公益法人のガバナンスの更なる強化等のために(最終とりまとめ)(令和2年12月25日) が公表されました。
WEB上で分かりにくいので説明します。
公益法人インフォメーションのフロントページの下の方の内閣府からのお知らせの
令和2年11月30日 第10回「公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議」の開催について
をクリックすると、以下のページに飛び
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/governance_meeting.html
さらに、公益法人のガバナンスの更なる強化等のために(最終とりまとめ)(令和2年12月25日) (PDF/952KB)
をクリックすると、以下のPDFが開けます。
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/pdf/koueki_governance.pdf
この数年の公益法人行政の中では、内容はさておき、ガバナンス有識者会議の会議としての手続き面では非常に充実し、できるだけ会議の様子を知らせようという意気込みを感じました。議論された有識者の皆様、事務局の関係者のご尽力に感謝致します。
他方で、内容面では外堀を埋められていましたので、議論の着地できる幅は非常に狭かったと思います。
早速、公益財団法人公益法人協会は、公益財団法人さわやか福祉財団及び公益財団法人助成財団センターの2団体との連名で声明を公表しています。
http://www.kohokyo.or.jp/kohokyo-weblog/non-profit/docs/20121225%20statement.pdf
そもそも(ガバナンス強化の契機となった)
「閣議決定に、『EBPMをはじめとする行政改革の推進』をうたっているだけに、これを十分に取り入れていない本とりまとめは、表面 的な個別の不祥事の例をベースにその対処方法等の議論が性急に行われており、至極残念に思われる」
と急所を突いた声明になっていると思います。
公益法人に対する勧告の件数など非常に少ないにもかかわらず、マスメディアにいくつかの不祥事が世間の耳目を集める形で取り上げられたことで、全体の印象を非常に悪くしていることは否めないと思います。提案された事項でガバナンスが良くなるという保証がないままに規制が先行することについては当然疑問が出てくるでしょう。
また、令和2年11月30日に開催された第10回の「公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議」の議事録も公開されております。
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/pdf/gov10_07_gijiroku.pdf
一昨年、休眠預金等活用審議会の「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針」(案)についてのパブリックコメント後の審議会がわずかに8分間だったことで、社会の不評を買いましたが、それに比べると、充実した意見交換が交わされています。
今後、法改正へと進むものと思いますが、その時には「最終とりまとめ」だけではなく、議事録やパブコメに対する回答等と立体的に進められると思いますが、ガバナンスのルールの変更で自体が改善するというエビデンスがないままに、公益法人側には混乱が生じかねないと思いますので、慎重を期すことに期待したいと思います。
とりわけ、会計監査人が入れば、会計不正は改善するというのは、データでは示されなかったばかりではなく、濫立する非営利の会計基準を公認会計士が十分に理解していない状態(鶏ではなくたまごの状態)を、法定監査を増やすことで公認会計士の能力をつける選択肢(「たまご」と「鶏」の関係)といった議論まで堂々と行われています。
その中で、監査法人の継続的専門研修制度の不正受講問題に対して、監査法人や日本公認会計士協会が十分な説明責任をはたしていないように思えます。
小生が知る公認会計士のほとんどは大変な勉強家ですが、こうした監査法人の不祥事をあいまいにしたままで法定監査の範囲拡大が議論されていくことについては勉強家の公認会計士ほど大きな迷惑をこうむるのではないでしょうか?