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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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FATFへの公益法人対策報告は是非大阪府をモデルに [2022年02月20日(Sun)]

 公益財団法人助成財団センターのフォーラムでは様々な助成財団の創意工夫に満ちた活動が紹介され、たいへん有意義な会議となりました。

 冒頭に、北原久内閣府公益認定等委員会事務局長が「公益法人をめぐる最近の課題・動向について」と題して挨拶をされました。そのときに昨年のガバナンス強化の報告についての話がありましたが、会計基準改定の議論や会計研究会について一切話がなく、その代わりにFATFの話がありました。これには少々驚きました。それだけ、FATF対応への危機感が増したということかもしれません。


 そうしたところ、FATFに関連してテロ資金供与に関して一部の公益法人にアンケートが実施されたことが内閣府より公表されました。

 公益法人の皆様、唐突な感はあるかもしれませんが、是非ご協力し、100パーセントのご回答をしてください。



 マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネロン等」という)の国際基準作りを行うための多国間枠組み「金融活動作業部会(Financial Action Task Force)」いわゆるFATFについては、本ブログでもたびたびその重要性を指摘していたところです。



 実は、マネロン等については、国際学会(ISTR)でも10年以上も前から議論されてきました。2014年6月にNPOsに対するリスクの報告書がFATFから出たことから、それ以降は特に活発な議論が展開されております。


 日本の場合には同報告書が出ても、そこで指摘されているNPOが、ガラパゴス化した非営利法人の中では正確に理解することが難しく、そもそもNPO政策に関する全体の指令塔がないために、本問題に対する意識が極めて希薄だったのではないかと思います。


 また、本件については国際的な議論とのギャップを痛切に感じるところです。日本の非営利組織が他国からテロ組織として指定されたこと等を忘れてしまっているのではないかとも思います。さらには、東アジアの地政学的リスクについての感覚が海外の人とは全く異なることもあります。


 小生も民博教授の肩書ではこのテーマで科研費に研究助成を申請するわけにもいかなかったために、2016年には某助成財団に「テロリズム時代における助成財団等チャリティの規制のあり方----『チャリティ委員会同等機関』の国際比較研究を通して---」と題して国際的なネットワークを作って研究費を申請しましたが、残念ながら落とされてしまいました。



 しかし、その後の科研費での直接的な研究テーマではありませんが、非常に関係したものなので海外の研究者や政府機関とも重大な関心をもって協議を続けております。



 昨年、オーストラリアのチャリティ・コミッションが中心になり、マネロン等を主要課題としてアジア太平洋地区の規制当局関係者を集めて会議をする予定で、日本からは大阪府公益認定等委員会の立場で小生が出席する予定でした。内閣府にも小生が情報を提供し、出席が予定されていたのではないかと思いますが、コロナで中止になってしまっています。


 小生は本問題についてはニュージーランド政府やオーストラリア政府関係者とも話をする機会がありましたが、なかなか悩ましい問題があります。


 FATF勧告を受けてしまった台湾では規制強化の法律ができましたが、規制強化された場合に、マネロン等にどれだけ効果があるのか分からない反面、明かに財団活動の自由を奪う副作用が激しいこともあり、FATFには良い顔ができたとしても、果たして国益になっているのかどうかは大いに疑問です。


 日本の場合には、金融庁が金融機関に規制をかけていますので、送金の段階で非常に効果的な対策が取れていると思う反面、非営利団体での問題の脆弱性がクローズアップされてしまうものと思います。とりわけ、日本の非営利法人がガラパゴス化しているので、縦割りの弊害が最も出やすく、全体での対応は非常に難しいものがあると思います。


 そうしたこともあって、大阪府公益認定等委員会では、公益法人のこの問題に対しては法人の自由度を損なわない範囲で、監督の段階で通常ではあまり問題にならないことに関しても実に注意深く対応してきました。委員会でもFATFの話題は幾度となく出ているところです。


 また、正式に議論するに至ってはいませんが、「民都・大阪」フィランソロピー会議ではバラバラな非営利法人の結集を呼び掛けておりますが、これは背後にFATFの問題があったことは言うまでもありません。非営利法人の結集は非常に骨の折れる作業でしたが、ようやくその第一歩が見えてきたところです。


 FATFへの対応は日本のこうした複雑な情勢を鑑み、他国に対する現在の公益法人監督上の比較優位をしっかり踏まえた報告を政府にはしていただきたいと思います。不必要な規制はかけてはいけないし、比較優位にあることで他国が知らない点はしっかりと指摘することが重要だと思います。そのためには他国の制度をよく知っていなければなりません。

 

その際、大阪府の経験は大いに役立つものと思います。

いくつか挙げると、以下のようなことが挙げられます。

  1. @公益法人のマネロン等対策は一部の法人ではなくすべての公益法人で行う必要がある。
  2. A現在の会計監査人の監査の方法=リスク・アプローチは上場企業を対象に発達したものであって、大阪の事例からはマネロン等対策には全く役に立たない事例が発生している。会計研究会もこの点まで含めた議論が必要である。
  3. Bその他。

公益法人の関係者はこのことを「他人事」と思うことが一番危険です。この際大いに理事会で議論してください。


公益法人の関係者はこのことを「他人事」と思うことが一番危険です。この際大いに理事会で議論してください。


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