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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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公益法人協会のアンケート結果と全国公益法人協会での収支相償等立法趣旨の講演 [2020年06月25日(Thu)]

公益法人協会が「公益法人・一般法人の運営および寄附等に関する アンケート調査結果 (2019 年 12 月実施分)」 を公表しています。


手間のかかる作業を毎年していただいて頭が下がる思いです。


「公益法人になって苦労している点、困っている点」では、実に回答数の81.2%が何らかの点でお困りになっているようで、ほぼ半数の 48.9%(703 件)の法人が「毎年の定期提出書類の作成事務負担が大きい」と回答しております。また、「収支相償で事業活動が制限される」についても 46.4%(667 件)と過半数に迫る勢いで、協会はこれら 2 つの項目が公益法人を苦労させてている主な要因と考えているようです。


 認定法や認定規則で制限されているはずの提出書類が、電子申請でできるようになったことから、一旦出来上がるとそれにしたがって惰性で提出書類が提出されることになります。書類は本当に必要な分だけを求めているのか、不断のチェックが必要かと思います。


 また、収支相償については、制度設計者として大変申し訳なく思います。ただし、「民間の公益の増進」という立法趣旨のもと、収支相償については十分にいろんなことを考えて作り上げてきました。根幹は「公益目的事業から生じた収入は公益目的事業の適正な費用に使用してください」というそれほど常識と違和感のないはずのメッセージが、「黒字を出してはいけない」という非常識なメッセージに変えられて伝わっていることが残念でなりません。


 当時の内閣府公益認定等委員会議事録を確認していただければ分かると思いますが、委員会では、「公益法人の持続可能性を損なわないようにする」「公益法人が、収支相償のために不必要な支出をしないようにする」ということが一番配慮されていたところです。


 ところが、その後の運用がどんどんおかしな方向に向かってしまいました。仄聞するところによると、「収支相償のために無駄な支出を迫られて、法人の持続可能な資金を手元に置いておくことができない」というような、制度設計者からみれば制度の趣旨と180度異なる悩みをお持ちであると伺っています。


 現状では使いにくいのかもしれませんが、もともとどんな制度だったのか(=ガイドライン通りに運用した場合にはどうなるのか)については、7月27日(月)に全国公益法人協会のセミナーでお話をいたします(大阪です)。


 このセミナーはもともと3月17日予定していたものですが、新型コロナウイルスのために延期になっていたものです。

https://blog.canpan.info/deguchi/archive/146


 立法趣旨から話を始めて3時間たっぷりとお話し致します。

収支相償、遊休財産規制、公益目的事業比率の財務三基準が「公益の増進」という立法趣旨と見事につながっていることなど驚く話ばかりだと思います。

このような機会がこれまでなかったので、是非、ご参加ください。

https://koueki.jp/wp/schedule/kansai/#anc16


マスメディア関係者、行政職員、合議制委員会委員等の参加可能だと伺っていますので詳しくは、全国公益法人協会関西支部まで、ご連絡ください。


なお、個別のご相談はお受けできませんのであしからずご了承願います。


日時 2020年7月27日(月)13:30〜16:30

会場大阪私学会館(3階 301、302、303号室)大阪府大阪市都島区網島町6-20

問合せ先関西支部 電話:06-7220-3354 FAX:050-3730-4611


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