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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2023年1月生活記録【第18期生 田村誠志】[2024年01月30日(Tue)]
皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは。
新年が明けましたが、報道によれば、能登半島での地震が発生したことを受けて、心から憂慮しております。影響を受けた方々には、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。今年は辰年に因み、皆様が多くの逆境を乗り越え、龍の如く上昇していけることを願っています。

ギャロデット大学では、春学期が始まり、私にとっては最後の大学院生活となります。正直に言うと、時間が経つのが早いとは感じず、様々なプロジェクトや仕事、学業をこなしているため、時の流れがゆっくりと感じられます。通常は時間が早く過ぎると感じることがありますが、なぜかそう感じません。

春学期の前までに、私は言語学の必修科目の単位を全て取得しました。残りの単位を取得するために、言語学部門のGaurav Mathur教授と一緒にIndependent Study(独立研究)を始めました。研究の目的は「無重力の空間でのASL談話分析」で、特殊な状況で手話談話を行った動画を音韻変化や音素配列論を考慮した分析や、無重力の環境下で手話談話をした動画を、ELANソフトウェアを用いたアノテーション手法でコーディングする、手話言語が音声言語よりも優れている点や、無重力が視覚情報の伝達に有利であることなど、考察要素が遥かに多いです。独立研究であるため、シラバスによる授業スケジュールは柔軟ですが、論文執筆もあり気を抜けません。

上記の授業を含め、実は2023年度のLSA(Linguistics Society of America)によるサマークラスに参加し、ギャロデット言語学部門の単位を取得していたため、これで必要な単位数を満たしました。ただし、ギャロデット大学の国際留学生は、一学期ごとに必要な単位数が決まっている規則があります。そのため、二つの選択科目を履修しました。

一つ目は、Ryan Lepic教授が担当するLIN595 Special Topicsの「Languages of the World」です。これは類型論(Typology)の入門であり、世界中で使用されている言語の多様性に焦点を当て、言語ごとのコミュニケーション機能を比較します。世界中で使われている言語から絶滅危惧言語までと比較をを行い、すべての言語の普遍性や形態論、統語論、構成語順のパターン、形態素の膠着語などについて学びます。(例: 英語ではteach-"er"と"er"が形態素になるが他の言語は...?)
私はLepic教授に授業名について尋ねたところ、「類型論ではなくLanguages of the Worldという授業名なのは、類型論だけではなく様々な携帯論や統語論などの要素も学ぶためである」との回答を得ました。おそらく、幅広い知識が得られることを期待しています。

二つ目は、手話通訳部門のAnita Harding教授が担当するクラスINT502 ENG&ASL Skill Uです。前学期に基本を学び、今学期はより高度な手話通訳技術に挑戦することにしました。前学期のクラスとは異なる学生が参加しており、新しい手話技術や表現力などに触れる機会となるため、非常に刺激的です。

この春学期の授業は、先ほど紹介した三つになりますが仕事や学外プロジェクトも抱えているため、まだまだ全力疾走で日々を過ごしています。卒業するまでずっと駆け抜けたいですね。もうすぐ二月でDCでは寒さも一段落し、心地よい春の日差しが見えてきています。日本ももうすぐ寒い日が過ぎ、暖かい季節が早く訪れますように。

写真は私が最近引っ越したCarlin寮の部屋です。最後の春学期ですので、ろうコミュニティの中で生活することにしました。
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Posted by 田村 at 00:46 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
オンライン✕手話でアメリカ留学を体験しよう!2024 [2024年01月15日(Mon)]
ひらめき参加者募集ひらめき
オンライン✕手話でアメリカ留学を体験しよう!2024


留学奨学生同窓会による第2回目の体験ツアー開催が決定しました!
オンライン(Zoomミーティング)を利用して、みなさんをアメリカ留学の世界へお連れします!
現地学生や教員との交流を通じてアメリカ留学を体験してみませんか?
これまで留学した大学の修了生達が登壇して留学の本音トークもあります。
留学に対するイメージや目標の具体化に繋げていきませんか。

海外留学に関心を持つろう者、難聴者のみなさまの参加をお待ちしています。

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オンラインでアメリカ留学を体験しよう!
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1、日 時:2024年3月23日(土)午前10時〜2時30分(昼休憩あり)

2、方 法:オンライン(Zoomミーティング)*カメラオンでのご参加となります。

3、内 容:・米国ギャロデット大学バーチャルツアー
      ・ギャロデット大学の学生や教員との交流
      ・同窓会メンバーによる留学座談会&留学説明会

4、対象者:海外留学に興味を持つろう者・難聴者及びその関係者

5、条 件:パソコンでZoomが使える、最低1つは質問ができる

6、定 員:50名程度

7、参加費:無料

8、申込方法:申込画面(クリックすると申込画面に変わります)からお申込みください。

9、申込〆切:*3月15日(金)まで*
       お申込頂いた後に、アクセス方法等をご案内いたします。

10、その他:全体を通しては、日本手話で話します。(日本語音声通訳なし、字幕なし)
      現地学生や教員との交流はASL(アメリカ手話言語)で話します。
      (同窓会メンバーによる日本手話サポートあり)

*オンラインのため、回線トラブルの場合はご容赦ください。
*アーカイブ配信ありません。

Photo.JPG
写真をクリックすると、チラシPDFが開きます

かわいい日本財団聴覚障害者海外奨学金事業かわいい
2024年度第21期生募集は、2024年4月に日本財団からの助成が正式に決定した後、実施が確定します。
お問い合わせ等は常時受け付け中。
■お問い合わせ先/ 本事業専用Email:ryugaku★npojass.org
 (ご利用の際は、「★」記号を「@」に置き換えください)

当協会ホームページには、
かわいいホップ・ステップ・ジャンプ!〜日本財団聴覚障害者海外奨学金事業の成果〜かわいい
支援修了した奨学生達へのインタビュー記事を掲載しています。
留学で何を学び、何を目指し活動しているのかなどを読むことができます。
合わせてご覧ください。

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 19:35 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
ホップ・ステップ・ジャンプ!〜奨学生たちの躍進〜[2024年01月12日(Fri)]
ホップ・ステップ・ジャンプ!〜奨学生たちの躍進〜

日本財団聴覚障害者海外留学奨学金事業は、2004年にスタートして20年になりました。これまでに計26名が海外留学を修了し、帰国後、留学で学んだ分野を中心に、ろう教育や情報コミュニケーション支援、相談支援、専門研究など各分野で当事者リーダーの一人として活躍しています。そんな奨学生たちの様子を不定期にご紹介していこうと思います。

●岡田 孝和さん(3期生)●
第19回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムでコメンテーターを担当
昨年11月に茨城県つくば市で開催された第19回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム(主催:筑波技術大学、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク/PEPNet-Japan)の全体会「一人ひとりの聴覚障害学生の”ニーズ”を支える」において、コメンテーターの一人として登壇し、大学でコーディネーターを務める立場から発言しました。

全体会の内容は、「今、大学での学びの形態が多様になり、聴覚障害学生が学ぶために必要な環境整備も、学生一人ひとり、授業一つひとつに応じたニーズの把握が求められています。『ノートテイカーを配置する』という従来のノウハウだけに頼るのではなく、一人ひとりの学びをきちんと支えるためにはどうすればよいか、学生やコーディネーターとのディスカッションを通して考えます。」というものでした。(シンポジウムサイトからの引用)

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                   当日の様子(写真提供:シンポジウム事務局)

同シンポジウムには、昨年は太田琢磨さん(1期生)が事例紹介を行うなど日本の高等教育の現場の第一線で活躍する岡田さん、太田さんの二人は度々登壇して、その力をいかんなく発揮しています。

現在、第19回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムの当日映像が、期間限定で公開されています。
・全体会およびセミナー
・1月31日まで配信(現在公開中です)
・視聴申込先:第19回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム事務局
 https://www.pepnet-j.org/seminar_symposium/symposium/2023symposium


かわいい日本財団聴覚障害者海外奨学金事業 2024年度の募集開始は2024年4月かわいい
お問い合わせ等は常時受け付け中。
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 (ご利用の際は、「★」記号を「@」に置き換えください)

当協会ホームページには、
かわいいホップ・ステップ・ジャンプ!〜日本財団聴覚障害者海外奨学金事業の成果〜かわいい
支援修了した奨学生達へのインタビュー記事を掲載しています。
留学で何を学び、何を目指し活動しているのかなどを読むことができます。
合わせてご覧ください。

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 11:42 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
2023年12月「クリスマス休暇」金本小夜(19期生)[2024年01月07日(Sun)]
あけましておめでとうございます。
2024年が昨年にも増して素晴らしい年となりますように。
私もより一層、勉強に身を入れられる年にしたいと思っております。

昨年末は実は夫が日本から遊びに来てくれて、クリスマスとお正月を一緒に過ごしました!
イギリスもキリスト教文化がやはり重要な国なので、他のヨーロッパ諸国同様、クリスマスはとても盛大に祝います。
特に私が住んでいるヨークは、イングランドで二番目に地位の高い教会であるヨーク大聖堂があるため、クリスマス付近は聖歌のコンサートがあったり、クリスマスにちなんだ劇が上演されたりして、教会が一際賑わっていました。
私もせっかくなのでクリスマスのイベントであるNine Carrols and Songsというものに行って教会の雰囲気を楽しみました。これはクリスマスにちなんだ聖書の9つの物語と9つの聖歌が歌われる行事で、イギリスではあちこちの教会で行われているもののようです。
私の席からは残念ながら見えなかったのですが、BSLによる説明もあったようで、イギリスでも手話の動きが広まっているのをとても嬉しく思いました。(贅沢言うならどこの席からでも見られるようにしてほしかったですけれども…)
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クリスマスが終わった後はロンドンに向かい、お正月はロンドンで過ごしました。
ロンドンのいいところは国立の美術館や博物館がすべて無料であることで、テート美術館、テート・モダン美術館、ナショナルギャラリー、ナショナルポートレートギャラリー、コートールド美術館、と回れるところをすべて制覇しました!ナショナルポートレートギャラリーは、実はここ数年間工事をしていて昨年開いたばかりなので私も初めて行ったのですが、シェイクスピアやブロンテ姉妹、エド・シーラン、直近の国王チャールズ三世まで、あらゆる肖像画を収めた美術館でとても面白かったです。
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イギリスで人気のダンス番組Strictlyで昨年優勝した聾のダンサーRose AylingーEllisの肖像(白黒のもの)と、障害学の研究者Tom Shakespeareの肖像。
個人的な話ですが、夫はビートルズのジョン・レノンにやたら似ており、美術館の一つで写真を撮ってもらった時にも「あなたジョン・レノンに似てるって言われません?」と話しかけられていました。ポートレートギャラリーのジョン・レノンの写真と比べてみていかがでしょうか?笑
こんな感じでクリスマス休暇は思いっきり楽しんでしまいましたが、たっぷりエネルギーも補填できたので、冒頭に書いた抱負通り、これからまた次のお休みが来るまで、一生懸命勉強に邁進したいと思います。
本年も引き続きどうぞよろしくお願い致します。
Posted by 金本 at 23:20 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2023年12月「皆様へ」鈴木美彩(18期生) 生活記録[2024年01月07日(Sun)]
2023年12月 第18期生 鈴木美彩 生活記録
皆様へ


↓動画はコチラから↓
https://youtu.be/a4qvShuYzQ4?si=conQQ2NwPXPehvBQ


 2024年が始まってすぐに地震や事故など暗いニュースが続いています。私自身もショックを受け、日本を離れている分さらに不安になってしまいました。しかし、日本にいる皆さんも同じような気持ちだと思います。信じがたい出来事に恐れや不安によって落ち込んで悩んでいる方もいるかもしれません。ですが、いま現地の皆さんは暖を取るのが難しい中、水も不足していて、本当に苦しい状況にあります。また、それを助けるために多くの人が今も忙しく働いてくださっています。その状況において、私たちにできることは何か。まずは何より自分をいたわって、周囲の人と助け合う。そして、自分にできることを精一杯やることだと思います。私も日本の家族や友人を気にかけて、皆の今後の無事を祈りつつ応援の気持ちを送り続けます。皆さん、一緒に頑張っていきましょう。このブログ投稿もしばらく文章のみで動画はおやすみしていたのを今月から復活しようという時に、悲しいニュースが続いていたので何か少しでもメッセージを送れたらと思い、冒頭にてお話しさせていただきました。


 さて、個人的な報告をさせていただきます。おかげさまで卒業試験にも等しい口述試験のVIVAに合格することができました。アメリカ手話で3人の教授の質問に答え、それぞれの得点を計算して合否を判断されるのですが、合格と連絡をもらった時は大変安堵し、肩の荷がおりました。この秋学期ずっと頭から離れなかった存在、VIVAでしたが、終えてみて大きな手応えを感じています。本当に大きな自信に繋がりました。合格したからといって卒業確定だとあぐらをかかず、残りの選択科目を受講する春学期に向けて好スタートを切れるよう冬休みの間準備してまいりたいと思います。春学期では、学外活動でも何か1つ成し遂げることを目標にしています。まず休みの間、肉体と精神ともにいたわって、本を読んだり資料を作成したりと色々計画的に準備をしたいです。今後の予定は、言語学部として最後の学期である春学期を終え、言語学修士課程を5月に卒業予定です。手話教育学の方は今年の7月まで授業があるので引き続き単位取得頑張っていきます。7月以降の予定はまだ決まっていないのですが、もっと経験を積みたいという思いがあり、春休みに講師や研究の機会を探していく所存です。確定した際には改めて報告させていただきたいと思います。

 本当に2023年は皆様にお世話になりました。日本財団や根本さんを初め日本ASL協会からの厚いご支援、家族と友人の暖かい応援、そしてブログや動画を見てくださっている皆さんのおかげでここまで頑張ることができました。本当にありがとうございました。2024年もこの感謝の想いを忘れず邁進していきます。皆さんのためにできること、精一杯頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします。
Posted by 鈴木 at 08:03 | 奨学生生活記録 | この記事のURL