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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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FATFに関して内閣府が公益法人メールマガジン臨時号を発行 [2021年09月13日(Mon)]
本日(令和3年9月13日)、内閣府が公益法人メールマガジン臨時号を発行し、FATF (マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の国際基準作りを行うための多国間枠組み「金融活動作業部会(Financial Action Task Force。)」の報告書の内容を紹介しています(重要なので下記に全文を載せます)。 

  FATFの重要性については、本ブログでも指摘していましたし、『公益・一般法人2020年6月15日号』においても台湾の財団法との関係で指摘をしておりました。 

  とりわけ、ブロクの指摘は「日本の場合には、サードセクターの管轄部局が縦割りで分断されているために、問題意識が十分に共有されていない可能性があります。問題意識が希薄なままで推移することが一番恐ろしいことではないでしょうか。」と指摘しましたが、今回の報告書の内容と全く一致しています。  

  日本政府は早急に対応を取る必要があるでしょう。  大阪府公益認定等委員会では、すでに監督に関連してFATF問題の重要性については数度に亘って議論をしております。この点を踏まえて監督のプライオリティを変更しました。

 また、サードセクター全体の連携を強化しようとしている【「民都・大阪」フィランソロピー会議】も背景にはFATFのNPOレポートが頭にありました。  非営利組織の自由な活動を奪うことなく、FATF報告書に対応していくことは実は簡単ではありません。政府の機敏にして慎重な難しい対応を的確に取っていただくよう切望いたします。
【以下臨時号の全文】
内閣府 公益法人メールマガジン 臨時号  令和3年9月13日発行
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【目次】
1. 政府からのお知らせ

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1. 政府からのお知らせ
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■公益法人に係るマネー・ローンダリング及びテロ資金供与の防止について

日本は、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の国際基準作りを行うための多国間枠組み「金融活動作業部会(Financial Action Task Force。以下「FATF」とします。)」に加盟し、マネー・ローンダリング等の対策を実施しています。

これまでFATFは、マネー・ローンダリング対策等のために各国がとるべき措置について取りまとめた勧告を累次にわたり提言するとともに、勧告の遵守状況を加盟国相互間において審査を行ってきました。

2012年に採択された第4次勧告について、日本は2019年に審査を受け、その結果が2021年8月30日に対日審査報告書として公表されました。

この中で、公益法人を含む非営利団体に係る「主な評価結果」と「優先して取り組むべき行動」について、次のとおり記載されています。


【対日相互審査報告書の概要(仮訳・未定稿)(抜粋)】
主な評価結果
i)(略)日本は、リスクのある非営利団体(以下、NPO等)についての理解が十分ではなく、そのため、NPO等の テロ資金供与対策のための予防的措置を強化するために、当局がターゲットを絞ったアウトリーチを行うことができない。このため、日本のNPO等は、知らず知らずのうちに、テロ資金供与の活動に巻き込まれる危険性がある。
優先して取り組むべき行動
i)テロ資金供与に悪用されるリスクがあるNPO等、特にリスクの高い地域で活動しているNPO等についての完全な理解を確保するとともに、リスクに見合ったアウトリーチ、ガイダンス提供、モニタリング又は監督を行う。


 政府としては、当該報告書の公表を契機として行動計画を公表し、対策を進めていくこととしています。当該行動計画では、公益法人を含む非営利団体については、令和4年春を期限として、以下を実施することとされています。
・NPOがテロ資金供与に悪用されるリスクについて適切に評価を行い、リスクベースでモニタリングを実施する
・高リスク地域で事業を実施するNPOの活動の健全性が維持されるよう、テロ資金供与リスクとテロ資金供与対策の好事例に関する周知を行う

 今後は、政府に設置された「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」での議論等を踏まえ、公益法人におけるテロ資金供与のリスク評価及びそれらに基づいた効果的な情報提供及び働きかけの実施について検討を行ってまいります。

※FATFの概要については以下から御確認いただけます。
【警察庁HP JAFIC(犯罪収益移転防止対策室)と国際機関等の連携】
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/kokusai/kokutop.htm

※FATF対日審査報告書や行動計画については以下から御確認いただけます。
【財務省HP FATF対日審査報告書が公表されました】
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/fatf/fatfhoudou_20210830_1.html


また、警察庁が取りまとめた犯罪収益移転危険度調査書(令和2年版)によると、非営利団体のテロ資金供与に関する脆弱性及び脅威について、以下が挙げられています。海外、特にテロ組織が活動する国・地域又はそれらの周辺国・地域での活動やそれら国・地域への資金の送金等を行う事業を実施している法人におかれては、特にご注意ください。

【脆弱性】
○ 非営利団体は、一般社会の信頼を享受し、相当量の資金源へのアクセス権を有し、しばしば現金を集中的に取り扱うこと
○ テロ行為にさらされている地域やその周辺において活動し、金融取引のための枠組みを提供しているものがあること
○ 活動のための資金の調達と支出における主体が異なる場合等があり、使途先が不透明になり得ること                      等

【脅威】
○ テロ組織やその関係者が慈善活動を名目に非営利団体を設立して調達した資金をテロリストやその家族への支援金にすること
○ 合法的な非営利団体の活動にテロ組織の関係者が介入し、非営利団体が有する金融取引を悪用して、紛争地域等で活動するテロ組織に資金を送金すること
○ 合法的な非営利団体の活動によって得られた資金が、国外にあるテロ組織と関連を有する非営利団体に提供されてテロ資金となること       等

【警察庁HP 犯罪収益移転危険度調査書(令和2年版)】
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm#p3


なお、過去に公益法人に係るマネー・ローンダリング及びテロ資金供与の防止についてお知らせした情報は、以下から御確認いただけます。
<ご参考>本件に関する公益法人メールマガジンのバックナンバー
第61号 平成30年12月26日発行
https://www.koeki-info.go.jp/other/backnumber/2018/20181226_01.html

第77号 令和元年8月14日発行
https://www.koeki-info.go.jp/other/backnumber/2019/20190814_01.html
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