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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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内閣府が画期的窓口。収支相償についての指導に関する通報窓口を設置 [2022年08月04日(Thu)]

内閣府公益認定等委員会事務局/大臣官房公益法人行政担当室 が画期的な窓口を設置してくれました。


公益法人の収支相償についての誤指導に関する通報窓口です。            〇収支相償についての指導に関する通報窓口
 koeki_kaikei.j7w@cao.go.jp


収支相償については巷間の都市伝説を打ち破るべく本ブログでも何度でも取り上げていますが、内閣府がこのような窓口を設置するという「コロンブスの卵」的措置を思いつきもしませんでした。


内閣府はこれに先立って特定費用準備資金に関する解説を公表しています。


収支相償と特定費用準備資金とはセットで考えるべきもので、この一連の対応は内閣府のクリーンヒットと言えるでしょう。


特定費用準備資金についても、例えば、積み立てたのにもかかわらず、行政庁から例えば「合理的ではない」とか言われて、積むのを止めたりしたケースがあれば、通報してあげてください。


通報することは、実は内閣府を助けることにもなると思います。皆さんの積極的な通報がより良い制度の種となることをご理解ください。


なお、小生は内閣府の特定費用準備資金の解説をわかりやすくYouTubeで説明しております。是非ご覧ください。



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コメント
ご質問ありがとうございます。私の説明はガイドライン通りの説明をしています。

ガイドラインには、「資金について、止むことを得ざる理由に基づくことなく複数回、計画が変更され、実質的に同一の資金が残存し続けるような場合は、『正当な理由がないのに当該資金の目的である活動を行わない事実があった場合』(同第4項第3号)に該当し、資金は取崩しとなる。」となっています。「止むことを得ざる理由に基づくことなく」は二重否定になっていますので、理由の如何には関係なく1回(=複数回ではない)での変更可能です。 また、内閣府は明示的には言っていませんが、「やむを得ない理由の場合」には複数回変更しても計画の変更とはみなされず、取崩しにならないという意味でガイドラインは作りました(声を出して読んでください)。

ご質問の件はまず剰余金は法人会計での剰余金であることが大前提です。収支相償は、公益目的事業だけに適用されます。公益目的事業の剰余金は、法人会計の特定費用準備資金には積めません。その場合には、公益目的事業で積む必要があります。

 他方で、法人会計の剰余金については、法令上明示的に剰余金がでてはいけないというものはないのですが、はっきり言って内閣府の会計班の大暴走があって、今では法人会計の黒字に関しての、法令根拠なき(=違法な)指導が行われていると思います。

 法人会計での剰余金があった場合に認定法との関係で、問題になるのは、ご指摘の通り、遊休財産との関係だけです。法人会計の剰余金を法人会計の特定費用準備資金として積むことは可能であり、特定費用準備資金としての要件を満たしていれば、控除対象財産となり、遊休財産から控除可能です。ただし、ガイドラインには、「将来の単なる備えとして積み立てる場合は本要件を満たさない。」と明確に、将来の収支変動のための特定費用準備資金は要件を満たさないとなっています。ところが、会計研究会は「単なる」でない部分を認めるような提言を出したことから、現在は内閣府も「将来の収支変動の備えも特定費用準備資金で積むことは可能」といっていますが、公益法人協会ですら、その通り積んでも否認されましたので、事実上、これは使えないとも考えるべきですし、使う必要もありません。

 したがって、法人会計として、「公益の増進のために」将来的に法人業務部門の人員を増やすとか、事務機器を導入するとか、理事会の回数を増やすとか、理事会を泊りがけで実施するとか、いろんな法人会計のニーズがあるはずです。特定費用準備資金を積めば、少なくとも1回は自由に変更可能ですから、収支変動があった時にはその資金で対応可能です。つまり、全ての特定費用準備資金は将来の収支変動に備えられるようになっています。また、収支変動が「止む得ない理由」であれば、何度でも変更は可能です。
これは、固定資産に関することであれば、資産取得資金として積んでください。運用は差がありません。

 上記は、ガイドライン作成時の考え方で、その後、関連する法令、ガイドラインは変更されていませんので、正しいものと思いますが、その後、法令上位置づけの無い会計研究会が組織され、勝手な解釈を繰り返し、行政手続法上の審査の基準であるガイドラインを改正することなく、FAQを変更しております。したがって、現在、どのような監督が行われているかは、定かではなりませんが、私が公益認定等委員会委員長を務めている大阪府では、優秀な事務官は全員上記を理解してガイドライン通りの監督を行っています。

制度改革の議論も大事ですが、私は十分に自信をもって作り上げたこの制度がなぜここまでゆがんだのかを考えることも大事だと思います。


>斉藤さん
>
>ユーチューブを拝見しての質問です
>某財団の経理担当ですが、法人会計で剰余金が発生して遊休財産規制に抵触しそうなため、将来の収支変動に備え特定費用準備資金の積み立てを予定しています。(収支相償は積み立てなくても問題ありません)
>出口さんの説明を聞くと、積み立て時はガイドラインに抵触しても問題なく(正当理由なくても1回は変更できるから)、怖がらず自主的判断でやれば良いとの内容だと理解しました。
>この場合、当該積立金は控除対象財産として取り扱われると判断して良いのでしょうか?
Posted by:出口正之  at 2023年02月11日(Sat) 13:32
ユーチューブを拝見しての質問です
某財団の経理担当ですが、法人会計で剰余金が発生して遊休財産規制に抵触しそうなため、将来の収支変動に備え特定費用準備資金の積み立てを予定しています。(収支相償は積み立てなくても問題ありません)
出口さんの説明を聞くと、積み立て時はガイドラインに抵触しても問題なく(正当理由なくても1回は変更できるから)、怖がらず自主的判断でやれば良いとの内容だと理解しました。
この場合、当該積立金は控除対象財産として取り扱われると判断して良いのでしょうか?
Posted by:斉藤  at 2023年02月11日(Sat) 12:14