• もっと見る

民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


<< 2024年10月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
最新記事
月別アーカイブ
オンライン企画 山岡義典氏に訊く:1980年代ー林雄二郎と歩んだ黎明期のフィランソ ロピー [2020年12月10日(Thu)]

来年の1月19日にオンラインで、日本の民間公益活動の起爆点がここにある「山岡義典氏に訊く:1980年代ー林雄二郎と歩んだ黎明期のフィランソ ロピー」を開催いたします。


林雄二郎(1916- 2011)は、東工大教授の定年までの任期をかなり残したまま、トヨタ財団専務理事に転身、その後、「フィランソロピー」の用語とともに、日本の公益法人活動の思想的支柱となっていました。

日本財団の活動指針「フィランソロピー実践のための七つの鍵」にも大きな影響を与えたことが知られています。

  

その思想の骨子は

  • 公平性に束縛されないから政府にできないことができる。
  • 効率性に束縛されないから企業にできないことができる。

そういう存在として公益法人を考えていました。いわゆる「サードセクター論」です。公益法人制度改革も、税制改正もサードセクター論がその背景として存在していました。

          

1.19山岡さんウェビナー 色4 人数無制限 協力助成財団センター V5.jpg

         


ところが、今や「公平性に問題があるからおかしい。」「非効率的な公益目的事業を継続することは問題である。」といった言説があふれかえっています。


そこで1980年代に林雄二郎とともに、サードセクター論を広めた山岡義典氏(現 公益財団法人助成財団センター理事長)に、サードセクター論と80年代の時代精神を大いに語って頂こうと、ウェビナーを企画いたしました。


 1. 日時

    令和3年1月19日(火)午後2時から4時(質問時間を含む)

 2.参加費 

    無料

 3.申し込み(先着100名) (好評につき人数制限を撤廃しました

    下記リンクをクリックして必要事項をご記入の上お申し込みください。   https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_mNKKpFhTQ3KUKVaCMde5Qg

  
4.主催 出口正之研究室(国立民族学博物館):協力公益財団法人助成財団センター
  

内容

 林雄二郎(1916- 2011)は、東工大教授の定年までの任期をかなり残したまま、トヨタ財団専務理事に転身、その後、「フィランソロピー」の用語とともに、日本の公益セクターとりわけ財団の行動原理を主張して、公益法人活動の思想的支柱となっていた。林は、トヨタ財団の専務理事として財団界を牽引しただけではなく、助成財団情報センター(現公益財団法人助成財団センター)を設立し、助成財団の関係整備の務め、その発展につくした。そのほかに、改革を断行していた日本財団の顧問としてフィランソロピー実践のための七つの鍵を唱え、それは現在でも同財団の活動指針となっている。さらに、広く日本の非営利セクター研究のために設立された日本NPO学会では初代会長に選任されている。

林の主張は政府でも企業でもできないことができる「非政府非営利セクター」としての意義を強調した「サード・セクター論」である。税金を原資とし公平性や手続きに束縛された政府のセクターではニーズに合わせたきめ細やかで迅速な活動ができない。営利を目的とした企業のセクターでは、採算が取れないことに挑戦できない。そこで、政府でも企業でもない非政府・非営利のセクターが重要なのだという主張は、非常に分かりやすく日本の公益法人界に幅広く受け入れられていた。とりわけこうした議論が盛んだった1980年代の公益法人関係者は、競って、「政府との違い」、「企業との違い」を強調したものである。

 ところが、公益法人制度改革を経て、今では重点的な活動に対しては「公平でない」(=政府のロジックと異なるではないか)と、採算の取れないことに挑戦すれば「効率的でない」(企業のロジックと異なるではないか)と指摘・指導され、サード・セクターが有するニーズに対応した機敏な判断・活動を官民揃って回避させようとしているようにさえ見える。

そこで、今回、林雄二郎と二人三脚を組み日本の公益法人、NPO法人に多大な影響を与えた、公益財団法人助成財団センター理事長の山岡義典氏をお招きし、林雄二郎とともに山岡氏の活動を振り返りながら1980年代を中心に民間公益活動の起爆点を語っていただく。


「話し手」山岡義典(公益財団法人助成財団センター理事長)

東京大学工学部建築学科卒業。同大学院数物系研究科にて都市計画学を専攻。丹下健三のもとで「大阪万国博覧会会場計画」の策定に関わった。1969年から都市計画設計研究所にて都市計画の実務に従事していたところ、1977年にトヨタ財団プログラムオフィサーに転身。

林とともに、『日本の財団』、『『日本の企業家と社会文化事業』、『フィランソロピーと社会』等を著し、当時、全く情報の無かった日本の公益法人の状況をつぶさに再現し、日本の公益法人の活動の精神的支柱となる。また、35周年を迎える助成財団センターの設立には中心的な役割を果たし、日本の助成財団の発展に大きく寄与。

1990年代半ばからは、市民の公益活動に関心を移し、1996年、日本NPOセンターを設立、常務理事・事務局長に就任後は、NPO法人制度の充実に奔走、NPO法人関係者の指導的な立場となる。2002年、市民社会創造ファンドを設立。

2014年に公益財団法人助成財団センター理事長に就任。再び、公益法人の世界に戻ってきた。この間、法政大学現代福祉学部教授、大学院人間社会研究科教授に就任。同大学ボランティアセンター長。また、同年5月に設置された法政大学大学院多摩共生社会研究所の所長も務めた。


「聞き手」出口正之(国立民族学博物館教授、元内閣府公益認定等委員会委員)

大阪大学人間科学部卒業。サントリー文化財団プログラムオフィサーを経て、ジョンズ・ホプキンス大学国際フォランソロピー研究員、総合研究大学院大学を経て2003年より国立民族学博物館教授。1980年半ばに、木下和夫政府税制調査会会長代理、橋本徹関西学院大学教授らとともに、当初予定されていた公益法人の金融収益課税に関する正確な知識を当局に提供し、中止させた。日本NPO学会のもととなる総研大スコーププロジェクトを主宰。

2003年、政府税制調査会特別委員、非営利法人課税ワーキンググループ委員となり、本間正明委員、猪瀬直樹委員らとともに、抜本改革の答申書を作成。平成20年税制改正答申では、答申書に初めて「民間公益セクター」の文言を挿入した。

2007年新設の内閣府公益認定等委員会委員(非常勤)、10年からは常勤委員。2013年に国立民族学博物館に復帰。その間、国際学会ISTR(本部ジョンズ・ホプキンス大学)の会長を務める。


注記)本ウエビナーは研究目的で実施し、録画・録音されます。内容については研究のために使用することがありますので、参加者はこの点をご了承願います。

   


トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント