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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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出口はなぜ公益法人会計基準改正手続きに反対するのかーその2 [2020年02月13日(Thu)]

前回の続きです。やや専門的です)

公益法人会計基準の総則の中にゴーイング・コンサーンの規定を入れ込もうとする今回の改正案の趣旨は以下の通り説明されています。


【現行の公益法人会計基準においては、「継続事業の前提に関する注記」

は規定されているが、そもそも公益法人会計基準が継続組織を前提とし

たものである旨の規定はされていない。

国際的には、公的な部門における会計基準について定めた国際公会計

基準(IPSAS)において、「ゴーイング・コンサーン」について規定され

ている。

また、平成 30 年7月、企業会計審議会が定める監査基準が改正された

ことを受け、翌年には、日本公認会計士協会の監査基準委員会報告書等

が改正され、「継続事業の前提」について監査報告書本文に記載するこ

ととされた。

こうした状況を踏まえ、公益法人の財務諸表の作成基準である公益法

人会計基準においても、従来から実務上の前提とされている「継続組織の

前提」について確認的に明記するものである。】(「改正案の趣旨」)


とあります。


企業会計の監査基準変更されたから、政府の会計の国際基準を参考にしたものである=非営利の本質については検討していないと説明されています。


企業会計の監査基準変更されたら、なぜ非営利組織に影響するのでしょうか?


企業会計については、まず法人の理事が、ゴーイング・コンサーンであるかどうかを評価して注記に書き込み、さらに監査人は「一般に公正妥当と認められる監査の基準」に基づいて監査報告書本文に書き込むことになっています。



「一般に公正妥当と認められる監査の基準」とは、ここで「一般に公正妥当と認められる監査の基準」は「企業会計審議会により定められた「監査基準」、「監査に関する品質管理基準」、「監査における不正リスク対応基準」及び公認会計士協会の「監査実務指針」をいいます。つまり、企業会計の監査基準なのです。


ところが、非営利法人との間では何かトラブルでもあったのでしょうか、そのような監査人の思惑と異なり、そもそも理事者が書き込むことの根拠が公益法人の世界では明示的に存在していないということが明らかになったようです。だから、今回、公益法人会計基準の総則にゴーイング・コンサーンの規定を入れることで、理事にまずゴーイング・コンサーンの注記を書いてもらうことを「確認的に明記する」ということになったのではないかと思います(推量ですので、誤解があればご指摘を)。



会計関係者の思惑と公益法人の制度とのギャップは常に起こっています。「企業と公益法人は異なる」(番場嘉一郎)からです。このギャップのことをここでは「ビジネスセントリズム・ギャップ」と呼ぶことにしましょう。今回の改正は「ビジネスセントリズム・ギャップ」を埋めるために、公益法人会計の心臓部である総則を変えようとしているのです。


内閣府の立場に立てば、企業会計関係の変更を会計研究会で議論し、公益認定等委員会にもかけて、パブリックコメントにかけて改正するのだから何にも問題ないということでしょう。


公益法人の会計については、米国の会計やIFRSの会計が企業会計に入り、公益法人会計にさらに入り込むことが繰り返されています。適用される範囲はどの範囲か、強制適用か任意適用か、比例原則が適用されるか否か、そういった微妙な点が少しづつ姿を変え入り込んでいます。


実際にどういう影響があるのか考えてみませんか?


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