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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2023年9月「1学期を終えて」金本小夜(19期生)[2023年10月08日(Sun)]
みなさまこんにちは。
あっという間に10月ですね。ヨークシャーはだいぶ気温も下がって、ストーブをつける日が増えてきましたが、日本もそろそろ涼しくなってきた頃でしょうか。
私は日本にいた時にはいわゆる秋の味覚が大好きで、里芋の煮転がしや秋茄子の揚げ浸しなどは毎年作っていましたが、イギリスに来ると里芋は見つからないし、茄子も西洋茄子であのとろけるような食感が出ないしで、最近ちょっと和食が恋しくなっています。一応念のため書きますが、イギリスのご飯は世間一般で噂されているほど不味くはありません…!が、食べ物の季節感というものはやはり日本のものだなと感じます。そのうち一時帰国したら、和食をたらふく食べたいです。

さて、こっちに来てから5ヶ月。気がついたら一学期が終わっていました。
新しい友達ができたり、寮でトラブルが発生したり、新しい家を探すのが大変だったり、色々ありましたが、やはり留学の最大の目的で、自分が一番充実感を覚えたのは大学での勉強だったなと思います。
博士課程は修士までと違い、授業がありません。その代わり研究者の卵として、自分で自分のテーマを設定し、一人で勉強します。リーズ大学の場合は月に一回(年に10回)、指導教官との面談があり、自分の研究が正しい方向に進んでいるか、自分が書いたものを読んでもらって、アドバイスを貰います。
でももちろん、1ヶ月のうちの大半は一人で勉強を進めるので、自分が進んでいる方向が合っているのかどうか完全には自信が持てず、いつも不安と背中合わせでした。
直近の面談が実はつい先週あったのですが、そこまで計5回、文字数が少なすぎる、論文としてのフォーマットがなってない、など小さなお小言も含め、書きたい論文計画の全体像は頭に入っているか、その道の大家である人の文献はしっかり読み込めており、活用できているか、などさまざまな点からアドバイスを貰い、先週ようやく「いい方向に進んでいるね」と一言褒めてもらえて本当にホッとしました。
学士、修士、と大学生をやってきた期間は長かったですが、こんなに胃が痛かった一学期もなかったなと思います。

そしてこの指導面談とともに、先週から新学期が始まりました。
初回はオリエンテーションと懇談会で、たくさんの同じ英文科の博士の人たちと知り合いになる機会に恵まれました。英文科はもちろんイギリスの学生がほとんどなのですが、インドや中国の学生もおり、とても国際色豊かです。
また先輩の博士の人たちの話や研究内容が聞けたのも、とても勉強になりました。
リーズは障害/医療方面から分析する文学研究が盛んなこともあり、一般的なバイロンの詩や、ヴィクトリア朝文化の研究だけでなく、障害学から見た性におけるテキストと執筆の間の研究や、病気に関連した現代詩における生と死の描写など、興味深いテーマをたくさん聞けました。
私がデフと文学についての研究をやりたいんだ、と言うと、みんなから聴覚と言語、そして物語との関連はとても興味深い、と言ってもらえたのは嬉しかったです。
これから12月までの短い期間、このメンバーでinduction course(大学のシステムや行事、博士課程の説明をしてくれるオリエンテーションのようなもの)を受けますが、たくさんのことが吸収できたら、と思っています。


写真は今回何をあげようかな、と思っていましたが、ハロウィンも近いので、ヨークの公園の素敵な幽霊の装飾の写真をアップしようと思います。派手な装飾のないさりげなさがイギリスらしくて私はとても好きなのですが、いかがでしょうか?

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Posted by 金本 at 23:36 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2023年9月「院生活2年目」鈴木美彩(18期生) 生活記録[2023年10月08日(Sun)]
2023年9月 第18期生 鈴木美彩 生活記録
院生活2年目

8月末、ついに院生活2年目が始まりました。この秋学期から言語学課程と手話教育課程を同時に進めていきます。さらに学期末には2年目の適正試験があり、合格しなければ言語学課程には残れないので12月に向けて準備を着実に進めなければなりません。六週目を過ぎたところですが、未だにルーティンが定まらず焦りもあります。学業以外にも色々なことに手を出してしまっているところもあるので一旦反省し、1つずつ優先順位を見定めて集中して行きたいと思います。

ギャロデットの言語学修士課程は1年目に Quals、2年目に Vivaという昇級試験があるのが特色です。1年目は筆記試験で、4時間の制限時間内に4つの課題に英語でタイプして答えるというものです。それに対して2年目は口頭試験形式であり、これまた4つの課題にアメリカ手話で答えていきます。制限時間は各問題に5分。合わせて1人20分の持ち時間です。1つの質問に5分というと長いと思うかもしれませんが、これまで学んできた言語学の内容を考えると、5分は圧倒的に足りないと感じます。それだけシンプルにコンパクトかつ核を捉えた答えが求められているというわけです。私はこれまで言語学のクラスはどれも課題が楽しく、大変さや辛さは伴うもののモチベーションを持って取り組んできました。しかし、プレゼンテーションなど手話を使って発表する形式のものはどうしても緊張感や嫌悪感が強く、選ぶテーマも気をつけて意欲的に取り組めるものを注意して選ぶ傾向にあると自分で認識しています。自分の苦手がわかっているのは良いことだと思うし、経験を積んで成長するチャンスなのですが、Vivaの試験を思うと今から胃が痛いです…。今学期履修している認知言語学IIIは毎週学生が論文読みのリーダーをそれぞれ受け持つので、そこで経験をしっかり積んで、Vivaの試験に備えたいと思います。

日本の大学では修士論文が卒業の必修となるところが多いと思いますが、ギャロデットでは違います。この2つの試験を通して卒業となります。私達学生は将来論文を書きたいと考えている人も多く、ギャロデットで論文を書く経験に関するカリキュラム内の比重が軽いことは1つのデメリットかもしれません。しかし、この筆記試験と口頭試験は知識を蓄え、それをすぐに本や論文なしに説明できるだけの知識と技術を目的としているので、重要な試験です。だから多くの学生は自ら先生と面談をして論文を書く機会や研究プロジェクトの機会を取ろうと努力しています。私も今学期からろう児の認知科学への関心をテーマにした1つのチーム研究プロジェクトに携わっています。学生同士のチームなので緊張もなくお互いが平等に発言し合える環境です。さて、私はこの経験以外にもフィールドメソッドという授業の中で実践経験を得ています。

このクラスの紹介をしたいと思います。フィールドメソッドは言語学課程の必修科目で、肝とも言える授業であります。手話のデータを収集し、分析するという一連の経験を積むのがこのコースの最大の目的であり、選択する言語は年によって異なります。未調査の言語が優先されることが多いです。学生はその言語の語彙、音韻、形態、構文など多方面から研究します。単位は4クレジットあり、2時間ずつ月曜日と水曜日に対面授業があります。月曜日は主に課題の論文や本などの読み物をもとに授業が行われ、様々な研究手法を学んだり、倫理問題について学生同士で議論したりします。IRB という倫理審査委員会に対する申請もようやく通ったので、いよいよ来週からは
実践に移ります。学生は様々な担当を分担し、データを集めていきます。私達の今年のテーマは「Gallaudet 🤙」です。すなわち「ギャロデット <イウ>」とは何かをキャンパス内における言語の多様性から分析していきます。これまでの知識を活かし、実践経験を積めることが楽しみでなりません。
Posted by 鈴木 at 13:24 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2023年9月生活記録【第18期生 田村誠志】[2023年10月03日(Tue)]
皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは。
Washington D.CとVA州を行ったり来たりしているこの九月ですが、天候は少々移り変わりがとても激しいこの頃でした。とても快晴すぎて猛暑だったと思ったら、急に大雨になり翌日には低気圧によって頭痛や偏頭痛になった人が複数名いました。日本の天候はいかがでしょうか...。快適であることを祈ります。


Gallaudet大学のクラスも4週間目、5週間目ぐらいとなりましたが一向にゆっくりできないぐらいたくさんの課題と仕事が増えてきています。大学院は本当にリーディングが多いと言われていますが...一つのクラスに四つのリーディングを出されることもあります。頑張りますが体を壊さないように気を付けていきます。私のスケジュールなのですが、リサーチアシスタント(RA)の仕事や、個人の研究プロジェクトも携わっておりますので、思ったよりハードです。でも後悔は...あるとしたら筋トレ(work out)ができなくなったことですね...。

少々私のリサーチアシスタントの仕事をこの場で紹介させていただきます。Gesture Literacy Knowledge Studio(GLKS)と呼ばれるラボで、主に表現者の動画のデータマネジメント、音韻論解析、質疑応答のためのフォーマット制作の仕事をしています。最初、この仕事に就いたばかりはジェスチャーと冠したラボの研究かなと想像していましたが、世界各国の手話言語も世界中にあるさまざまなGestureと切っても切れない関係があるので手話やジェスチャーの動画の収集をしています。このデータの量は遥かに多いので、職員一名と私、二人だけで管理するのがすこぶる膨大な作業です。しかし、この仕事の楽しいところはたくさんあります。異なる国からの聾者と交流したり、彼らの手話言語を観察・分析したり、ジェスチャーを起源とした手話言語のルーツを探ること、それぞれの国の手話言語を簡単に比較することができるマッピングプロジェクトを発展開発すること、日本手話や異なる国の手話言語特有の音韻的特徴を発見することができます。手話言語を通しての研究活動は、手話が大好きな私に創作意欲や生きがいを与えてくれると実感できます。

下の画像はGLKSのプロジェクトの一つです。世界中の手話単語比較マッピングプロジェクト(現在製作中)
IMG_3976.jpg

「世界」の手話です。
左からASL(アメリカ手話)、FSL(フィリピン手話)、JSL, RSL(ロシア手話)になります。
*プロジェクト責任者から許可を得て掲載しました。

他にも仕事がありますが、別の機会で投稿します。

もう一つ嬉しいことがありました。
私のハウスメイトですが、彼は健聴者であり私といつも話している時はスマートフォンでテキストを使って筆談をしています。しかし彼は私ともっと話をしたいと思い、ASL online lessonをこの秋に始めました。最初私は本当かな?と思ったのですが、家に帰ったらASL online lessonを学んでいる彼の姿を見てとても胸が熱くなりました。私の影響であると思うと、とても喜ばしいです。彼は70歳も超えているんですが、やっぱり学問に年齢は関係ありませんね!
Posted by 田村 at 09:59 | 奨学生生活記録 | この記事のURL