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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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看過できない会計研究会の構成と議論の建て方 [2020年01月06日(Mon)]

 第 38 回 公益法人の会計に関する研究会(以下「会計研究会」という)の資料と議事要旨が公開されました。


 公認会計士協会のモデル会計基準が公開されたので、公益法人会計基準を改訂する際に参考にするという。日本の非営利法人会計がバラバラであるので、統合化、標準化しようとする動きを公認会計士協会が行うことまで批判するつもりはありません。


 しかしながら

@公認会計士にとって分かりやすいモデル会計基準を作ると公言されていること。

A公認会計士はオフィシャルには非営利法人会計を勉強していないこと(個人的にしっかり勉強されている方が多いことは承知しています)。

B政府が担保した公認会計士の資格の能力の中に非営利法人会計や公益認定法その他の非営利法人の関係法規の知識は含まれていないこと。

Cその結果、現に公認会計士が非営利会計で間違いをおかしていること。

Dそれにもかかわらず、公認会計士による非営利法人の外部監査が法定されはじめていること。

                   という現状があります(どうぞ反論してください)。



 これらは、モデル会計基準をつくるまでもなく公認会計士がオフィシャルに勉強すれば解決する事柄です(なお、小生は非営利法人会計の統一または標準化そのものを否定しているものではありません。)


 その上で、会計関係者しか含まれていない会計研究会でモデル会計基準のことを議論することはいたって危険だと思っています。さらに言えば、モデル会計基準を作った方が、会計研究会では、座長、座長代理を務めています。


 公開された議事要旨を見ると驚きました。

資料には、「公益法人会計基準を改訂する際に参考」とするわけですから、「議論の起点」は「現行の公益法人会計基準」にあるはずです。


 ところが、「議論の起点」が「モデル会計基準」にきれいに変わっているのです。


 この違いを議事要旨に即して説明しましょう。

今回の場合には「基本財産である普通預金」が議論されています。公益法人会計基準では基本財産は法律や定款で制約が著しくかかっており、普通預金だからといってすぐ現金化できません。そこで基本財産は固定資産として定義されています(会計における一般的な固定資産の定義と矛盾はありません)。基本財産として寄附される資金は期末に普通預金として振り込まれることもありますし、そうではなくても国債等の満期を迎えたときに端数が普通預金として出ることもあります(現金であるケースもあります)。


 他方で、「モデル会計基準」では、普通預金は基本財産であるかないかにかかわりなく、流動資産としています。


「現行の公益法人会計基準」と「モデル会計基準」が異なっている場合、議論の起点をどちらかにおくかで全く議論の展開が異なります。


「議論の起点」を「現行の公益法人会計基準」におく場合には、上記のルールで現行の会計基準を改訂せざるを得ない重要な問題点を提示する必要性があります。


 逆に、「議論の起点」を「モデル会計基準」におけば、相違点を比較して、モデル会計基準にすることについて課題があるかないかと議論することだけで足ります。

 現に「基本財産・特定資産等の制度特有のものを他の情報でカバーできれば、本表は企業会計と同様に流動資産とし、注記でカバーしていくことでよいのではないか」と議論されていきます。つまり、変更することの欠点をどう補うかだけが議論され、そもそも論として「なぜ変更しなければならないのか」という議論が飛ばされているのです。



 内閣府は外部の視点が重要ということで、公益法人には外部理事を入れることを公益法人のガバナンス改革として検討しているようです。同じ論理で、まず、会計研究会の構成も会計関係者のみにすることなく法人関係者等の多様な視点を入れるなどの変更を実施すべきではないでしょうか。


12月にスタートした「ガバナンス有識者会議」の構成は多様な意見が反映できるようになっていますが、会計研究会の構成はそれとは全く異なって極めて同質的で危険な議論が進行しているのではないでしょうか。


 会計研究会はずっと議事要旨や配布資料すら非公開だったのが、議事要旨や資料を公開しただけでも大きな前進ですが、そろそろ議事録も公開していくことも考えたほうが良いと思います。


 会計研究会の議論はこれまでもおかしなことが散見されていましたが、現状を続けていくのならば、いずれさらに大きな陥穽に陥る可能性があることを予言しておきます。


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