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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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変更認定に関わるパブリックコメントの賞味期限:膨大な書類の原因 [2019年09月07日(Sat)]
 公益法人行政は今やほとんどが既存公益法人の「変更」の認定等に費やしている。

当方に寄せられる不満も「変更」に関わることが多い。「公益の増進をしようとしているのに、これだけ事務作業を要求されてはとてもではないが、対応できない」と。

パブリックコメントの「回答」がどれほどの法的拘束力を有するかについては、つぶさには承知していない。しかし、国民の対しての約束だから一応遵守されているものだと信じたい。

平成19年9月8日に発表されたパブコメの中の変更認定に関するコメントとその回答には以下のようなやりとりがある。

(コメント)
 法人に変更があった場合に、かなり詳細にわたる資料の提出を求める規定となっている
 が、現行の主務官庁による監督以上の過剰な行政手続は不要とすべきである。

(回 答)
変更の認定にあたっては、変更に関わる書類に限定して提出を定めています。また、行政庁の変更を伴わない事業区域、事務所の 変更は軽微な変更として届出のみで足りるとし、手続きの簡素化を図っています。

「変更に関わる書類」に限定といっても、「変更に関わっているか否かの判断」は行政庁の手の内にあるから、仮に書類がどんどん増えていっても、「変更に関わる書類に限定」していますよ、という返答が役所から戻ってくるに違いない。

かくして改革前以上に、提出書類は増え続けているだろう。そうなれば、新規のプログラムを実行しようとする気力がどんどんと無くなってしまう。ずっと過去の仕事を墨守する「墓守」公益法人が続出する理由でもある。

時間軸に対して一方的に事務量を増加させてしまうのが、役人の常である。だからこそ、民間有識者の委員会が関与する制度になっているのである。

上記のパブコメ「回答」の精神は、立法当時の安倍官房長官の民間のみずみずしい力を公のために生かしてもらう」 にも直結する。

ちょっとした変更に、膨大な書類を行政庁職員から要求された時の怒りの矛先を見誤ってはいけない。




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