CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


<< 2021年10月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
最新記事
月別アーカイブ
『公益法人』に重要な記事の掲載 [2021年08月18日(Wed)]

公益法人協会の『公益法人』の今月号(Vol.50。No.8)には重要な記事が二本出ていたので紹介したいと思います。


一つは雨宮孝子理事長が内閣府公益認定等委員会の「新公益法人制度10年を迎えての振り返り報告書」(以下「報告書」という)を「民間公益活動の推進」の観点からクリティカルに検証している記事です。先月号からの連続ですが、今回はとりわけ公益財団法人の二年連続での純資産300万円割れ問題について、重要な問題提起をされています。


周知のとおり、一般財団法人は一般法第202条第2項で二年連続で貸借対照表上の純資産額が300万円未満となった場合には解散となります。


コロナ禍という想定外の事態に直面して公演中止を余儀なくされ、純遺産300万円を割り込んだ公益財団法人の具体例を挙げ、何らかの救済措置が取れないかという提案です。


具体的には金融機関から資本性劣後ローンを導入した公益財団法人の事例があることから、資本性劣後ローンを純資産とみなすことが可能であれば300万円割れ問題を乗り越えることができるというものです。


 雨宮氏は小生が敬愛する民法学者であり、民法学者から一般財団法人の法人格の根幹となる純資産の考え方についてこのような柔軟な提案がされたことには非常に意味があると思います。一般法の当該規定の改正は本意ではないと断言しているところにも民法学者としての矜持を感じます。


 併せて、金融機関という営利セクターによる救済措置だけではなく、低金利の中で巨額の基本財産を必ずしも有効に使えていない公益法人もあることから、公益セクター内での柔軟な救済措置も創出していくべきだと個人的には思います。また、指定活用団体である一般財団法人日本民間公益活動連携機構にまだ移されていない休眠預金の巨額の資金もあります。


 あれこれ規制だけを押し付けるだけでは、まさに見殺し、「混沌」の制度となってしまっていないでしょうか?


 いずれによせ、ご提案を含めた雨宮氏の主張には「民間公益活動の推進」という視点が貫かれており、「報告書」にはこの観点が欠如しているのではないかという強いメッセージも含まれていると思います。


 もう一つは東大の英米法や信託法の法学者溜箭将之氏の巻頭言です。公益法人に対する拠って集っての「〇〇してはいけない」という規制を子育てに譬え、公益法人が委縮してしまうことに問題提起をしています。


「どうすれば公益法人がすくすく育ち、のびのび活動できるかも考えたい」と結んでいます。


 溜箭氏の主張にも「民間公益活動の推進」という視点がしっかりと出ております。『公益法人』の巻頭言にこのことが出たことに非常に大きな意義があると思います。


是非お読みください。

トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント