今回、公益法人の会計に関する研究会(会計研究会)が何を提案しているのかがさっぱりわからないことを昨日書きました。
ヒアリングの項目が「分かりやすい会計の適用についてどう思いますか」というだけでは具体的内容が分からないので、当のヒアリング対象の公益法人などには提案内容が全く伝わっていません。
会計研究会の開催については下記の通り、内閣府の公式ホームページ公益法人informationのトップページに掲載があるのですが、ご丁寧に第43回研究会だけ飛ばしています。
ところが、2020年12月23日の小生のブログではフロントページを見て情報を得て、第43回研究会のことについて言及していますので、フロントページからは事後的に削除されたことが分かります。
単なる事務的なミスとは思いますが、会計研究会の委員や内閣府公益認定等委員会委員が一年近くもこの事態を発見・修正できていないことの方が重大です。
というのも、過去に日本尊厳死協会の不認定取消の裁判の渦中に、当の裁判で証拠となるであろうガイドライン策定時の重要な議事録が裁判の期間中だけ消えてしまったという失態があったからです。
詳しくはこちらを。
当時はホームページのシステムの改修の時期だったので詳しいことは分かりませんが、内閣府には都合の良い形で議事録が消えていたのでした。それでも裁判に負けましたが。そうした過去があるだけに、正確な情報を提供してもらいたいものです。
今回、苦労して第43回会計研究会の記録を探しました。気が付いてからこの資料を見つけるまで3時間以上かかりましたから、普通は見つけられないでしょう。例によってリンクが張れない状態になっていましたので、ここに貼っておきます。
第43回公益法人の会計に関する研究会議事次第及び資料.pdf
資料を見る限り、唯一の研究者である金子良太先生が資料を出していることが分かります。
誠に立派な内容だと思います。今になって振り返ってみて初めて、研究会がこの立派な資料の内容とは異なる形で進んだこともよくわかりますし、議事要旨を見るとかなり強引な進め方であることも理解できます。
皆さんご自身で是非ご確認ください。
逆に非常に的確な意見があるので紹介いたしましょう。
「〇様式1と様式2は、機関決定と使途特定を明らかにして、特定費用準備資金のこ とを明らかにするという意図がみえるが、資産との結びつきで考えると、機関決定 して積立てたものには特定費用準備資金以外の特定資産も入ってくるので、特定費用準備資金だけを管理することにはならないであろうし、資産との関係も考慮する必要があるのではないか。」
提案されて(議論で繰り返し言われている)「特定費用準備資金の変化が分かるようになるから分かりやすい」というロジックは提案の段階から、崩れていますよというまともな指摘が既にされているのです。
「〇 もともとは正味財産増減計算書という名称を変えることから始まった議論だが、 検討すればするほど会計基準全体に広がっている議論である。場合によっては貸借対照表の資産と純資産の紐づけの問題まで波及するという議論であり、ここで出さ れた様々な指摘事項も踏まえて、一つ一つ検討していくことが必要である。その結 果、大きな方向性を出せたらよい。」
これは昨日、本ブログが指摘した内容です。
名称の変更と銘打っていながら、その実は会計基準全体の大改革だということです。
逆に衣の下が鎧が見える発言もありました。
「〇もともと公益法人会計基準は、どちらかというと特定目的の財務諸表に近く、会 計や監査の立場からは、本表は一般目的の監査を行っているのだから、一般目的の 財務諸表のための基準に戻すのは当然ではないか。」
そうですか。監査のための改正なのですね。
以上を纏めると以下の通りになります。
「正味財産増減計算書の名称変更という軽い看板」を掲げながら、会計や監査のために公益法人の会計基準全体の変更の議論を行っているが、そのことが分かる資料などはホームぺージの奥深くに隠されている。
「監査のためには必要なのだ」と堂々と言ったらよいではないですか!