CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


<< 2021年09月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
最新記事
月別アーカイブ
変身のルール 届出それとも変更認定申請?  [2015年01月24日(Sat)]
災害ボランティア研究で優れた業績を出している渥美公秀さんは「集合的即興ゲーム」という概念をつくっています。災害ボランティアがその場その場の状況に応じて変化しなければならない状況を、ジャズの即興演奏を比喩に用いながら、うまく語っています。これができないと、「水道出てから水配る」(出口の公益法人ことわざ)という実際にあった行政の対応になってしまいかねません。

 これらは災害時という状況に特有のものなのでしょうか? 確かに、災害時にはこれらの時間軸の長さが極端に短くなり、誰の目にも変化の必要性が明確に映ります。しかし、本質的には時間スケールが異なるだけで日常でも生じていることではないでしょうか。公益ニーズに対応していくということは、このような臨機応変の対応と不可分の関係にあるでしょう。つまり、公益法人の事業内容は変化して当然のことですし、変化しないと公益ニーズそのものをつかまえられなくなると考えています(昨年の社会福祉法人批判を参考にしてみてください)。

 と、ここまでの私の話に賛同していただけるならば、公益法人の事業内容についての変更手続きの重要性はご理解いただけるものと思います。

 事業の種類及び内容の変更を行うときは、変更の認定(認定法第11条第1項第2号及び第3号)、変更の届出(認定法第13条第1項第2号)をしなければなりません。

両者の区別は「軽微な変更」か否かということになるのですが、認定ならば、基本的に公益認定ないし移行認定作業と基本的に同じ手続きが待っており、届出ならば書類を出せばよいということで、法人にとっては大きな違いです。



変更認定・届出に関して
・法令(認定法施行規則第7条第3号)で「軽微な変更」の内容が明確に定められました。
・内閣府は変更認定に係る標準処理期間を40日と定めました。

これらは従前のものに比べると、制度上の大進展です。

そこで、さらにもう少し、法令を見てみましょう。両者の差は
認定法施行規則第7条第3号 公益目的事業又は収益事業等の内容の変更であって、公益認定を受けた法第七条第一項 の申請書(当該事業について変更の認定を受けている場合にあっては、当該変更の認定のうち最も遅いものに係る次条第一項の申請書)の記載事項の変更を伴わないもの

つまり、行政庁に出した最新の申請書の記載事項の変更を伴うか、伴わないかが、認定か届出かの線引きとなります。

さらに、「読むコツ」とともに、FAQをみると

ただし、事業の内容の変更であっても、公益目的事業における受益の対象
や規模が拡大する場合など、事業の公益性についての判断が明らかに変わら
ないと認められる場合は、公益法人認定法施行規則第7条第3号の「公益認
定を受けた法第7条第1項の申請書(注)の記載事項の変更を伴わないもの」と
みなし、変更の届出をすることとなります(公益法人認定法第13条第1項第
2号)。(以下略)

 つまり、事業の公益性の判断が明らかに変わらないものは「申請書の記載事項の変更を伴うものであっても(=事業の内容の変更)、変更を伴わないもの」とみなすというのですから、「読むコツ」で指摘した通り、法人の柔軟な対応を支援するという姿勢が明確なのです。

 さらに、行政改革の流れと公益法人改革は軌を一にしていますから、事細かな行政庁の仕事を増やすことは、行政庁にとっても望ましいものではありません。この点で法人と行政庁はベクトルの向きは一緒です。
 ただ、事業の性格上、他の省庁の許認可に係るものが新規に加わった場合にチェックが必要だとか、公益目的事業と認められないものが、行政庁の知らぬ間に入り込むことがないように確認しなければ、ということが変更認定の必要性のロジックと思われます。

それでは「実質」はどうなのかという大きな問題に入ります。

その場合のカギは、繰り返しになりますが、最新の「申請書の記載事項」です。これに事細かに書きすぎると、微細な変化でも、「申請書の記載事項」と異なることになってしまいます。
 つまり、「実質」を考えたとき、「申請書の記載事項」の粗細がその後の「認定」と「届出」の線引きに決定的に影響を与えるということです。

 「申請書の記載事項」にどこまでどのくらい書いてもらうのかを表現するのは実に難しいのです。「申請書の記載事項」だけでは、公益性の判断がつかない、と委員に言われれば、行政庁の職員はさらに申請書の記載を求めることになるでしょう。

 したがって、この部分の線引きが妥当だったかどうかは、過去の委員を含め(つまり私自身も含め)、委員の責任が大きいと言えます。
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント