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民間公益の増進のための公益法人等・公益認定ウォッチャー (by 出口正之)

日本の民間公益活動に関する法制度・税制は、10数年にわたって大きな改善が見られました。たとえば、公益認定等委員会制度の導入もその一つでしょう。しかし、これらは日本で始まったばかりで、日本の従来の主務官庁型文化の影響も依然として受けているようにも思います。公益活動の増進のためにはこうした文化的影響についても考えていかなければなりません。内閣府公益認定等委員会の委員を二期六年務めた経験及び非営利研究者の立場から、公益法人制度を中心に広く非営利セクター全体の発展のためにブログをつづりたいと考えております。


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収支相償の都市伝説を覆すYouTube [2021年09月15日(Wed)]
 以前にもご紹介しましたとおり、全国公益法人協会がYouTubeを作っていましたが、今回は収支相償について設計時の考え方をわかりやすく解説しています。



収支相償は、もちろん、組織の黒字を前提とした制度です。

「赤字にしなければならない」という都市伝説が如何におかしなことか、小生が説明しております。


世上で言われていることとあまりに異なるので驚かれる方も多いと思います。
公益法人の方は必ず最後までご覧になってください。


このYoutubeに引き続き弾力化としての道具である「特定費用準備資金」をさらに詳しく説明する予定です。


公益法人の方は安心して公益目的事業に邁進してください。

一般法人の方、移行認可法人の方はもっともっと公益認定申請をしてください。

日本の公益活動は足りておりません。

官民挙げて公益法人を作ろう、公益目的事業を活発に行っていこうと皆で自信をもって言おうではありませんか。
                                  出口正之

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FATFに関して内閣府が公益法人メールマガジン臨時号を発行 [2021年09月13日(Mon)]
本日(令和3年9月13日)、内閣府が公益法人メールマガジン臨時号を発行し、FATF (マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の国際基準作りを行うための多国間枠組み「金融活動作業部会(Financial Action Task Force。)」の報告書の内容を紹介しています(重要なので下記に全文を載せます)。 

  FATFの重要性については、本ブログでも指摘していましたし、『公益・一般法人2020年6月15日号』においても台湾の財団法との関係で指摘をしておりました。 

  とりわけ、ブロクの指摘は「日本の場合には、サードセクターの管轄部局が縦割りで分断されているために、問題意識が十分に共有されていない可能性があります。問題意識が希薄なままで推移することが一番恐ろしいことではないでしょうか。」と指摘しましたが、今回の報告書の内容と全く一致しています。  

  日本政府は早急に対応を取る必要があるでしょう。  大阪府公益認定等委員会では、すでに監督に関連してFATF問題の重要性については数度に亘って議論をしております。この点を踏まえて監督のプライオリティを変更しました。

 また、サードセクター全体の連携を強化しようとしている【「民都・大阪」フィランソロピー会議】も背景にはFATFのNPOレポートが頭にありました。  非営利組織の自由な活動を奪うことなく、FATF報告書に対応していくことは実は簡単ではありません。政府の機敏にして慎重な難しい対応を的確に取っていただくよう切望いたします。
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「民都・大阪」フィランソロピー会議の報告書 [2021年09月07日(Tue)]

 些か旧聞に属するかもしれませんが、「民都・大阪」フィランソロピー会議が昨年度提言を含む報告書を発表しています。「副首都」ということを考えるのであれば、政治・経済・非政府・非営利の三つのセクターの内、まずは三番目のセクターすなわち非営利のセクターの首都を大阪に移せというシンプルな主張です。



 そのための道筋が描かれています。一朝一夕にはいかないでしょうが、令和元年度の内閣府の非営利団体実態調査によれば

収入の状況は、全団体合計では 51 兆 425 億円で前年度比 8.1%増であり、同年度の民間非営利団体の経費は、全団体合計では 54 兆 7,160 億円で前年度比12.7%増となっています。


移転収入や移転経費が含まれていますので、比較は難しいですが、着目に値する経済規模を有しています。


 日本では、東京一極集中の脆弱性が各方面から指摘されている中で、東京への集中は止むことはありません。休眠預金活用制度を見てもわかる通り、各国の政策は非営利の部分にかなりウエイトが置かれていますが、日本では非営利セクターが法人格がばらばらで非営利セクターを一つのセクターとして見ることがほとんどありません。


  何よりも「民間=企業」という視野狭窄的な見方も打ち破っていく必要があるでしょう。是非注目していてください。


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レディメイド型助成とオーダーメイド型助成 [2021年08月29日(Sun)]

服を選ぶときに既製(レディメイド)品を選ぶのは「通常」は楽です。何より供給側にとっては大量生産もできますし、都合がよいでしょう。しかし、多様な消費者のニーズに既製品だけでは対応できません。人の体型は様々です。


 服が既製品しか販売していなければ、一方的に「排除される」消費者もいるでしょうし、何より多様な消費者の質的ニーズにも応えていくことができません。 


 長らく主務官庁に指導されていた日本の助成のスタイルを見ると既製服を売るスタイルとよく似ています。スケジュールがすべて決まっていて、決められた申請書を提出して、選考委員会に諮って助成先を選定するというスタイルです。


 こうしたスタイルと私はレディメイド型助成ないしはプログラム型助成と呼んでいます。日本ではレディメイド型助成が圧倒的に多いです。このスタイルには大きな利点があります。

  • 周知しやすい。  
  • 専門的な知識無しでもできる。
  • 多様な助成ニーズを断りやすい。  
  • 他者から文句がつけにくい。  
  • 特に行政庁から「特別の利益供与」(公益認定法5条3号4号違反)と疑われる心配がほとんどない。


   他方で、下記のような欠点もあります。

  • 助成決定まで時間を要する。  
  • 助成先に必要な時にタイムリーに助成ができない。  
  • 申請書の範囲のニーズは入ってくるものの、それ以外のニーズが入手できない。
  • 多くの死票ならぬ死申請書を作り出し、社会に負担をかける可能性がある。  
  • 助成先のニーズに必ずしも合った金額や内容となりにくい。

  レディメイド型助成は、海外では一般にRFP(Request for Proposal)方式と言っています。政府のスタイルと言いますか、政府が実施する場合にはほぼこの形になりますね。「官の文化」といえるかもしれません。



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非営利研究の巨星:故レスター・サラモン先生の思い出 [2021年08月24日(Tue)]

突然の悲しいニュースが舞い込んできました。ジョンズ・ホプキンス大学のレスター・サラモン先生が8月20日にお亡くなりになりました(享年78歳)。


 サラモン先生は、ジョンズ・ホプキンス大学の国際比較NPO研究を主導し、世界の非営利研究の足場を作った方です。この研究で各国の非営利セクターの歴史、法制度、税制、経済規模などが初めて明らかにされました。経済規模を比較可能にするための「非営利セクターの定義」がつくられ、その後の非営利研究に大きな影響を与えました。


 また、世界の非営利研究者のネットワークを作り、とりわけ、国際学会のISTR創設には大きな貢献をされています。


 近年ではイタリアやロシアの研究所にも深くかかわり、世界中を飛び回っていました。


 その研究業績については改めて紹介するまでもないと思いますが、アメリカ特殊主義の中だけで語られていた非営利セクターを目に見える形にして、普遍的でかつ重要な存在として明らかにしていった功績は非常に大きなものがあります。こうした実証データをもとに、Foreign Affairsに発表したThe Rise of the Nonprofit Sectorでは、20世紀最後の四半世紀に非営利革命(Associational Revolution)が世界中で進行していることを証明したことは世界を驚かせました(後に、Partners in Public Service: Government and the Nonprofit Sector in the Modern Welfare State.所収)。


 その他にも、第三者政府論、ノンプロフィット・フェイラー、非営利のソーシャル・オリジン理論、PtP(Philanthropication thru Privatization)等の新しい概念を次々と打ち出して、最近のフィランソロピーの動向にも深く注視をされていました。


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『公益法人』に重要な記事の掲載 [2021年08月18日(Wed)]

公益法人協会の『公益法人』の今月号(Vol.50。No.8)には重要な記事が二本出ていたので紹介したいと思います。


一つは雨宮孝子理事長が内閣府公益認定等委員会の「新公益法人制度10年を迎えての振り返り報告書」(以下「報告書」という)を「民間公益活動の推進」の観点からクリティカルに検証している記事です。先月号からの連続ですが、今回はとりわけ公益財団法人の二年連続での純資産300万円割れ問題について、重要な問題提起をされています。


周知のとおり、一般財団法人は一般法第202条第2項で二年連続で貸借対照表上の純資産額が300万円未満となった場合には解散となります。


コロナ禍という想定外の事態に直面して公演中止を余儀なくされ、純遺産300万円を割り込んだ公益財団法人の具体例を挙げ、何らかの救済措置が取れないかという提案です。


具体的には金融機関から資本性劣後ローンを導入した公益財団法人の事例があることから、資本性劣後ローンを純資産とみなすことが可能であれば300万円割れ問題を乗り越えることができるというものです。


 雨宮氏は小生が敬愛する民法学者であり、民法学者から一般財団法人の法人格の根幹となる純資産の考え方についてこのような柔軟な提案がされたことには非常に意味があると思います。一般法の当該規定の改正は本意ではないと断言しているところにも民法学者としての矜持を感じます。


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立法趣旨と現状:「柔軟かつ機動的な活動」を邪魔していませんか? [2021年08月12日(Thu)]

 本ブログでは繰り返し立法趣旨の重要性を述べています。 閣議決定(「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」平成15年6月27日)では   

 

 我が国においては、個人の価値観が多様化し、社会のニーズが多岐にわたってきている。しかし、画一的対応が重視される行政部門収益を上げることが前提となる民間営利部門だけでは様々なニーズに十分に対応することがより困難な状況になっている。

 これに対し、民間非営利部門はこのような制約が少なく柔軟かつ機動的な活動を展開することが可能であるために、行政部門や民間営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対応する多様なサービスを提供することができる。その結果として民間非営利活動は、社会に活力や安定をもたらすと考えられ、その促進は、21世紀の我が国の社会を活力に満ちた社会として維持していく上で極めて重要である。


と述べられています。

 

画一的対応が重視される行政部門

収益を上げることが前提となる民間営利部門 ではできないことができるという点を強調しています。

 

ところが、公益法人に対して皆で寄って集って

 

行政と同じような画一性=公平性を強いたり、

民間営利部門と同じような効率性を強いたりしていませんか? 

 

 公益法人の中で新しいことに挑戦しようとする人を皆で潰してはいませんか?

 

「柔軟かつ機動的な活動」とは一体とんな活動なのでしょうか?



  未曾有のコロナ禍で社会のニーズが多岐にわたっている中、今一度、立法趣旨の再確認を官民挙げて行ってみませんか?

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公益認定・変更認定が遅れれば遅れるほど社会にとってはマイナス [2021年08月04日(Wed)]

公益認定には時間がかかって当然だという風潮が社会一般に生まれていませんか?


コロナ禍が目の前にあって一刻も早くいろんな対応が期待されている中で、それはあまりにもおかしなことでしょう。


内閣府の標準処理期間は、公益認定は4か月、変更認定は40日です(行政庁によって異なりますが、ほとんどすべてがこの期間を採用しています)。


「公益の増進」という立法趣旨からいっても、できるだけ早く多くの公益法人を誕生させることが立法趣旨に適うことでしょう。


認定が遅れれば遅れるほど、社会にとってはマイナスです。


行政庁は単に標準処理期間を守るだけではなく、標準処理期間が設けられた意図を立法趣旨とともにご理解下さい。


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