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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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バンクーバー生活H 菅原鑑(20期)[2025年10月08日(Wed)]
みなさん、こんにちは!
今回は実習についての内容をメインに書いていきます。楽しみと不安でいっぱいだった実習がいよいよ始まりました。
IMG_2890.jpeg
実習先はSecondary Schoolに決まったので、日本でいう中学生から高校生が通っている学校に実習に行かせていただいています。全部で2ヶ月間の実習で、約半分が終わろうとしています。
1日のスケジュールはこんな感じです。
9:15〜 1コマ目(70分)
10:35〜 2コマ目(70分)
11:55〜 3コマ目(70分)
13:05〜 昼食(45分)
13:50〜 4コマ目(70分)
15:00 帰宅
1週間を通して同じ科目を毎日受講します。2学期制なので、1年を通して自分が必要な教科を8つ選択できるというシステムです。この時点でだいぶ日本の中学や高校と異なると感じたと同時に、日本でいう大学のシステムにかなり近いと思いました。

現在、僕は少しずつ支援に関わらせてもらっていますが、主にはたくさんのEducation Assistant(EA)について色々な生徒の様子や関わり方を見させてもらっています。
EAがどんなことをしているのかを紹介します。
・授業や日常生活の支援(1対1対応)
・インターナショナルスチューデントの授業のフォロー
・障がいの診断はついていないけれど、各教科で遅れをとっている生徒の支援
生徒の実態に応じて、授業の支援にだけ入る場合もあれば、朝から帰りまでずっとつきっきりで支援をするケースもあり、それぞれの生徒に合った支援を行っています。インクルーシブといっても、実態に応じて特別支援学級のように障がいのある生徒たちの教室があるのでそこで1日を過ごしたり、その教室で個別課題に取り組んだりすることもあります。

実習を通して驚いたことがいくつかあります。
・スナックの時間が定期的にあり、授業中でも必要な時におやつが食べられること
・インターナショナルスチューデントの数が自分の想像のはるか上をうわ回っていて、日本人もたくさんいたこと
・必要な生徒に対しては、2人体制でEAがついているほど手厚い支援が行われていること
・必要な生徒数のEAが存在するので、この学校だけで40人ほどいること
・接触的な支援が多いこと(文化の違い)
などなど、カルチャーショックや新しいことの連続で日々勉強になります!!

今後は、基本的にろう重複の生徒の支援が中心となるので、次回はその様子をお伝えできたらと思います。もっと具体的な支援方法を次回は載せていければと思っています。

今回は、バンクーバーでの生活というよりは、9月の大きな行事を紹介します。
9月30日にオレンジシャツデー(真実と和解の日)という祝日がありました。この日は、昔に寄宿学校で起こった様々な出来事が二度と起こらないようにという先住民追悼日となっています。僕も学校の授業で習っただけの浅い知識ですが、当時のカナダの先住民は親元から離され、寄宿学校に隔離され、英語以外の言語の使用禁止や虐待、人身売買など様々なことがありました。このような歴史があるからこそ、僕たち日本人もカナダでこんなにも自由に過ごせるのだと実感していて、深く考えなければならない大切な1日だと思っています。
僕もオレンジTシャツを学校でゲットしましたみかん
IMG_2889.jpeg

カナダでの生活も残り少し!!日本がとても恋しいですが、こんなに長くカナダに住んでいると、離れるのが少し寂しくもあります。
Posted by 菅原 at 13:26 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2025年9月「手話劇の感想など」金本小夜(19期生)[2025年10月08日(Wed)]
みなさんこんにちは。
10月になりましたね。前も書いた気もしますが、イギリスではハロウィンを祝うのは主流ではなく、もう一足飛びにクリスマスのグッズがあちこちに見られます。日本ほどではないですが、まだまだ暖かく、葉っぱもまだらに紅葉していて、秋序盤、という感じです。

9月は実は前から楽しみにしていた劇を見に行きました。
タイトルは『Deaf Republic』。ウクライナ系アメリカ人のイリヤ・カミンスキーが書いた幻想的な詩物語が原作で、一体どうやって舞台化するのだろうととても気になっていました。
ストーリーは、架空の都市ヴァセンカに占領軍がやって来るところから始まるのですが、彼らの命令を聞かなかった男の子が撃ち殺されます。しかしこの男の子は実はろう者で、命令が聞こえなかったのでした。
不思議なことに、翌日また占領軍が来た時には、街全体がろう者になっており、誰一人命令が聞こえず、占領軍は自分たちの言葉が無力だと悟り、どうしていいのかわからなくなります。
一方でサイドストーリーもいくつかあり、ろうのカップルの日常や、クラブの女経営者の話など、いろいろな筋が絡み合っています。
もちろん原作は英語で書かれていますが、劇ではイギリス手話と字幕で主に展開されて、多くの観客を上手に動員できる形になっていました。
私が選んだ公演日は監督と脚本家のトークがある日で、主催した劇団のDead Centreの監督と、今回の脚本および手話の監修も行ったゾーイ・マクウィニーが対談しました。マクウィニーは現在イギリスのろう演劇の先駆者的な存在で、先日ウェルカムコレクション図書館であった手話のイベントにも、その前にあったグローブ座の手話劇でも主要メンバーとして活躍していました。この方をフォローしてたら面白いろうのイベントに色々立ち会えそうです笑
トークの内容は主に多様性ということにフォーカスしていて、ろうと聴についてだけでなく、Dead Centreがアイルランドの劇団であり、マクウィニーがベルギーとイギリスの両親を持ち、原作者がウクライナ系アメリカ人であることが彼ら自身とても面白いと感じているようでした。そしてやはりどうしても現実の戦争問題が絡んでくる内容でもあったため、観客にいたウクライナからの移民の方が熱弁を振るうというアクシデントもありました。

本当はもっと色々書くことを考えていたのですが、ちょっと9月頭に体調を崩して、なかなか画面を長く見ているのが辛いので、今回は短めで失礼しますね。おかげでイギリスの病院事情に少し詳しくなりましたよ笑
10月中に何とか体調を整えて、論文に臨みたいと思います。IMG_7160.jpegIMG_7155.jpeg
Posted by 金本 at 06:09 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2025年9月「多様な手話の秋」森本恵実(20期生)生活記録[2025年10月06日(Mon)]
2025年9月「多様な手話の秋」森本恵実(20期生)生活記録

みなさん、こんにちは。9月の生活記録を書きます。韓国では朝晩の風が少しずつ涼しくなり、秋の訪れを感じる季節になりました。新学期も始まり、久しぶりにキャンパスにも学生たちの活気が戻ってきました。今月は学業に加え、展示会や公演、そしてろう者の体育大会など充実した1ヶ月となりました。

@ 手話文学作品の展示会
7月の生活記録で言及しましたが、7月に撮影した手話文学作品の展示会が、今月開催されました。
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自分の作品がスクリーンに映し出されるのを見たときは、不思議な気持ちもあり、これまでの努力が報われたように思いました。自身の作品を観てくださる方々の姿を見て、手話文学を通じて想い届けられる手応えも感じられました。同時に手話の多様な魅力を伝える良い機会にもなれたかなと思います。
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A 手話通訳付き演劇〈해리엇〉の観覧
また、〈해리엇(ヘリエット)〉という手話通訳付きの公演も観に行きました。この作品では、出演者一人一人に手話通訳者が付き、通訳も演技の一部として舞台に立つという新しい形式が取られていました。手話が単なる補助ではなく、作品世界の中に自然に溶け込んでいました。このように「視覚的バリアフリーの新しい形」を目の当たりにして、障害の壁を感じず、手話が自然に物語に溶け込んでいて、みんなで同じ世界を楽しめる素晴らしい舞台でした。
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B ソウル特別市ろう者体育大会への参加
9月には、年に一度開催されるソウル特別市ろう者体育大会にも参加しました。多くのろう者が集まり、競技を通じて交流する活気あるイベントで、応援の手話が飛び交う光景が印象的でした。スポーツという共通の目的のもとで、年齢や背景を超えて一体感が生まれる瞬間を感じました。
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※開会式の様子と配布のお弁当

9月は「手話」という共通のキーワードのもと、芸術・舞台・スポーツと、さまざまな場面でその力を実感する月となりました。
手話文学では「表現としての手話」、〈해리엇(ヘリエット)〉では「芸術としての手話」、体育大会では「交流の言語としての手話」と、それぞれ異なる形で手話が人と人をつなぐ役割を果たしておりました。こういった体験を通じて、手話が単なる言語ではなく、ろう文化やろう社会を豊かにする大切なツールであることを改めて実感しました。

【TMI】
ソウルの中心部から少し離れた恩平韓屋村を訪れました。韓屋の並ぶ通りの後ろには、雄大な北漢山が聳え立っていました。伝統と自然が調和した静かな雰囲気が印象的でした。
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ゆっくり散策しながら、韓屋村を一望できるカフェで友達とお茶を飲みながらお話もしてきました。


Posted by 森本 at 15:36 | 奨学生生活記録 | この記事のURL