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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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内閣府が会計研究会の誤解釈によって作られた収支相償FAQを改正 [2022年09月01日(Thu)]

本日9月1日付で内閣府が公益法人・移行法人に関するFAQを改正しました。

今回改正されたFAQのほとんどが、登記情報連携によって登記事項の提出が可能となったことを伝える内容です。


しかし、その中で唯一登記事項と関係ない項目として、収支相償のFAQ問Vー2−Eが正しく改正されました。


FAQ問Vー2−Eは会計研究会の誤解釈を受けて、「短期調整金」という重要な概念を説明もなく議論もなく削除した上で、「収支相償は単年度が原則」という従来になかった「原則論」を強く打ち出したものでした。


しかも、これが「収支相償の緩和策」と銘打って打ち出されたことから、それ以降、現場は大いに混乱し収支相償に対する批判が急激に増加するきっかけとなったことは周知のとおりです。


これを元に戻した今回のFAQは内閣府の大英断であるとともに、これまでの会計研究会(法定外の組織)が議事録すら公開せず(当時)に行ってきた解釈変更を是非元に戻していただくことで、「公益の増進」の立法趣旨にかなった本制度の有効活用に大いに資することになると思います。


会計の範囲を大きく逸脱し、公益認定法の解釈を場当たり的に変更してきた会計研究会のこれまでの議論を公益認定法解釈の観点からぜひ第三者に評価してもらうことを強く勧めます。




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コメント
出口先生
詳細なご説明ありがとうございます。理解することができました。
お時間ありましたら、ぜひ別タイトルで今回の「別表Hの混乱」についてのご見解をお聞きしたいです。
Posted by:居関 剛一  at 2022年09月13日(Tue) 11:55
居関様

コメントありがとうございます。確かに「剰余金は翌々年度までに解消する」や(収支相償は)「公益目的事業に係る収入と公益目的事業に要する費用を比較すること」等当初なかった文言がそのままですから、ご心配はその通りと思います。ただ、役所的には原則論を元に戻したということは非常に大きなことだと思います。会計研究会⇒公益認定等委員会を経て変更されたFAQですから、簡単には元に戻せないのでしょう。当初変更されるときにもっと声が上がってしかるべきでしたね。小生のブログが唯一と言っていい孤独な主張でした。特に、「公益目的事業に係る収入と公益目的事業に要する費用を比較すること」については法律の規定と異なるわけですから、会計研究会の暴走を官民で止められなかったということでしょう。今回の修正はいつの間にか作られた「原則論」を放棄し元に戻した点でで内閣府は踏み込んだものとして評価しています。なお、「短期調整金」は居関さんのガイドラインのパブコメが契機となったものです。パブコメを経て誕生した重要概念を議論の痕跡すらなくあっさり消してしまった会計研究会の責任は非常に大きなものがあります。
Posted by:出口正之  at 2022年09月05日(Mon) 12:55
出口先生
問題の文言は削除されましたが、改正の前後で、「剰余金は翌々年度までに解消する」という取扱いは変わっておらず、行政庁による監督や指導の内容、また各法人の実務には影響がないのではないでしょうか。
Posted by:居関 剛一  at 2022年09月05日(Mon) 12:29
確かに一歩前進と思います。しかし、そもそも法律にも立法過程にも無かった「収支相償」という概念に拘泥することに、違和感と疑問を感じます。
Posted by:蓑 康久  at 2022年09月02日(Fri) 09:24