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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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「税の優遇」を言うなら規制を適正に適用して下さい。 [2021年05月20日(Thu)]

 昨日、大関照ノ富士が反則負けで初黒星を喫しました。悔しい気持ちは残るでしょうが、これは相撲のルールですから仕方ありません。ところが、「日本の格闘技なのだから」と言われて「立ったまま相手のまわしを握った」と柔道のルールをいきなり適用され反則といわれたら、納得がいかないことと思います。些か極端な譬えですが、公益法人に対しては、このようなことが日常的に起こってはいないでしょうか?


前回、見たように非営利部門は柔軟で機動的な活動を展開することが可能であるため、画一的対応が重視される行政部門や収益を上げることが 前提となる営利部門では、満たすことのできない社会のニーズに対応することができると考えられます」というように、政府にはない、企業にはない特性に期待されていました。


それはなぜでしょうか?


 政府や企業と行動原理が異なるからです。したがって、必然的に適用されている【ルール=規制】も異なります。それにゆえにこそ「税の優遇」がなされています。


 他方で、あらゆる意味で権力や権限を行使する側(=政府だけではありません)が「税の優遇があるのだから」という枕詞を使いつつ、【政府に対するルール】あるいは【大企業に対するルール】に基づいて、公益法人を厳しく指弾する例が後を絶ちません。


 「税制上優遇されているから」という理由は公益法人に対して権力や権限を行使する側にとって蜜の味です。権力や権限の過剰な行使が簡単に正当化されます。


 公益法人の職員の中位数は5人です。言い換えれば、職員数が5人以下の公益法人が50パーセントを占めます。そこに対して公益法人独自のルールのほか、政府のルール、大企業のルールを被せられれば、「柔軟で機動的な活動を展開すること」などできるはずがありません。


 問題はそれにとどまりません。公益法人内部のルールに対する認識がばらばらとなってしまいかねません。「何をしてよいのか何をしてはいけないのか」についての共通認識が持てなければ、組織運営などできなくなってしまいます。


 「税制上優遇されているのだから」とまず先に口走る方は、一度立ち止まって「そのルールは本当に公益法人に当てはめてよいのか」を考える癖をつけてみてはいかがでしょうか?


 あまりにもいろんなことで「反則!」と言われることが多い公益法人ですが、「柔軟で機動的な活動を展開している」と言われることが少ないように思うのは私だけでしょうか?


角を矯めて牛を殺すことがないように願いたいものです。


                            出口正之


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