2023年10月「フィールドメソッドにおけるデータ」鈴木美彩(18期生) 生活記録[2023年11月08日(Wed)]
2023年10月 第18期生 鈴木美彩 生活記録
フィールドメソッドにおけるデータ
先日、Field Methods、フィールドメソッドの講義について紹介しましたが、この講義での言語学データ管理について紹介したいと思います。私たちのGALLAUDET THATのプロジェクトでは様々なデータを扱います。
まずはオープンエリアでの観察、つまり学内の食堂や学生支援課など多くの人が行き交う場に出向いてそこで人々の行動を観察し、個人情報は抜きにその行動を記録すること。私の場合は、「挨拶」をテーマにしたので学内を散歩し、すれ違った人々の挨拶を観察しました。私のフィールドノートの中の一例が以下になります。「保護者の手から離れて我先に建物へ入らんと小さな子供が向こうから走ってきた。そして、こちらの顔をみてきたので、こちらがしっかり目を合わせると手を振ってきた。こちらも笑顔で手を振り返した。ハローと付け加えると、子供もハローと返してくれた。(事後観察のメモ) バーイといえばバーイと帰ってき、ハローというとハローと返ってくることが多い。」
インターネット上の動画もデータとして扱います。ギャローデット大学が外部向けに作成した動画に、多くのインラビュー動画が公開されています。そのうちの一つに「HOLA!」という珍しい挨拶を見つけました。観察の記録には「これはスペイン語での挨拶で、インタビューの記者が対象者と同じラテン系だったことからきている。」などと記録しています。
他には、参加者を募り、インタビューの様子を撮らせていただき、この動画を観察します。特にインタビューの動画はELANというソフトウェアでアノテーション作業を行います。アノテーションとは手話をラベル付けする作業のことです。ELANは動画と並行でタイムライン上に何層もメモを残せる便利なツールです。無料のツールなので、人間が使いやすいようなデザインにはまだ程遠いのが難点ですが、基本的な操作を覚えれば強い味方になります。
さらに、アメリカ手話の分析の場合、ASLSignBankという優秀なシステムがあり、これがさらにスムーズなアノテーションにしてくれます。これは名前の通り、銀行のように様々な手話単語が貯められていて、瞬時に手話を検索できるプラットフォームです。ELANと連動させたテンプレートを使用して動画内の手話単語にクリック数回でラベル付けが可能です。キーボードを使用する必要はありません。ASLSignBankの素晴らしいところは単なる書記言語を使ったラベル付けではなく、手話表現の表面そのものに注目したラベルになっていることです。例えば、「無知」の手話には二つのバリエーションがありますが、それぞれ「KNOW-NOTHINGf」「KNOW-NOTHINGo」というように手型の違いがラベルの最後に示されています。こうすることで手話の意味に惑わされることなく手話の形を分析することができます。
https://aslsignbank.haskins.yale.edu/dictionary/gloss_relations/1693
このフィールドメソッドの先生はDr.Julie Hochgesang、人呼んでジュリー先生です。彼女は言語学の研究の中でも言語の表面つまり手話の動きや手型などの音韻に着目した分析の経験が豊富で、データ管理を得意とするELANのスペシャリストです。しかもASLSignBankは彼女のプロジェクトです。つまり作成者直々の指導のもとELANとASLSignBankの応用技術を学んでいます。技術と知識が素晴らしすぎて雲泥の差...と感じてしまう瞬間も多いのですが、厳しく指導していただいているのでこの機会を無駄にせず得られるものはどんどん吸収していこうと頑張っています。
真ん中で手を組んでいるメガネの女性がジュリー先生。
フィールドメソッドにおけるデータ
先日、Field Methods、フィールドメソッドの講義について紹介しましたが、この講義での言語学データ管理について紹介したいと思います。私たちのGALLAUDET THATのプロジェクトでは様々なデータを扱います。
まずはオープンエリアでの観察、つまり学内の食堂や学生支援課など多くの人が行き交う場に出向いてそこで人々の行動を観察し、個人情報は抜きにその行動を記録すること。私の場合は、「挨拶」をテーマにしたので学内を散歩し、すれ違った人々の挨拶を観察しました。私のフィールドノートの中の一例が以下になります。「保護者の手から離れて我先に建物へ入らんと小さな子供が向こうから走ってきた。そして、こちらの顔をみてきたので、こちらがしっかり目を合わせると手を振ってきた。こちらも笑顔で手を振り返した。ハローと付け加えると、子供もハローと返してくれた。(事後観察のメモ) バーイといえばバーイと帰ってき、ハローというとハローと返ってくることが多い。」
インターネット上の動画もデータとして扱います。ギャローデット大学が外部向けに作成した動画に、多くのインラビュー動画が公開されています。そのうちの一つに「HOLA!」という珍しい挨拶を見つけました。観察の記録には「これはスペイン語での挨拶で、インタビューの記者が対象者と同じラテン系だったことからきている。」などと記録しています。
他には、参加者を募り、インタビューの様子を撮らせていただき、この動画を観察します。特にインタビューの動画はELANというソフトウェアでアノテーション作業を行います。アノテーションとは手話をラベル付けする作業のことです。ELANは動画と並行でタイムライン上に何層もメモを残せる便利なツールです。無料のツールなので、人間が使いやすいようなデザインにはまだ程遠いのが難点ですが、基本的な操作を覚えれば強い味方になります。
さらに、アメリカ手話の分析の場合、ASLSignBankという優秀なシステムがあり、これがさらにスムーズなアノテーションにしてくれます。これは名前の通り、銀行のように様々な手話単語が貯められていて、瞬時に手話を検索できるプラットフォームです。ELANと連動させたテンプレートを使用して動画内の手話単語にクリック数回でラベル付けが可能です。キーボードを使用する必要はありません。ASLSignBankの素晴らしいところは単なる書記言語を使ったラベル付けではなく、手話表現の表面そのものに注目したラベルになっていることです。例えば、「無知」の手話には二つのバリエーションがありますが、それぞれ「KNOW-NOTHINGf」「KNOW-NOTHINGo」というように手型の違いがラベルの最後に示されています。こうすることで手話の意味に惑わされることなく手話の形を分析することができます。
https://aslsignbank.haskins.yale.edu/dictionary/gloss_relations/1693
このフィールドメソッドの先生はDr.Julie Hochgesang、人呼んでジュリー先生です。彼女は言語学の研究の中でも言語の表面つまり手話の動きや手型などの音韻に着目した分析の経験が豊富で、データ管理を得意とするELANのスペシャリストです。しかもASLSignBankは彼女のプロジェクトです。つまり作成者直々の指導のもとELANとASLSignBankの応用技術を学んでいます。技術と知識が素晴らしすぎて雲泥の差...と感じてしまう瞬間も多いのですが、厳しく指導していただいているのでこの機会を無駄にせず得られるものはどんどん吸収していこうと頑張っています。
真ん中で手を組んでいるメガネの女性がジュリー先生。