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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


公益法人を増やす方向性こそがFATFとの関係で絶対条件 [2022年12月21日(Wed)]

 公益法人に関する改正を議論する有識者会議の中で、唖然とするほど国際感覚の欠如した意見に遭遇します。


近年の各国の非営利法人制度の改正には、FATFの影響が非常に強くみられます。


当然、FATFとの関係を考えれば、行政との関係が深い公益法人にできるだけ多くの法人がなってもらうことが重要です。


しかるに、「税制上優遇措置のある公益法人で活動がしにくいのならば、一般法人で活動すればよい」と言わんばかりの危険極まりない提案が出されているのです。


これは、国益に反するどころか、国際的な孤立を招きかねない極めて危険な提案だと言えるでしょう。


公益に係わる法人は、簡単に、公益法人(=行政庁の監督下に置く)になれるようにすることが、当然の方向です。


すでに国際社会から非営利組織政策についてのダメ出しの勧告をもらっているのです。


行政庁の関与ができない公益を名乗る法人の増加は、制度設計時の2006年ならまだしも、国際情勢が緊迫化している東アジアの2022年の状況下でそのような法改正をすることは、国際的な批判の対象となることに十分留意すべきです。


まさに亡国の提案です


 内閣府は重ねてFATFに関する注意喚起を近頃行っています。


「FATF 勧告対応法」(=国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第千二百六 十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等 の一部を改正する法律)が成立し、12月9日にそれが公布されたばかりです。


それに沿った議論を有識者会議ではお願いいたします。


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