オーストラリアの公益認定等委員会
[2019年09月02日(Mon)]
この数年、「オーストラリアの公益認定等委員会に相当する組織」(チャリティ委員会)に注目しています。
その理由は、第一に職員数が約100名で、内閣府の公益認定等委員会とほぼ同規模であること。第二に事務所が首都キャンベラでもなく、経済の中心のシドニーでもなく、メルボルンにあるということ。これは「民都・大阪」フィランソロピー会議を考える上で、非常に大きな意義があります。第三に、各国のチャリティ委員会についてよく研究しているということ、とりわけ非営利会計についての研究の蓄積があります。
何しろ小生の友人のディヴィッド・ロックは、同委員会の準コミッショナーでしたが、インググランド&ウェールズ(英国)のチャリティ・コミッションの部長から、オーストラリアに引き抜かれた専門的な人材です。イギリス連邦内でこのようなことがあるのですね。何しろ、オーストラリアには、学生時代にバックパッカーとして一度来ただけ、というイギリス人ですから驚きです。
今年に入ってオーストラリア政府の消費者関係の重職に引き抜かれてしまいました。
広々としたオーストラリアの委員会事務局のオフィス(撮影:出口正之2018年)。
海外の政府の広々としたオフィースはよく知られたところですが、首都機能を分散しているからこそのゆとりかもしれません。
安易な訪問ではないことにすぐにご理解頂き、写真の許可にも驚きましたが、氏名入りの組織図も頂戴しました。
日本との安易な比較は禁物ですが、1万に満たない日本の公益法人に対して、約58000のチャリティについて、日本の内閣府とほぼ同数の100人で対応しています。なお、日本は1万弱の公益法人に、内閣府だけではなく、各都道府県でも、審議会員及び職員を割いて老いますので、関係公務員数は日本の方がかなり多いと言うことになります。
当たり前のことですが、日本のように法人関係者を事務所に呼びつけることはありません。ネットと電話ですべて対応するとのことです。対面で対応すれば、メルボルンの法人に有利になることが一因でしょう。何でも東京に呼びつける日本の役所とは「文化としての仕事のスタイル」が異なります。
また、100人のスタッフのうち、三分の一がシステム関係者です。報告された法人からのデータはシステム上処理されます。特に中小規模法人に対しては異常値が出たものだけに対応し、全数立入検査などということは行いません。これも日本の行政の「フォークウェイズ」(古くからの慣わし)ではないでしょうか。
実は総合的な制度としては、オーストラリアよりもニュージーランドのほうが良いように思います。各国各国で歴史的な経緯がありますので、オーストラリアにはオーストラリアなりの悩みがあります。もちろん、日本のほうが優れている点もあります。いずれどこかで紹介したいとは思います。
そうはいっても最近は日本でも企業のオフィスは随分と変わってきました。なんとなく気がつけば、日本の役所のスタイルが「前世紀の臭い」がたっぷりしているような気がします。
「全法人の立入検査だって?いくら税金を使いたいんだ!!そんなことをやっている国はあるのか?」(オーストラリアの某氏発言)
以下を追加しました(令和元年9月5日)。
非常にラフな計算をすると、
内閣府を行政庁とする公益法人数は2440法人(平成 29 年「公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告」)内閣府職員一人当たりの法人数は約20法人。
オーストラリアでは職員一人当たりの法人数は580です。
日本は公益法人(地方所管を含む)数は約9500 人口1千人当たり 約0.075
オーストラリアは 人口約2400万人、登録チャリティ数は約58000. 人口1千人あたりの法人数は約2.4です。
(注 オーストラリアでは、日本での宗教法人、学校法人、社会福祉法人、NPO法人等に相当する組織も含む)
非常にラフな計算をすると、
内閣府を行政庁とする公益法人数は2440法人(平成 29 年「公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告」)内閣府職員一人当たりの法人数は約20法人。
オーストラリアでは一人当たりの法人数は580です。
日本は公益法人(地方所管を含む)数は約9500 人口1千人当たり 約0.075
オーストラリアは 人口約2400万人、登録チャリティ数は約58000. 人口1千人あたりの法人数は約2.4です。
(注 オーストラリアでは、日本での宗教法人、学校法人、社会法人等に相当する組織も含む)