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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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会計研究会最終報告コメント [2015年03月16日(Mon)]
会計研究会最終素案に対するコメント

 個人の立場で会計研究会最終素案に対してコメントを先週送付しました。


 委員会及び研究会関係者の皆様におかれましては、単なる批判と受け止めずに「将来へ向かって」(どこかにあったフレーズです)、さらに研究会の議論が深化していくことを祈念しての厳しいコメントと受け止めて頂ければ幸いです。「剰余金の定義」を間違えていること、「小規模法人」が制度上定義されているのに無視していることなどを、あまり軽く考えないように、よろしくお願いいたします。


主なものは以下の通りです。



T P.6 L.1-L.12 参考ブログ

線を引けないから小規模法人は定義できないというということですが、政令で一本。ガイドラインでもう一本と規模別に線はすでに二本も引いてあります。


@ 一つ目の線:原則として置かなければならない会計監査人を例外的に置かなくてよいとする線として認定法施行令第六条。


A 二つ目の線:上記の例外中の原則として外部監査を受けること又は監事の一人に公認会計士または税理士を置かなければならないという原則をさらに例外的に置かなくてよいとするガイドライン(3) 情報開示の適正性@


 今回の研究会発足にあたって、小規模法人への負担軽減策が「一つの焦点」である旨を宣言している中で、「線が引けない」ということを理由に小規模法人への配慮をしないことは、理由として成り立たないばかりではなく、国民を愚弄しているようにも感じます。


Uの2 P.9 L.7-10

「94%の法人が平成20年度会計基準を適用」しているとありますが、この数字は調査の回答法人であって、実際の法人数では内閣府所管の4640法人のうち、わずかに925法人に過ぎません(20%弱)。同調査は平成20年度会計基準適用法人以外では回答しにくい調査でもあり、バイアスがかかっている可能性が非常に高いものと考えます。正確な状況を踏まえる必要があるのではないでしょうか?定期提出書類を見れば、平成20年度会計基準を適用しているかどうかはすぐわかるわけですから、実際の数字を提示して正確に状況を把握したうえで議論すべきではないでしょうか?法人にとって大変大きな影響を与える事項であるのに対し、手法があまりに雑すぎるように思います。


Uの2 P.9 FAQの表 L.12−15 参考ブログ


「なお、移行 F A Q については、移行期間が終了したことをもって、その役割を終えたと思われるため、整理することが必要ではないかと考えられる。今後、廃止又は見直しが必要であると考えられる移行 F A Q には、例えば以下のものがある。研究会の結論を踏まえ御対応いただきたい」とありますが、問Y‐1‐A(公益目的事業財産)は、移行とは全く関係のないものです。研究会報告書の内容と異なる「他会計振替」について記載のある重要FAQであり、これを「移行期間が終了したことをもって、その役割を終えたと思われるため、整理することが必要」という理由で削除しようとするのは、不誠実といってもよいと考えます。


V正味財産増減計算書内訳表における法人会計区分の義務付けの緩和P.11-12 参考ブログ


府令・ガイドライン作成時並びにその運用を考えるときに、私は「収支相償」、「遊休財産規制」、「公益目的事業費率」、「公益目的取得財産残額に相当する額」の4要素への影響を常に意識しておりました。これらは相互に連動しているからです。しかし、最終報告書素案では、「公益目的事業費率」(認定法第15条)を踏まえたとあります。仮にこの部分が実行に移されたとして、上記のその他の3要素にどのような影響があるのかについて、全く記載がないので判断がつきません。記載をお願いします。また、「管理費の財源をどのように考えたらよいか検討を行った。その結果、法人会計区分を作成しない場合は、管理費相当額の収益を管理費の財源とみなさざるを得ないため、結果として法人会計の黒字が認められないことと同様となる」の部分は、意味が読み取れず、提案内容が不明瞭です。


V正味財産増減計算書内訳表における法人会計区分の義務付けの緩和 P.12 L.4 参考ブログ


「(法人会計区分を作成する場合は、)黒字が生じていても、運用上認められることとなる」というのは、どういう意味でしょうか、この文面は普通に読めば、「制度上は認められない」ないし「原則は認められない」けれども「運用上認められる」ということを含意しています。制度上、「法人会計の黒字」は全く規制がないところです。それにもかかわらず、「運用上認められる」とした根拠をはっきりと示していただきたいと思います。


V 1.収支相償の剰余金解消の1年延長 P.13 L.13-14  参考ブログ  参考ブログ


「認定法第14条に規定される『公益法人は、その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない』という収支相償の判断も、事業年度単位で行うことが原則となる」とあります。確かに、収支相償の「計算」は毎事業年度で行うことになっていたと思いますが、ガイドラインの記述や当初の収支相償の説明でも、「判断」の期間については明示されておりません。仮にこれまで単年度の判断が原則というならば、単年度で満たさなかった場合に、報告徴収した事例が全国で発生しているはずですが、それが何件あるのか、明らかにしてください。この「現状での原則」が明快でない限り、「1年延長」も緩和策としての意味をなさないと考えます。逆に、規制を強化したいということならば、意味は通じます。


V 1.収支相償の剰余金解消の1年延長 P.14 L.3-5 参考ブログ  参考ブログ


「収支相償は 、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に要する費用を比較することになるが、原則として、各事業年度において収支が均衡することが求められる」(P.14)とありますが、収支相償は、計算上、公益目的事業に関連付けられた収入と費用を比較したうえで、特定費用準備資金を「適正な費用」に含むものとして、「収入」と「適正な費用」とを比較することになっていました。「原則として、各事業年度において収支が均衡することが求められる」とは、どういうことでしょうか。


V 1.収支相償の剰余金解消の1年延長 P.14 L.14  参考ブログ  参考ブログ


「事後的に解消計画に従って、剰余金が解消されたことについて、説明することが求められる」とありますが、ガイドラインでは「翌年度に事業の拡大等により同額程度の損失となるようにする」となっており、明らかに根拠のない規制強化です。

(そもそも剰余金の定義が間違っています)


V 1.収支相償の剰余金解消の1年延長 P. 14 下からL6以降


「翌事業年度の事業計画において、機関決定された剰余金の解消計画を提出し、翌々事業年度において剰余金を解消するまでの具体的な資金使途について説明することが求められる。 なお、財務面から計画達成を担保するため、当該剰余金に見合う資金について、貸借対照表において特定資産として表示することが必要となる」(P.14)とあります。剰余金の定義がガイドラインとそもそも異なるのでどうしようもありませんが、「剰余金と見合う資金」というものは現実的にあり得ないのではないでしょうか。「収入」や「適正な費用」と資金計算は別物で、正しく定義された剰余金は収支計算上の剰余金ではないので、「剰余金と見合う資金」が存在することはまずないと考えた方がよいのではないでしょうか。そのうえで、「貸借対照表において特定資産として表示」することは不可能ではないでしょうか?


X 2.剰余金の解消理由 P.15 L.9-13  参考ブログ


<剰余金に対する明確な事実誤認> 

「収支相償の剰余金の解消理由としては、当期の公益目的保有財産の取得や特定費用準備資金の積立てがガイドラインに掲げられている」(P.15)とありますが、特定費用準備資金の積立ては剰余金の解消理由としてガイドラインには掲げられておりません。

ガイドラインには「(4) 剰余金の扱いその他 @ある事業年度において剰余が生じる場合において、公益目的保有財産に係る資産取得、改良に充てるための資金に繰入れたり、当期の公益目的保有財産の取得に充てたりする場合には、本基準は満たされているものとして扱う。このような状況にない場合は、翌年度に事業の拡大等により同額程度の損失となるようにする。A 事業の性質上特に必要がある場合には、個別の事情について案件毎に判断する。また、この収支相償の判定により、著しく収入が超過し、その超過する収入の解消が図られていないと判断される時は報告を求め、必要に応じ更なる対応を検討する」と記載があり、特定費用準備資金はここでは掲載されておりません。


X 3.指定正味財産 P.18 下からL.9


「指定正味財産の概念は、平成 16年会計基準改正時に新たに導入さ れたものであり、指定正味財産概念の普及の意味から、その取扱いについて厳格な規定を置 いていなかったと考えられる」とありますが、厳格な規定を置かない理由が「普及の意味」からであると考えた根拠をお示しください法人の現場では、寄付者と法人の関係の中に、行政庁が入り込んで混乱しているという声も聞いています。規定を置くことで、民民関係に行政庁が不当な介入を行う口実を与えることになりませんか?また、一般に、寄付者は指定正味財産にしたがり、法人は自由度の大きい一般正味財産にしたがるというのが世界的な傾向と考えますが、指定正味財産にする方を難しく取扱うというのは、財務基準を意識しすぎ(言い換えれば、規制的)ではないでしょうか?国際的な寄附の場合などはトラブルの要因になると考えます。


Y 定期提出書類 1.別表Hと財務諸表の関係及びZ.3. 他会計振替の考え方 P.21 下からL.9-3 参考ブログ


「公益目的事業会計以外の財産で公益目的事業会計の赤字を補てんした場合、当該補てんのための金額は、一度公益目的事業会計に移動されてから、支出されていると考えられる。会計上は、当該金額は、正味財産増減計算書内訳表 (他会計振替額) で、公益目的事業会計区分へ移動する ことになるものであって、当該書類の決算承認をもって、公益目的事業のために使用する ことが意思決定されており (注 2 )、認定法施行規則第 26 条第 8 号に該当し 、公益目的事業財産に当たるものと考えられる」とあります。周知の通り、これは他会計振替額の定義と異なります。他会計振替額は、平成20年度公益法人会計基準運用指針において「内訳表に表示した収益事業等からの振替額」と明快に定義されています。したがって、「公益目的事業会計以外の財産」ではなく、「収益事業等からの振替額」という説明ならば問題ありません。しかしながら、P.25以降を合わせ読むと、「法人会計からの振替額」も「他会計振替額」として処理しようとする意図が明白です。その結果、FAQの問Y‐1‐A(公益目的事業財産)も削除しようとしているものと考えます。

 この点は、制度設計上、「収益事業等からの繰入れ」という税法上新しい手法がとりいれられたことからくる「他会計振替額」ですので、変更をする場合にはあらゆる要素を検討していただきたいと考えます。

 たとえば、「他会計振替額」の定義を変えたことから、「認定法第 30 条第 2 項第 3号の公益目的事業財産以外の財産について公益目的事業を行うために費消、譲渡した場合についても 限定的に解するのが適切であると考えられる」と、認定法本法の解釈にまで影響を与えようとしています。これは明らかに本末転倒であるばかりではなく、取消時の公益目的取得財産額を過大に評価する方へと流れるため、結果的に財産権を規定する憲法29条にも違反するような愚挙と考えます。



Z.3. 他会計振替の考え方 P.25-26  参考ブログ

このような処理をした場合に、どのような影響が出るのか、「収支相償」、「遊休財産規制」、「公益目的事業費率」、「公益目的取得財産残額に相当する額」の4要素について検討の上、記載願いたい。法人会計の財産の公益目的事業会計への使用については、平成20年度公益法人会計基準にある「当該公益法人が有する会計区分間において生ずる内部取引高は、正味財産増減計算書内訳表において相殺消去するものとする。また、公益法人が会計区分を有する場合には、会計区分間における内部貸借取引の残高は、貸借対照表内訳表において相殺消去するものとする」方法が公表されている手法であるので、この方法を詳述し、他会計振替額との違いを明確にすべきではないでしょうか?内部取引消去は、貸借対照表内訳表、正味財産増減計算書内訳表にも出ている最重要用語の一つです。この点に関して、一切、言及が見られないのは極めて不自然だと考えます。
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