が展開されていますが、残念ながら中には大きな前提の誤解によって議論がされている部分もあるように思います。


 それは、「(民間側の)理解が進まなかった」という前提で議論を進めている方がいらっしゃいます。


 確かに、民間側が正確な情報を得ていなかったことは衆目の一致するところかもしれません。


 それを「理解が進まなかった」とするのはいささか無責任であり、責任転嫁ではないでしょうか。


 ごく最近の内閣府は非常に正確な情報を出していますし、誤解を与えるような内容ではないと思います。しかし、それはわずかこの数か月に限られています。こうした情報をずっと出し続けていたのであれば、確かに「民間側の理解が進まなかった」と言ってもしょうがないかもしれません。


 しかし、当局等が「正しい情報を出していない」のであれば、民間側に「理解をさせてこなかった」と言うべきでしょう。その恐れがあるからこそ、内閣府は謙虚さをもって収支相償の誤った指導の事例を集めているのだと思います。


 このところの内閣府は素晴らしいと思います。


 他方で、誤った情報を出し続けていたことを隠そうとしているのでしょうか、全く反省なく「民間側の理解が進まなかった」と堂々と言うのであれば、おかしいのではないかと言わざるを得ません。


 そのことはこの長期間のブログ全てが繰り返し述べてきたことでもあります。「(当局等が)正しい情報を出していなかった」ことの証拠となりうるものと思います。


 その根源はズバリと言いましょう。2013年7月に設置された2015年の会計研究会最終報告書.pdfに遡ります。


 会計研究会(議事録も議事要旨も公表されていません)では「中小公益法人への対応」や「収支相償の緩和」を謳って始まった議論が、財務三基準の持つ相互連関性を考慮することなく、場当たり的な解釈変更をして民間側を大混乱に陥れました。


 「中小公益法人への対応」はガイドラインでしっかりと大規模法人、中規模法人、小規模法人に対する比例原則が存在しているのにもかかわらず、大規模法人との間に「線が引けない」という「ガイドライン知りません宣言」で対応を放棄しています。


 また、税務上の繰入額の要請から設けられた「他会計振替額」の定義を、突然変え、FAQも変えながら、公益法人会計基準の定義はそのままにしています。すでに、その時に公益目的取得財産残額への影響についてのパブリックコメントがありながら、全く無視して、突然、昨年から今年にかけて「手引き」や「FAQ」の変更で、法人会計からの他会計振替額その他の公益目的取得財産残額への計算方法を勝手に変え、他の行政庁に対してすら、混乱を与えています。


 収支相償に至っては、緩和策と言いながら、「収支相償の判断も事業年度単位で行う事が原則となる」と突然宣言し、それまでの内閣府の見解や現在の内閣府の見解と全く異なることを述べた上で「一年延長する」という「緩和策と称した規制強化策」を公表しています。


 さらに「指定正味財産」の縛りを強化し、全体で大きな規制強化を実施しています。


 これで果たして民間側の「理解が進まなかった」と言えるのでしょうか?


 まずは、毎年混乱を引き起こしていた「会計研究会」の責任をしっかりと問うべきです。


 それをしないで、「民間側の理解が進まなかった」ということを前提としても良い制度には決してならないでしょう。


            過ちては改むるに憚ること勿れ    論語
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