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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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線が引けない??? 会計研究会の不思議 [2015年02月24日(Tue)]
世の中には、人の気持ちを逆撫でするような人がいて困ったものです。


Indeed, but構文というのがあります。英語に限らず、相手のことを気遣って話す方法です。「確かにあなたのおっしゃることについてはその気持ちはよく分かりますが、実は別の考え方もあるのではありませんか」というのも、Indeed, but構文です。ところが、Indeed A, but Bのうち、意図的に、「おまえはAといった」と宣う人が世の中にはいます。上記の例でいえば、「あなたの気持ちはよく分かります」=「おまえは賛成した」とおっしゃる御仁です。こういうのを「逆撫で話法」とでも呼びましょうか?


 まさかと思いますが、今般の会計研究会の報告書には、もう少し複雑な「逆撫で話法」が取り入れられているから驚きです。関係者の方は一所懸命されたと思いますし、批判をするのはいかがかと思いますが、こればかりは看過できません。研究会メンバーの方も声を上げてはいかがでしょうか?


 研究会は 「公益法人の会計に関する研究会の検討課題とスケジュール」を平成25年11月1日に発表しています(「参考資料 研究会開催の考え方」の資料4)。そこでは検討課題の優先課題の優先順位Aに「小規模法人の負担軽減策」を挙げています。つまり、内閣府側から期待を煽っていたわけです。これなら小規模法人は皆期待をするでしょう。それが人情です。ところが、ここに恐るべきことが記載されています。「小規模法人の負担軽減策」として、「適用除外・簡略化の方法及び内容」。これはよく分かります。問題は次です。「小規模法人の定義」です。

そして、今回の報告書です。以下の通りのゼロ回答の記載となっています。


以下の i 及びAの理由により、小規模法人を定義することは難しいとの結論を得た。

i 経常収益 経常費用、総資産、寄附金・補助金の受領の有無 、職員数等の 定量的条件に加え 、法人の 自己規律の取組を重視する等の定性的な条件が検討 されたが、それぞれについて一定の合理性が あるものの、いずれも決定的な根拠に欠け るため、線引きすることは難しいこと。

ii 線引きの際に、中位の公益財団法人が、中位の公益社団法人より10 倍超の総資産を有する とい う実態をどのように勘案するかを明確に定めることが難しいこと。



これは驚愕の回答です。ゼロ回答はともかくその理由が線を引けないから小規模法人は定義できないというのです。これは完全な「逆撫で話法」です。これだけの「逆撫で話法」ができる人はそれほどいません。研究会のメンバーの会計の専門家では無理でしょう。期待だけ煽るに煽って、線引きができないことを理由にゼロ回答です。小生の理解を超えます。


なぜなら、線はすでに二本も引いてあるではありませんか!!

@ 一つ目の線:原則として置かなければならない会計監査人を例外的に置かなくてよいとする線

認定法5条12号

 十二  会計監査人を置いているものであること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。

認定法施行令

 第六条  法第五条第十二号 ただし書の政令で定める勘定の額は次の各号に掲げるものとし、同条第十二号 ただし書の政令で定める基準は当該各号に掲げる勘定の額に応じ当該各号に定める額とする。

一  一般社団法人にあっては一般社団・財団法人法第二条第二号 に規定する最終事業年度、一般財団法人にあっては同条第三号 に規定する最終事業年度に係る損益計算書の収益の部に計上した額の合計額 千億円

二  前号の損益計算書の費用及び損失の部に計上した額の合計額 千億円

三  一般社団法人にあっては一般社団・財団法人法第二条第二号 の貸借対照表、一般財団法人にあっては同条第三号 の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額 五十億円


A 二つ目の線:上記の例外中の原則として外部監査を受けること又は監事の一人に公認会計士または税理士を置かなければならない原則をさらに例外的に置かなくてよいとする線

ガイドライン

  (3) 情報開示の適正性

@ 外部監査を受けているか、そうでない場合には費用及び損失の額又は収益の額が1億円以上の法人については監事(2人以上の場合は少なくとも1名、以下同じ)を公認会計士又は税理士が務めること、当該額が1億円未満の法人については営利又は非営利法人の経理事務を例えば5年以上従事した者等が監事を務めることが確認されれば、適切に情報開示が行われるものとして取り扱う。


これだけしっかりと、線が引いてあって、線が引けないなんて、「逆撫で話法」でなくて何でしょう。



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コメント
公益職員様

 コメント有難うございます。また、返信が大変遅くなり恐縮です。
特定費用準備資金は理由の如何にかかわらず1回は変更することが可能です。

 また、取崩すこともできます。赤字であれば、当然、取崩すことも選択肢の一つになると考えます。

特定費用準備資金については、柔軟に利用できるように設定しています。どうぞご安心ください。
Posted by:出口  at 2015年07月20日(Mon) 23:42
初めまして。最近このブログを発見し、公益法人の運営に携わる者として興味深く読ませていただいています。

さて、先の小規模法人の負担軽減についてですが、がっかりでした。当法人は公益事業1会計のみです。本音を言えば、

法人会計作成の省略ではなく、法人会計そのものが不要です。
収益事業を実施している法人でなければ、1会計区分内の管理費で十分であり、法人そのものが私の言葉で言えば、公益事業法人だからです。
したがって、
@公益目的事業比率も不要。(しいていえば100%)A収支相償は法人全体の経常費用でみる(法人会計は黒字にできないため)B遊休財産は事業費1年分

また、私の理解が足りないのかもしれませんが、黒字年度に特定費用準備資金等を利用し収支相償を満たしても、赤字年度は何で補てんするのかという問題が、現制度では対応できない。だから収支相償は問題だと思うのですが。
Posted by:公益職員  at 2015年07月16日(Thu) 15:12