「民都・大阪」フィランソロピー会議は猪瀬直樹さんの「公益庁」構想に基づいて、非営利の学校法人、社会福祉法人、公益法人、NPO法人の理事長によって構成されています。
「公益庁」とは、各省庁で分断されている非営利・公益の法人を一括して取り扱う単独の省庁で日本ではもちろん存在していません。しかし、例えば英国では存在する政府機関です。
「民都・大阪」フィランソロピー会議はそうした観点から、民間側の「公益庁」として「各法人類型の長」から構成するという「形」から入っています。そして「形」から入る場合、東京では各省庁のOB・OGが「各法人類型の長」を務めていることが多いので、結局、各省庁の集まりとあまり変わらなくなってしまします。それに比べてこれを大阪で「形作る」ことによって「各法人類型の民間の長」による形を整えることができます。
もちろん、これまでの歴史がありますから、日本国内で「公益庁」が簡単にできるわけではありません。永遠にできないかもしれません。しかし、「公益庁」を構想することによって、様々な思考実験ができますから、法人格別に分断されている日本の制度から生じる課題・問題点を明らかにすることはできるでしょう。
この問題点は実に気が付きにくいものです。しかしながら、他国の政策を積極的に取り入れてきた我が国にとって、非営利・公益の他国の政策が、単独の法人類型だけに入り込むと様々な問題や本来の政策が持つ力を削いでしまいます。
例えばその典型は「休眠預金活用」があげられます。日本ではこのような「非営利・公益全体」(社会的企業を含む)に関わる政策を単純に取り入れるのに適した土壌とはなっていないのです。したがって他国よりはるかに難しく、専門知識に基づいた政策運営が求められます。「面で捉えるべき非営利・公益」の政策を日本全国に伝達させる手段を日本は持ち得ていないからです。
そこで「形から入る」ことが重要となってきます。日本各地で形から入る「民間・非営利の長による会議体」が誕生すれば、少しは「休眠預金活用」のような政策も実行しやすくなるかもしれません。
そういうものがなければ、情報の交換しやすい東京の関係者が情報を独占し、「地方を助けてあげる」というパターナリスティックな政策が継続し続けることでしょう。その間、地方はますます疲弊していくことになると思います。
大阪の挑戦は実に気の長い挑戦かもしれません。しかし、焦らずに一歩ずつ進んでいきたいものですね。