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川北秀人on人・組織・地球

「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を目的に、市民団体(NPO)・社会事業家(ソーシャル・アントレプレナー)や社会責任(CSR)志向の企業のマネジメントの支援や、市民・企業・行政の協働の支援などに奔走する、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者の毎日の、ほんの一部をご紹介します。


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企業の持続可能性を本気で高めるための、2030年代を俯瞰する視野 [2020年12月28日(Mon)]
ある企業から、同社のサステナビリティ戦略の立案に際して、
コメントが欲しいというご要望をいただきました。
予めいただいたご質問にメールで回答し、それをもとに
オンラインでのインタビューにお答えしたのですが、
その内容は、きっと他社にもお役に立つだろうと考え、
メールでの回答を抽象化して、紹介します。
(回答の返信をまとめたのが10月末のため、若干、状況が
変わっていることもありますが、大勢には影響ないと考え、
そのトーンのままで記載します。)

Q1:2030年、2060年ごろの市民社会と企業の関係性は
 どのように変化しているか?

A1:どの国においてか、また、人口・世帯構成の推移が大きく変動するか
否かによって回答は異なりますが、人口・世帯構成の推移の変動が小さいと
予想すれば、世界の人口は2030年に85億人(20年比+8%)、
2060年に100億人(同+26%)ですが、増える人口のほとんどは
赤道周辺または以南であることから、グローバルな企業にとっては、
すでに経済的に成熟化し今後さらに高齢化が進む(現時点での)先進国での
事業を適応度を高めるために進化させつつ、人口が増え続けるアフリカ・
中央&南アジア、中南米などで収益=市場を確立できるよう、人材・ビジネス
モデルと組織の在り方の多様性を豊かにする、という2つのプロセスを
同時に進めるしかありません。
https://www.unic.or.jp/files/15fad536140e6cf1a70731746957792b.pdf

現時点での先進国と、韓国・中国をはじめとする新興国は、高齢化、そして
国によっては人口減少という、日本が経験している道を辿ることになります。
日本の人口は
2030年に1.19億人(20年比−5%)、2060年に0.92億人(同−26%)、
65歳以上は2020年29%→2030年31%→2060年38%、
75歳以上は2020年15%→2030年19%→2060年26%と、
後期高齢者が全人口の6人に1人→5人に1人→4人に1人と、
医療と福祉に要する費用をどう下げるかを、国民と課題として共有し、
予防にも、負担にも向き合う必要があります。
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp
(これと並行して「インフラの高齢化」も進みますが、またの機会に。)

また、人間の高齢化は、年金運用の拡大を意味し、その長期運用を担う機関
投資家にとって、ESGをはじめとする、企業の長期価値、つまり持続可能性と
価値創出の双方の観点から企業を評価することを意味します。

もうひとつ、気候変動の主たる要因である二酸化炭素等の温室効果ガスの
排出抑制は、ようやく日本においても政策として意識されるように
なりましたが、「2050年に実質排出量ゼロ」を実現するには、
年率4%以上の削減が必要です。一方で、ICTの進化は「働き方」、
つまりどう稼ぐかにも大きな影響を及ぼし続けており、高いスキルや
能力を持つ人材にとっては、大きな企業に就社して都心部のオフィスに
通勤しなくても、力を発揮できるようになることは、さらに進みます。

つまり、グローバルな企業にとっては、市場・顧客への対応の面でも、
従業員の働き方や、ビジネスプロセスのマネジメントの面でも、
人口増加率の低下や高齢化、気候変動をはじめとする課題解決や
ICTがもたらす市場環境の変革や進化を生かす価値創出に挑み続ける
ことが、前提となります。

Q2:企業が社会価値を定義するにあたり、どういった点を重視すべきか?
   当社グループに求められる社会価値とは

A2:経済価値が売上・利益や株価で示されるならば、社会価値は、
社会における有用性や信頼によって(定性評価を含め)示されることに
なります。
上述の背景から、世界の人口増加率が低下し、先進国や(先行)新興国に
おいては、経済的な成熟と高齢化、またいくつかの国・地域では人口減少が
始まる中で、有用性や信頼は、消費欲求を満たす新たな製品・サービスの
創出だけでなく、課題の解決や、課題を踏まえた新たな理想の実現を、
環境や人権に配慮した事業・組織によって進め、積極的に開示とエンゲージ
メント(多様な主体の力を借りて巻き込む)しながら積み重ねていく必要があります。

現時点での貴社の基本理念等を見る限りにおいて、
これまでのように、市場や顧客として効率の高い層だけを対象にするのではなく、
上記の課題に直面する人々にも、サービスや機会を提供できるよう、
包括的(インクルーシブ)な視野とアプローチが求められます。
この点について、統合報告書の価値創出ストーリーで明言することも、
コミットメントとして不可欠です。

Q3:「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」に
 必要な要素は何か?

A3: この10年間は、
(1)2020年までに、世界で最も少子多老化が進んだ日本における
 「地域経営」の確立
 ・多様な主体による協働
 ・小規模多機能自治
 ・社会責任公共調達
(2)2020年までに、すべての生命の危機である「気候変動への合理的な
 解決策」の普及
(3)2020年までに、NPO自らが「社会責任経営の模範」に
の3項目を最も重要な成果目標と位置付けてまいりました。

Q4:川北氏のブログの中で、「自律を促すための判断材料が重要」と
 書かれていたが、「自律」とはどのように定義できるとお考えか?

A4:「自律」は、自ら決めることができること。他者に迫られて決めるのでも
なく、判断が遅れて結果として選択できないようになるのでもなく、
「これまで」を構造と要素で把握し、「これから」を見通したうえで、
判断に先立って調査し、設けた仮説を検証しながら、より精度の高い判断と
実践を積み重ねていく過程と考えます。
内側からだけでなく、外側から [2020年10月21日(Wed)]
つい先日、ある企業(みなさまもきっとご存知です)の研修に
ほんの少しお手伝いさせていただくことになり、12分ほど
(当初の予定をオーバーして申し訳ありません。。)お話し
させていただきました。研修の最終盤だったこともあり、
質疑応答の時間も設けられず、申し訳なかったのですが、
ご担当の方を通じて、下記のご質問をいただきました。

「先日の川北様のトークが非常に印象的で衝撃的だったのですが、
(中略)お話の中でグローバルに機能すること、世界の中の日本を
考えることも重要という点が気になりました。リアルやデジタルの
世界がフラットになっていく時代で、このような視点はとても
重要だと感じていますが、国内企業である当業界の中で、
そういった国際的な肌感覚を磨くのがなかなか難しいと感じる
こともあります。
国際的な視点や活動を得る上で、具体的に良いインプットやアウト
プットの方法、注意されて実践されていること等がもしありましたら
お伺いしたいと思いました。」


その方が普段、どんな情報にどのように触れていらっしゃるかにも
よるのですが、まず一般論として、日本のマスメディア
(テレビも新聞もビジネス誌も最悪ですよね。。)を読んでいる限り、
海外でどういうことが起きつつあるかを、文脈を含めて知ることは
不可能だと言わざるを得ません。
まったく参考にならない、私の個人的な経験については、
過去の投稿をご参照いただくとして、
海外も視野に入れつつお仕事をされる必要がある方々には、
(1)業界の国際団体が発表する、英文の統計や動向分析記事などに
 年に1度は目を通す。
(2)業界の英語の論文に目を通す習慣をつける(ために購読する)。
(3)Economist, Businessweek, Fortune のfbページに
 「いいね!」を付けて、気になった記事だけでも目を通す。
(4)同様に各国の主要紙のfbページにも「いいね!」をつけておく、
 あるいは各紙のメール配信サービスに登録しておく。
というところまでしておけば、ご自身の働く業界や、顧客の業界に
ついての最小限度のニュースと、その関連の記事(特に、現象の
経過を追うことで、文脈を追うのに有効ですよね)に目を通す
ことはできると思います。

あとは、自分のためではなく、顧客のために情報を収集し、理解し、
咀嚼し、見通しを予測して伝える、という機会があればあるほど、
面白くなってくると思います。

回答としてお役に立てれば幸いです。
「CSRの取り組みでどんな成果をめざし、どのような成果指標で測れば良いのか?」 [2018年05月18日(Fri)]
あるテーマにおいて、事業者による倫理的な事業慣行の確立に
向けて、企業との対話を丁寧に積み重ねているNPOの代表の
方から、下記のご質問をいただきました。

「CSRの取り組みでどんな成果をめざし、
どのような成果指標で測れば良いのか?」


みなさんだったら、どうお答えになりますか?

この質問の本質は、CSRとは何を目的に行うのか、という
問いと同義です。
では、CSRはいったい、なぜ、どういう目的で行うのか。
それは、CSR(企業の社会における責任)として問われている
要素を個別にみれば、すぐにわかります。
ガバナンス、人権、労働、環境、公正な慣行、消費者への対応、
そして、コミュニティへの参画。
どれも「短期的にはやらなくても済まされるかもしれないけど、
中長期的にはちゃんとやっとかないと、事業も組織も持たない」
というものばかり。つまり、研究開発や品質管理、顧客満足の
向上と同様に、持続可能性を高めるために、不可欠だからこそ、
世界各国の主要企業が競うように取り組みを積み重ねているのです。
日本企業はどう取り組んでいるのかについては、この機会に再度、
「ソシオ・マネジメント」第5号をご参照ください。

では、どんな成果を生み、どのような指標で測るのか。
労働関連なら、働き続けやすさの向上によって生まれた価値
(たとえば新たな市場への参入によって生まれた利益や、
採用や医療などに要する費用の削減。決して女性管理職比率ではない。)
環境関連なら、環境の負荷削減や保全・活用によって生まれた価値
(たとえば温室効果ガスの排出削減量や吸収量と、それによる収益など)
「守って当然」と言われる公正な慣行や消費者への対応、人権なら、
交通安全や労働安全衛生などと同様に「無事故時間」と、
失わずに済ませることができた費用の推計値、といったところです。

では、コミュニティ参画(=社会貢献)では?
実は、社会貢献活動の評価については、もう20年以上前に、
今ではその分野におけるベスト・プラクティスと言われている
いくつかの会社のお手伝いをさせていただきました。
(「えっ、どこ、どこ??」とおっしゃる方、直接お会いした時に
おたずねください。)
社会貢献活動が、企業にとって「利益の社会還元」=配分ならば、
配分さえしてしまえばよいので、効果を問われることも指標も不要です。
(額が多かったり、相手先の数が多ければ、いいかもしれませんが。)

しかし、社会貢献活動も企業にとって「よりよい社会・市場づくり」
に向けた投資であるならば、その目標は自らの事業や組織がめざす
社会そのものであり、その定量的な目標こそが、効果測定指標です。
たとえばデンソーでは、事業と社会貢献の両輪で、「交通事故ゼロ」
をめざしています。
https://www.denso.com/jp/ja/csr/csr-policy/top-message/

「ウチのトップ、ここまで本気じゃないし。。」という場合には、
効果を生む対象を「社外」と「社内」の2つとし、
「社外」向けには、対象の置かれた状況の改善、当事者の評価、
行政をはじめとする自社に影響あるステークホルダーの評価などを、
「社内」向けとしては、メディア紹介などの広告換算価値、
参加・関与した従業員の満足度、本業(収益部門)との連動性、
といった項目を、それぞれ指標とすることになります。

こういう領域の勉強会も継続して開きたいと考えたことから、
ソシオ・マネジメント・スクール」を開講しています。
次回の予定はまだ決まっていませんが、その節はぜひご参加ください。
日本のCSRは、欧米に比べてどう、どれだけ遅れているか? [2016年05月11日(Wed)]
毎年、本当にたくさんのご質問をいただきます。
それぞれにお答えすることが、僕自身にとって、勉強になっています。
ありがとうございます。
さて、本日は、海外の大学院生の方からのご質問です。

【以下、いただいたご質問の引用】
Q:日本のCSRの普及は西洋に比べどのくらいの遅れがあると思われますか?
 日本の現状はただの「遅れ」なのでしょうか、
 それとも全く別物として存在するのでしょうか?

もちろん、CSRの実行に正解はなく、世界各地歴史的背景からも様々な取り組み、
考え方があって当然ですが経済先進国である日本は西洋各先進国(アメリカ、カナダ、
イギリス、フランス等)に比べ、CSRに対する社会全体の認識、取り組み、特に
経営者の考え方には20年の遅れがあるのではないかと考えております。
【以下略】

みなさん、どう思われますか?
個人や顧客の立場、企業で働く・企業と仕事する立場、企業を経営する立場、
それぞれでお考えはあろうことかと思いますが、日本を代表する企業の
環境報告書やCSRレポートに第三者意見を書き続けてきた私の立場からは、
以下のように感じます。

まず、遅れているかというご質問については、Yes。
別物になってしまっているとすれば、それは経営者と社会の誤解に他なりません。

では、なぜ、どのように遅れているか。
まず、リンク先の「読者調査レポートはこちらからダウンロード」というボタンから
2014年秋実施の「環境・社会報告書」読者アンケートの報告書をご参照
いただきたいのですが、その13ページに挙げた、イギリス、ドイツと
日本との顕著な差は、「企業が取り組むべきSR課題」は
人権か、それとも労働か、という違いです。
P6をご覧いただくとおわかりのとおり、日本の若い世代は、雇用という
基本的な権利や状況が脅かされていると感じているのに対し、
欧州では、児童労働や強制労働をはじめとする人権が問題と感じている。
この差を生んでしまっている背景には、日本の経営者(正確には行政も)が、
自社内の従業員を「サービス残業」をはじめとする強制労働をさせている
だけでなく、取引先に対しても「お客様は神様」という圧力をかけ続けて
いることの証左と言わざるを得ません。

このように、人権が経営の最重要事項と位置付けられていない、という点で、
日本企業は、というより、日本の経営者たちは、欧州より遅れています。
「違い」であると私が申し上げない最大の理由は、国内でしか事業を
行わないならともかく、欧州を市場や取引先にする可能性があるなら、
人権への取り組みは、必ず求められる。しかもそれは、文化としてではなく、
英国の現代奴隷法アメリカSECの紛争鉱物を含む)
法制の形で要件とされます。そういった要件に先取りして備えられるか、
それとも、制度ができてから慌てて対応しようとして、それも、
取引を失いたくないがゆえに無理して「できてます」なんて
言っちゃったりして、結果として大恥をかいて負担を求められるのか。
これは、違いや参入障壁という問題ではなく、備えの早さ・遅れの問題です。

この遅れを生んでしまっている最大の理由は、日本企業において、
10年以上先にトップ・マネジメント層に就くことになる層の人たちが、
社内と目の前の顧客と直接の取引先のことは知っていても、
社会という、将来の市場や取引先や、しくみの要件となることを知らない、
学ぶ機会も、学んだことを試行する機会も、与えられていないことにあります。
(裏返せば、欧米のグローバル企業は、そういう機会を設けています。)

もちろん、日本企業がすべて、どうにもならないぐらい遅れているわけでは
ありません。しっかり取り組みを積み重ねていらっしゃる企業もありますし、
微力ながら、そのお手伝いをさせていただいております。

まさに今、「ソシオ・マネジメント」第4号として
「自社と社会の持続可能性を高める経営者のための
ベスト・プラクティスから学ぶCSRマネジメント」(仮題)を
執筆中です。。。今しばらく、お時間ください。
エコプロダクツ2015 記念シンポジウムでした! [2015年12月10日(Thu)]
今日午後は、私も企画委員会の末席を汚させていただいている
エコプロダクツ2015で「わたしが選ぶクールな未来
2030年未来社会 こうしてつくる元気なニッポン
」と
題された記念シンポジウムで、いつものように進行役と、
とっても珍しいことに、僕にも発題の時間をいただきました。

お忙しい中、また、場内で他にもとても魅力的なプログラムが
多々あったにもかかわらずご参加くださった600名近くのみなさま、
そして、事前に何の打ち合わせもなく、壇上でのお願いに快く
受け答えしてくださった登壇者のみなさま、本当にありがとう
ございました!会場でお示しした資料を、下記に添付しますね。
1512_eco_pro_prepare_2030.pptx

今回、改めて印象的だったのは、目の前の状況をどう見るか、
そして、変化や課題に受け身で構えて守ろうとするか、
それを機会と捉えて進化に挑むか、その姿勢の違いが、
大きな差を生むということ。
ならば、前向いて進んだ方が、絶対に悔いは残らないですよね。
そこで大切なのは、企業やNPOがチャレンジするだけでなく、
行政も市民も、そのチャレンジを積極的に評価し、
ときには「えこひいき」するぐらいの姿勢でなきゃダメ、ということ。
社会を進化させるためのチャレンジは、誰かがするんじゃなく、
私たちが、それぞれするんです。
ペット産業の社会責任を考えるシンポジウムでした! [2015年12月05日(Sat)]
今日午後は、(特)人と動物の共生センターが主催し、
(特)SR連携プラットフォームなどが協力された
ペット産業の社会的責任を考える」と題されたシンポジウムに
お招きいただき、「日本と世界とペット関連産業の 2020年代を俯瞰する 」
と題して、同業界に求められる社会責任への取り組みについてお話し
させていただくとともに、パネル討論にも参加させていただきました。

好天の休日午後にもかかわらずご参加くださった100人近いみなさま、
本当にありがとうございました。
会場でお示しした資料を、下記に添付しますね。
1512_animal_welfare_csr.pptx
(いつもと同じスライドも多いですが、新ネタもたくさん入れました!)

詳しく存じ上げない領域でしたが、とっても勉強になりました。
私からは、いつもと同様に、人口構造の変化や、欧州での、
動物の福祉を含む、人権への関心の高さをお話ししたうえで、
東京オリンピック・パラリンピックに関連するお仕事をされる
企業にとってのISO20400の観点からの備えの必要性を
お話しさせていただきました。

ご参加のみなさまのアンケートを拝見すると、依然として年間
十数万件にも及ぶ殺処分を要する現状に鑑みると、ペットの生産者・
販売者である企業が、流通量を絞り込む責任があるにもかかわらず、
それを果たしていない、という厳しいご指摘が多く、本日、ご紹介
いただいた自主的なお取り組みでは、まったく不十分であるといった
ご意見もありました。

確かに、一日に1千近くの生命が奪われてしまっている事態の解消は
一刻も早く実現すべきだと思います。
その半面、では、法制化できるか、を冷静に考えると、動物愛護法の
改正でも踏み込めなかった実態を考えれば、遠回りに見えても、
企業が取り組みを進めざるを得ないプロセスを設けるしかない、と
考える次第です。

もうひとつ、今日、気付かされた論点は、飼い主の高齢化に
どのように向き合うか、です。
「飼うことはできない」としてしまうか、
「助けを受ければ飼うことができる」とするか。
これも考え方が分かれるところですが、消費者にも企業にも甘い
(つまり政治家が厳しい判断としくみづくりがができない)
日本では、ベストではないにせよ、ベターな案から動き出すしか
ないと考えます。

なので、繰り返し申し上げた通り、
@生育履歴情報の開示と、その取り組みの積極的な発信
A業界としての自主基準の策定と、その順守状況の発信
B業界としても、市民団体からも、良い企業は誉める
 (最優秀の表彰でも、格付けでも、どちらでも可)
の3つから、始められることを、重ねて強くお勧めします。
持続可能性を高める経営者を育てよう [2015年12月03日(Thu)]
今年も早くも12月。例年この時期にはエコプロダクツ展に合わせて併催される
環境・社会報告書シンポジウム」について紹介させていただく
時期でもある。が、主催者の方針が変わられたとのことで、非常に残念だが、
昨年までで終了となった。
世界で初めて、環境・社会報告書について「読者」の側から見た調査であるとともに、
イギリス、ドイツ、中国をはじめとする海外との比較も行った、類例のないものだった。

それにあわせて、ということではないのかもしれないが、同じく「緑のgoo」で
2000年春から担当させていただいてきた「環境・社会コミュニケーションの
考え方・進め方
」という連載も、突如、終わることになった。

9月下旬に、毎月末の締切に合わせて準備を進めていたところ、
長く制作をご担当くださった(別の)会社(=代理店さん)の方から、
「『今月で終わることになった』という連絡がきた」というご連絡を
いただき、あわてて下記の原稿を書いた。

しかし、サイト運営会社側から、掲載を拒否されたため、「最終回」を
迎えることができないままに、2か月余りが過ぎた。
もう、同社に義理立てせねばならない「時効」は過ぎただろうと思うので、
その原稿を、ここで紹介させていただくことにしたい。


         最終回 持続可能性を高める経営者を育てよう

 2000年4月から担当させていただいてきたこの連載が「終わることになった」と、制作をご担当くださっている会社の方からご連絡いただいたのは、1週間ほど前(※注1:上述の通り9月下旬)。その少し前に「(サイト運営会社は)引き続きお願いしたいというご意向」と伺っていたので、心づもりも備えもなく、最終稿を書くことになった。
 現時点で、サイト運営会社の方からは、まったくご連絡いただいていないので、経緯や理由はわからない(※注2:その後、10月2日にご担当者から同社内の事情を記された20行ほどの電子メールが届いた)。そんな経緯なのに、このテーマには無理があるとお感じかもしれないが、しかし、本連載を読み続けてくださった方への「遺言」は、これしかないので、どうかご容赦いただきたい。

 改めて、この連載で取り扱ってきたテーマを、ご覧いただきたい。今では当たり前のように受け止めていただけるようになったことがらについて、見通しをもとに、必要性や背景と、実施するうえでのポイントを述べ続けてきた。内容のご評価は読者のみなさまに委ねたいが、テーマの選択に間違いはなかったと信じている。

 最後に取り上げるべきテーマは、持続可能性を高める経営者を育成する必要性が、かつてないほどに高まっている、ということだ。

 本連載でも繰り返し述べているように、内側から見ても、外側から見ても、これからの日本が置かれる状況は、これまでより厳しくなる。
 国内では、1990年代の半ばに始まった「高齢化社会」が、65歳以上が増加する第1幕を終え、今後は「4人に1人が要介護3以上」という85歳以上が加速度的に増える第2幕に突入した。1995年には、85歳以上を支える15歳から64歳までの生産人口は55人いたが、2015年には15人、2035年には6人にまで減ってしまう。その2035年時点での85歳以上は1000万人を超え、人口の11人に1人は85歳以上、3人に1人は65歳以上という社会が訪れるまで、あとわずか20年しかない。

 世界市場から日本を見ても、1960年代半ば、前回の東京オリンピックの際に約5%だったGDPの世界シェアが、1980年には10%、90年には13%と着実に拡大し、1994年には18%にまで達して世界全体の2割近くまで占めた。しかし2010年には「世界第2位」を中国に奪われ、同年8%のシェアは今年6%を切り、次回の東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には5%にまで下がる。つまり世界における日本のシェアは、2回の東京オリンピックの間に、一度は3倍以上にまで大きくなったものの、もはや元の水準に戻ってしまっており、今後、それが回復できる見通しはない。
 世界を市場とする日本企業にとって、70年代と80年代は「日本でつくって世界で売る」という「市場の国際化」、プラザ合意を経て円高が進むと90年代と2000年代は「世界でつくって世界で売る」という「事業の国際化」、そして国内市場の成熟化と途上国での中流世帯層の拡大を受けて、2010年以降は、世界の多様な市場で買ってもらい続けるために「世界で考えて決め、世界でつくって世界で売る」という「価値と組織の国際化」が求められていることは、改めて指摘するまでもないだろう。

 つまり、国内では「子育ても介護もしながら働き続けられる組織・地域」であり続けるために、ホワイトカラーやサービス業(特に行政職員!)の生産性を高める、特に、会議など意思決定に要している時間を、ICTを活用するとともに、手続きも思い切って簡素化することで、大幅に削減する必要に迫られている。一方、世界市場におけるシェアを守り、拡大したいと望むなら、成熟した国内ではなく、競争が厳しさを増す海外での売上を増やし続けるために、世界の多様な人材を、経営層を含む組織のすみずみで活かせる風土を育てるしかない。

 これらはなにも、特定の国の政府や国際機関、あるいは団体から求められて対応すべきことがらではなく、企業としての成長を持続可能なものにするために、必須の基本的要件であることがおわかりいただけるだろう。
 筆者をはじめとするNPOが、環境や人権への取り組みの進化を求めるのも、センチメンタリズムではなく、その会社と社会(正確に言えば、地域から世界まで)が、目先の利益を得るだけでなく、中長期的に持続可能であり続けるための要件だからだ。

 優れた経営者として評価の高い方にお会いすると、こういった考え方や進め方を細かく説明する必要なく、共有し、次に求められる具体的な施策について、各論でお話しすることができる。
しかし、その会社の中で実績はおありなのかもしれないが、業界団体や国際社会から見て、名を残せないままで終わられてしまう経営職層の方たちは、残念ながら、それが法令化されても、同業他社が動き出しても、「なぜそんなことをせねばならないのか」と平然と口にされる。それは、その会社自身にとって、持続可能性の向上を損なってしまっていると、とても残念に感じる。

 社会責任(Social Responsibility)への取り組みは、制度的・義務的に迫られた責任に受動的に応じるのではなく、制度化も義務化もされていない期待に積極的に応えることから始まる。その姿勢は、経営層を担うようになってからといって身につくものではなく、それまでに感じ、実践から学び、力を育てるものに他ならない。
だからこそ、企業のみならず、行政でも、私たちNPOでも、セクターを超えて普遍的に、自らの 組織と社会の成長の持続可能性を向上できる人材が経営層を担えるように、育て続ける必要がある。CSRの主管部門にとって、最も重要な仕事は、アンケートに回答することでも、全社会議の事務局として「外圧」の説明と対応のお願いをすることでもなく、社内外の持続可能性を向上できる人材を育てることだ。
 奇しくも国連で、日本にとっても最も厳しい時期である2020年代を俯瞰した「2030 agenda for sustainable development」が採択された。developmentは「開発」と訳されてしまっているため縁遠く感じる人が多くて困るが、「成長」と訳せば必要性の理解が高まるだろう。あなたの組織が、自身のみならず、社会にとっても、持続可能性を高める存在であると評価され、顧客に支持され続けるために、経営層を育てよう。

 これまで15年以上の長きにわたって、ご愛読くださったことを、重ねて深くお礼申し上げたい。本当にありがとうございました。
広島で「未来に備えるCSRと森づくり・人づくり」講演でした! [2015年06月11日(Thu)]
今日午後はひろしま自然学校中国労働金庫、そして広島県労働者福祉
協議会の共催による「ろうきん森の学校 広島地区10周年記念行事」に
お招きいただき「未来に備えるCSRと森づくり・人づくり」というテーマで
お話しさせていただきました。

お忙しい中、また、雨の中、予定を超える70名以上の方々に
ご参加いただき、誠にありがとうございました!
会場でお示しした資料を、下記に添付しますね。
1506_community_based_csr_at_SME_hiroshima_rokin.pptx

金融機関が、地域において森づくりと人づくりを、10年にわたって
続けてこられたことに、重ねて、心から敬意を表します。
その重要性は、今後、さらに高まります。
どうか引き続き、さらに深く、広く、お取り組みを進めていただける
ことを、祈念いたします。

CSRは「企業が利益を社会に還元する社会貢献」ではなく、
「企業が事業と組織を存続させるために不可欠な、社会の持続可能性の向上」
のためであることが、おわかりいただけたでしょうか?
市場である地域や、顧客や従業員、その家族でもある住民、さらには取引先が
存続し続けれくれない限り、企業にとって、事業も組織も存続できません。
だからこそ、CSR(企業の社会責任)は、企業にとって最も基本的な
責任であると位置付けられているのです。

中国地方においても、地域の持続可能性を高めるために、
ろうきんご自身はもちろんのこと、ご参加の労働組合の方々のご所属の組織に
おいても、未来の変化に備えるための進化を、ぜひ、よろしくお願いします!
トヨタグループのCSR連絡会でした! [2015年04月07日(Tue)]
今日午後はトヨタ自動車名古屋オフィス@ミッドランドスクエアで開催された
「トヨタグループCSR連絡会」にお招きいただき、ご出席14社の今年度の
お取り組みの計画の要点を伺った後、社会課題やCSR関連の動向や企業への
期待について、お話しさせていただきました。

14社のご発表は、なんとわずか30分足らず!つまり1社あたり2分でしたが、
まぁ、その密度の高いこと! NPOも行政も、会議での報告はみんなの大切な
時間を使っているということを、改めて意識する必要があると痛感しました。
簡潔に、しかし要点をしっかりご発表くださった14社のみなさま、ありがとう
ございました!

対象と内容が対象と内容だけに、僕のお話も公開できないのですが、冒頭で
お話ししたポイントだけを、かいつまんで。

1504_toyota_group_tips1.JPG

1504_toyota_group_tips2.JPG

あとは、ご想像の通り、「未来はどうなるか」、
「その未来に、トヨタグループはどう備えるのか」、
そして、「なぜ、どのように、人権への問題に取り組むか」について
お話ししているうちに、予定の時間枠をオーバーしてしまい、
走って新幹線に乗り込みました。。。

みなさんの会社や組織でも、ぜひ、未来への備え、進めましょう。
そのために偉い人たちの視野を変えなきゃいけないときは、ぜひ、
呼んでください。
名古屋で「環境経営先進セミナー」でした! [2015年03月05日(Thu)]
今日午後は、中部地方の企業などで構成される環境パートナーシップ・CLUB
(通称:EPOC)
主催の「環境経営先進セミナー」にお招きいただき、
「日本と世界と中京圏の2020年代を俯瞰する」と題してお話しさせて
いただきました。

お忙しい中、お集まりくださった100名以上のみなさま、ありがとうございました。
会場でお示しした資料を、下記に添付しますね。
1502_EPOC.pptx

会場でも繰り返し申し上げました通り、「内向き・管理型」の環境経営から
「外向け・価値創出型」の環境経営へと進化しない限り、2020年代や
それ以降に求められる日本企業の基本的な立ち位置の維持・確立はありえません。

もうひとつは、最後にお伝えした、愛知ターゲット。
ISO14000導入当時の「環境側面」の確認と同様に、この機会に
バリューチェーン全体の「生物多様性側面」を、しっかり確認していただき、
2020年の会議に備えていただきたい、と強く願います。
秋田・美郷で「2030年に備える経営とCSR」研修でした! [2014年04月18日(Fri)]
今日午後は秋田銀行主催の「あきた未来塾」にお招きいただき、
「2030年の秋田のために、社会的責任と協働をどう加速するか?」と題して、
2020年・30年を見通して、地域に根差した企業におけるCSRの意義と、
備えをどう進めるかについてお話しするとともに、簡単な個人&班別作業を
行っていただきました。

お忙しい中、熱心にご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました!
会場でお示しした資料を、下記に添付しますね。
1404_akita.pptx

途中でもお話しした通り、多老化・過疎化で国内最先端であることは、
世界の課題先進地として、世界で最もチャレンジが求められる場所でもある
ということ。
なので、世界で最もチャレンジにやさしいまちになれるかどうかが、
とても重要です。

これからも長きにわたって組織や地域の経営に携わられるみなさまだからこそ、
延長線上ではなく、見通しからの逆算で、臨んでいただきたいです。
期待してます!
広島で「ESD学びあいフォーラム」でした! [2013年11月22日(Fri)]
今日午後は、環境省中国環境パートナーシップオフィス
(EPOちゅうごく)
主催の「ESD学びあいフォーラム」に
お招きいただき、「企業と自治体の社会責任(SR)が、
持続可能な地域づくりを進める」というテーマでお話しさせて
いただきました。

熱心にご参加くださったみなさま、ありがとうございました!
会場でお示しした資料を、下記に添付しますね。
1311_c&lgsr_hiroshima.ppt

僕の話に続いて、(株)トンボの小桐さんから、オーガニックコットンで
つくった体操服や、スポーツウェア製造時に発生するCO2を、真庭市役所の
バイオマス燃料化に伴うクレジットでを購入するオフセットについてなど、
また、岡山市の原さんから、公民館を拠点としたESDによる協働の地域づくり
について、お話しいただきました。岡山市ではすでに、@多様な人々が対話する場、
A行政が事務局で安定・安心、B専従のESDコーディネータ配置、
C公民館が地域のESD推進拠点、D大学が地域の課題解決のサポーター、
といった5つの特長があり、「岡山モデル」と呼ばれる水準に。すばらしい!

途中でも申し上げたように、ESDは、学ぶことも大切ですが、
企業の経営者も行政職員も、社会と世界の変化・進化を先取りして、自らも
進化しながら次に備えることが大切ですよね。
岡山で「トンボさんのCSRレポートを読む会」でした! [2013年04月26日(Fri)]
今夜は岡山で、「CSR報告書を読む会」にお招きいただき、
学生服メーカーでトップシェアのトンボさんのCSRレポート
同社の最新のお取り組みについて、お話を伺いました。
小桐さん、同社のCSRレポート制作委員のみなさま、
そして、ご出席くださった20名近くのみなさま、
ありがとうございました!

私がお話しした際にお示しした資料を、下記に添付しますね。
1304_csr_26000_seminar_okayama.ppt

同社のお取り組みの中でも、特にすばらしいと感じたのは、
真庭市にある美咲工場で、同市が取り組みを進める木質バイオマス燃料による
冷暖房から得られた国内クレジットを購入することによるオフセット。
今後は、同社ご自身が、クレジットを発行できる側に回れるように、
さらにCO2削減に努めていただけたらなぁと願っています。

今後は、増え続ける高齢者のくらしや介護・医療を支えるために、
手軽に使い続けてもらえる衣類を、プロ向け(BtoB)だけでなく、
「介護・福祉のセミプロ化」が求められる家庭用(BtoC)でも、
しっかり価値を打ち出していただけるよう、機能の開発はもちろん、
女性の気付きやアイディアに基づく製品やサービスの拡充を、ぜひ、
続けていただきたいと期待しております!
千葉で企業とNPOのパートナーシップ報告会でした! [2012年06月07日(Thu)]
千葉県では一昨年度から「企業・NPOによるパートナーシップ事業」を実施され、
昨年度も10以上の企業から示されたテーマについて、NPOとの
協働が行われました。
その報告会が昨日開催され、基調発題と、各事例へのコメントを
担当させていただきました。その際にお示しした資料を、下記に
添付しますね。
1206_chiba.ppt

どの事例も、企業が取り組みを進めたいと考えるテーマについて、
着実に歩を進めていらっしゃることはすばらしい!と感じたと同時に、
NPO側が、企業の中長期的な課題をしっかりとらえていると、
さらに踏み込んだ、また、相乗効果の大きい協働になるだろうなぁと
可能性も感じました。
「支援を受けるだけ」ではなく、「価値を与える」存在へ。
NPOの本質は、そこにあります。

また、途中でお話しした「ソーシャル・マーケティング」については、
「NPOマネジメント」第30号を、ぜひご参照ください。
横浜スタンダード推進協議会にお招きいただきました! [2012年05月23日(Wed)]
環境負荷の削減や地域の自然の保全、従業員の働きやすさの向上など、
本業を通じて社会への責任に取り組む企業を、行政が認証して支援する、
という「行政によるCSR認証制度」が、民間の、それも企業自らの
積極的な提案から生まれたことを、ご存知ですか?
横浜型地域貢献企業支援事業」は、横浜青年会議所が2005年度に
行った提言をもとに発足し、すでに150社以上が認証を受けています

「横浜発の新しい(しかもカッコイイ)スタンダードをつくろう!」と呼び掛け、
自ら実践し、認証を受けられた企業が中心となって生まれたのが、
横浜スタンダード推進協議会」です。

昨晩、同協議会の例会にお招きいただき、
「2030年の横浜のために、社会的責任と協働をどう加速するか」という
テーマでお話しさせていただきました。
季節外れの強く冷たい雨の中にもかかわらず、100名以上の方に
ご参加いただき、本当にありがとうございました!

お話しした際にお示しした資料を、下記に添付しますね。
1205_yokohama.ppt
また、途中でご紹介した「うらほろスタイル教育プロジェクト」は、
ぜひ「NPOマネジメント」第63号をご参照ください!

昨日も冒頭で申しあげましたが、企業としての次のスタンダードを自ら
つくり出し、その仲間を増やすことで、次の基盤を自らの実践でつくる
という企業のみなさまには、心から敬意を表します。
これからもぜひ、加速的に、取り組みと仲間づくりをお進めください!

さて、ご参加くださった方々はお気付きのとおり、昨日の配布資料には、
お話しできなかった論点がたくさんあります。
(お話しできなかった部分は、添付ファイルから抜いておきました。)
また機会がありましたら、ぜひ、続き、というか、次のステップについても、
お話しさせてください!
SRフォーラム2012「企業のためのISO26000実践ミニワーク」ご参加深謝! [2012年05月19日(Sat)]
SRフォーラム2日めの18日(金)には、デンソーの岩原明彦さんをお招きして、
「企業のためのISO26000実践ワークショップ」を担当させていただきました。

「ISO26000って難しそう・・」とか、「川北が担当すると、厳しそう…」と
思われてしまったせいか、本当に少人数だったのが残念でしたが、まず、冒頭に、
なぜ事例発表者として、デンソーさんをお招きしたかについて、私からお話ししました。

このブログをお読みくださっている方は、すでによくご存じのとおり、2001年から
計25社でのべ100件近い第三者意見の執筆を担当し、年間10社程度の工場見学を
繰り返し、各社との長時間のヒアリングを通じて、お取り組みの実情を詳しく伺っている
私から見て、デンソーのCSR実践力は、日本企業として頭一つ抜きん出ており、
世界最高水準にあると申し上げて、間違いないからです。

そんな同社において、日常の現場の業務におけるCSRの実践は、どのように広げられて
きたのかを、経緯を追ってお話しいただくとともに、ISO26000への対応を
どのように進めていらっしゃるかについても、詳しくお話しいただきました。
岩原さんのお話の資料は、下記のとおりです。
denso_iwaharasan_1.ppt
(当日配布できなかった自動車部品工業会のガイドブックとチェックシートは、
こちらからごらんください。)

簡単な質疑応答の後、ISO26000 の中核主題と、「関連する行動および期待」に
ついて、どのように読み解けば、日本企業の経営の実践への落とし込みを考えやすいかを
私からご説明し、最後に、ご参加のみなさまから、ご感想やコメントをいただきました。

お忙しい中、お話しくださった岩原さんと、ご参加くださいましたみなさまに、
重ねて、心からお礼申し上げます!
社会起業塾イニシアティブの最終報告会でした! [2012年03月09日(Fri)]
昨日は、社会起業塾イニシアティブ 2011年度の最終報告会でした。
その終盤で、「企業がなぜ、社会的な課題に挑む起業家を支援すべきか」
というテーマでお話しさせていただいた際にお示しした資料を、
下記に添付しますね。
1203_shakai_kigyojuku_final.ppt

2002年に「NEC学生NPO起業塾」としてスタートしてから10年。
これまで運営してこられたETIC.のみなさん(特にインターンのみなさん!)や、
ご支援・ご協力くださっているNEC、横浜市、花王、電通のみなさまには、
心から敬意を表するとともに、深く深く、お礼を申し上げます。

ただ、本当に残念で申し訳なかったのは、一昨年度ごろから、我々が積み上げて
きた現在のスキームでは、選ばれた若者たちが挑むテーマに対して、本人の
ポテンシャルを最大限に引き出せたとは言えない、ストレートに言えば、
本人に効き目がないこと、でした。

効き目がない以上、しくみと進め方を抜本的に変えるしかありません。
いつのころからか務めさせていただいていた「塾長」というお役目を、
辞したいとお願いしました。

今後、どんな体制で、どんな進め方になるかはわかりませんが、
立場が変わっても、微力を尽くしてお手伝いしたいと思います。

重ねて、ですが、これまでご尽力くださったみなさまに、
心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
エコ×エネカフェで「エネルギーの地産地消」をお話ししました! [2012年01月20日(Fri)]
昨晩は電源開発(J-Power)さんのお招きで、同社の社会貢献プログラム
エコ×エネカフェ」のゲストとして、「エネルギーの地産地消」についてお話ししました。
会場でお示しした資料を、下記に添付しますね。

今回、少し調べてみてよくわかったのは、日本のエネルギーって、
供給(正確に言えば、発電方法)にだけ議論が集中しがちですが、
そもそも、何のためにエネルギーが使われるのか、
その目的(温めるとか動かすとか冷やすとか)に適したエネルギーが
使われているのか、そして、そのエネルギーをつくるだけでなく、
どう届けていくか、の最適化が、すっかり退化していたということ。

エネルギーの地産地消には、適地適発と産地直用がとっても重要で、
しかも有効なんです。
エコプロダクツ展 記念シンポでした! [2011年12月15日(Thu)]
エコプロダクツ2011の記念シンポジウム
「これからのエコプロタウン エネルギーとともに」
の進行役を務めさせていただきました。
画面でお示しした資料を、下記に添付しますね。

キーワードになったのは、分散と自律。
これは、復興のみならず、地域づくり、さらには、
チームづくりや民主主義の基本ですよね。

事務局から、当日の写真をお送りいただきました。
小越さん、ありがとうございます!
ステークホルダー・エンゲージメントと動物実験についてのシンポジウムでした! [2011年12月14日(Wed)]
今日午後は、サステナビリティ日本フォーラム主催の
「ステークホルダー・エンゲージメント勉強会」で、
エンゲージメントについて、そして、その具体的な事例として
資生堂さんが開催されている動物実験に関する円卓会議について
お話しいただくシンポジウムの進行をお手伝いしました。
会場でお示しした議事メモを、下記に添付しました。

エンゲージメントの本質は、対話そのものではなく、
自分と相手が一緒になって行う判断と行動を、
より良いものにすること、まぁ、わかりやすく言えば、
相手を巻き込んで、力を借りることです。
そういう関係をひとつでも、着実に、適切に進められるように、
私たちも努力していきます。
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