【本ブログは2015年の開始から一度も新年のご挨拶を記載したことはありませんでした。今回、新しい試みのため初めて年始のご挨拶をさせて頂きます。】
皆様、あけましておめでとうございます。
寒いお正月となりました。雪は大丈夫でしょうか?
公益財団法人大槻能楽堂で演じられた新作能「アマビエ」(上田敦史作)を鑑賞しながら、新しい年を迎えております。
この新作能はコロナ終息を祈願したものですが、文化庁の支援を受けて大槻能楽堂以外でも演じられています。
こちらは、新丹波猿楽座チャンネルの「解説付 ダイジェスト映像」です。解説がついておりますし、ワキは「役人」ですので、ぜひご覧になってください。
能は800年を越える風雪の中で脈々と演じ続けられた芸術です。
その間、幾多の苦難を乗り越えてきました。
「苦難は憂き世の常なれど」、心を落ち着かせて鑑賞するのにこれほど適したものはないでしょう。
大槻能楽堂版では、途中(31分24秒)から作者の上田敦史氏(小鼓方大倉流)と大槻裕一氏(シテ方観世流)の対談も収録されています。
対談では、上田氏が「英語に翻訳して世界にも発信したい」と、オンライン時代にふさわしい挑戦的なご提案もされていました。
すでに、英語版も完成しています。
また、公益財団法人茨木文化振興財団の【新型コロナウイルス収束祈願】アマビエチャレンジは能ではありませんが、同じく収束祈願の思いが込められている新作の動画です。
こうした新しい挑戦は苦難の時代だからこそ誕生した側面もあると思います。
さて、65歳となった私は本年3月末には国立民族学博物館を定年退職いたします。国立大学法人改革と公益法人制度改革と改革続きで嵐のように走り去った学究生活でした。
オンライン、リモートでいろんなことができる時代というのは、動く必要もないので、若者の時代でもありますが、それ以上に高齢者の時代だと思っています。
このような形で新作能が誕生したことに刺激を受けて、ささやかではあっても民間公益活動の気持ちを持つ人の多いことを喜びつつ20歳に戻ったつもりであらゆることに挑戦していきたいと考えております。
「真砂の松が枝の露の葉草に心を澄ます
人の多きを喜び申すべし」(上田敦史「アマビエ」より)
新しい年が皆様にとりまして 幸多き年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
本年もよろしくお願いいたします 。
令和3年元旦
出口正之