• もっと見る
聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
« 2023年05月 | Main | 2023年07月 »
2006/4/28ブログ開設時からのアクセス数
UL5キャッシング
最新記事
カテゴリアーカイブ
リンク集
最新コメント
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index2_0.xml
第13期 橋本重人奨学生、帰国[2023年06月20日(Tue)]
第13期 橋本重人奨学生、帰国

6月19日、第13期の橋本重人奨学生が留学を修了し、無事に日本に帰国しました。

Photo0.jpg
<羽田空港にて>

新型コロナウイルス感染症の影響で帰国時期を延ばし、感染が少し落ち着きをみせてきたこの時期に、日本帰国となりました。
留学先である米国ギャロデット大学大学院では、主にろう教育/発達障害の学びを深め、その後に米国のろう学校でも実践経験を積んできました。
これまでご支援くださったみなさま、ありがとうございました。

かわいい橋本奨学生の帰国報告会かわいい
 7月2日(日)午後1時〜、大阪府立男女共同参画・青少年センターにて開催
 会場、オンライン共、参加申込、受付中!
 *対面参加では、橋本奨学生他をざっくばらんに話しの出来る交流の時間もあります!
 *参加申込画面(こちらをクリック)ー6月28日(水)〆切

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 13:53 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
第13期 山田茉侑奨学生、帰国[2023年06月09日(Fri)]
第13期 山田茉侑奨学生、帰国

6月6日、第13期の山田茉侑奨学生が留学を修了し、無事に日本に帰国しました。

Photo.jpg
<羽田空港にて>

新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりで帰国を一時見合わせていたこともあり、大学院修了から3年を経て、ようやく無事に日本帰国となりました。
米国の大学院で、またろう学校で、ろう教育(親支援)の実践経験を重ねてきました。
ご支援くださったみなさま、ありがとうございました。

かわいい山田奨学生の帰国報告会かわいい
 6月18日(日)午後1時〜 東京海洋大学品川キャンパスにて開催

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 10:11 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
2023年5月生活記録【第18期生 田村誠志】[2023年06月09日(Fri)]
皆様、おはようございます、こんにちわ、こんばんわ

5月になりましたね。日本にいる皆様はそろそろ夏服の衣替えの準備をしている方もおられるのではないでしょうか?ゴールデンウィークの時期もあり、大型連休でゆっくりと体を休められることを願っています。

Washington D.C.やVirginiaでは気温が22〜26度ぐらいで、私は肌寒いから長ズボン履いています。しかしこの地域に住んでいる皆さんはもうショートパンツや夏服を着ているため、私が冷え症なのかなと錯覚してしまうほどでした。。。
ギャロデット大学では春学期が終わり、夏休みが始まりました。夏休みが始まるとすぐにルームメイトと一緒にグランドキャニオンへ行ったり、フロリダに行ったりと通常では行くことができない場所へ旅行しました。私は、3歳の頃にアメリカ西部に家族旅行で行ったことがあるのですが、覚えている内容は曖昧なものばかりでした(ディズニーランドだったと思います)。これを機に、もう一回アメリカ西部である場所に行きたく、アリゾナ州やグランドキャニオンに訪れることを聾者の友人に話したところ、アリゾナ州はとても快適な気候で楽しい所だと観光スポットをたくさん提供してくれました。特にホースシューベント(蹄鉄の曲がり目)と呼ばれる絶景スポットは人気がありますが、滞在期間は短かったので訪れる余裕はありませんでしたので、次回は友人と一緒に行こうと決めました。今回の旅行ではルームメイトと一緒に、ヘリコプターに乗ってグランドキャニオンを一望出来たのはとてもいい記念です。

アメリカの6月はLGBTパレードのために色々なイベントを準備している人がたくさんいます。このパレードのために演奏の練習をしたり、何日にパレードがあるのか情報交換したり、どの州にどんな催しがあるのか友達と一緒に調べたりして、すごい楽しかったです。私はたまたま運が良かったのかWashington D.C.のパレードを見に行ける日が空いていたので参加して楽しみで胸が一杯です。

私は、5月から言語学研究者のリサーチアシスタントとして仕事を続けながら、良い息抜きをしていますが、これから6月の中旬から4週間をかけて、マサチューセッツ大学アマースト校(Umass Amherst)で言語学のサマークラスを受講する予定です。どの講義を受講するのかは6月の生活記録に触れていこうと思います。正直な気持ちですが、ギャロデット大学では聾者たちに情報保障が満遍なく行き届いているため、学業や生活は英語とアメリカ手話言語でカバーできるのではないかと安心していました。しかし、他の大学では手話言語が常に利用できるわけではないため、情報保障や手話通訳を受けながらの学生生活やクラス受講には少し不安を感じます。ロチェスター大学やボストン大学に留学していた留学奨学生の先輩方も同じような気持ちを抱いていたのでしょうか。機会があれば尋ねてみたいです

では皆様もどうかお身体に気をつけてお過ごしください。
梅雨シーズンに向けて低気圧不調などの対策をしっかり。


写真はヘリコプターから撮影したグランドキャニオンです。
IMG_3334.JPG
Posted by 田村 at 01:09 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2023年5月「MASLED」鈴木美彩(18期生) 生活記録[2023年06月08日(Thu)]
2023年5月 第18期生 鈴木美彩 生活記録
帰国後を見据えた夏期


↓動画はコチラから↓


 前回、夏は講義を取る予定なのでまだ大学に通いますとお話しましたが、夏期のクラスも既に4週目を迎えました。授業は全部で5つとっていますが、言語学の選択科目ではありません。すべて、MASLED(M.A. in Sign Language Education)という手話教育学部の科目です。
 帰国後の活動計画において、手話言語学研究に取り組むことはもちろん最大の命題で、これまでもこれからも変わりません。中でも、手話に関する新しい資源作りに取り組むことを考えています。そこで、手話教育に関する知識を持っていれば通訳育成やろう教育など手話教育においても何か役立つ新しいリソース開発に役立てることができるのではと考えました。そして、日本ASL協会の担当の方と相談させていただき、受講するに至りました。大変ありがたい限りでございます。
 MASLEDの一部の講義は言語学の選択科目として単位互換ができる点もプラスになりました。手話教育と言語学は全く別物の分野とはいえ、言語を扱うという面では共通しています。一部に言語学の知識が活かせるところもあり、逆に手話教育の面から見た言語学についても学べます。学部生のときは社会福祉を学び、院では言語学、そして手話教育と、さらに新たな学びに目を見開く毎日です。

MASLED
↓動画はコチラから↓
https://youtu.be/hyhYfZF_zu4


現在受講している5つの講義を簡単にご紹介したいと思います。

1. ASL 709 Sign language Media Production
 手話メディア制作
 David Davenport 先生
 手話動画を使ったメディア制作に役立つ技術のノウハウを学びます。より質の高い動画を制作するためのスタジオセッティングやカメラの細かいマニュアル設定などを勉強します。撮影したデータの編集も行います。Final Cut Pro X というソフトを用いて動きやエフェクトを加えます。

2. ASL 724 Sign Language Lnguistics for Sign Language Professionals
 手話専門家のための手話言語学
 MJ Bienvenu 先生
 言語学を学んできたのでその知識がkの授業では役に立っていますが、手話教師としてある程度言語学について知っていなければならないので、言語の構造に関する研究の種類や、社会の中の言語について、言語イデオロギーや言語態度、標準語と方言の関係性についてなど、言語学を幅広く学びます。言語学部では取り上げていない学問横断的な内容も多く紹介されています。

3. ASL 741 Methods of Sign Language Teaching
 手話指導の方法
 Pauline Burcham 先生
 タイトルの通り、手話を教える様々な手法について学びます。以前、日本でNPO法人手話教師センターが開講しているナチュラル・アプローチ手話教授法を受講しましたが、これも様々なメソッドの中の1つであります。この講座では理論から日本手話への応用方法、ディスカッション、実践と、一通りやりました。現在、授業では様々なメソッドの名前と理論を学んでいます。来週の対面クラスからは実際にアメリカ手話への応用を学ぶので楽しみです。

4. ASL 743 Curriculum Development for Sign Language Education
 手話教育のためのカリキュラム開発
 Curtis Radford 先生
 カリキュラムとは授業におけるあらゆるコンテンツ、例えば学習到達目標、つまり学生に言語を教えた後、どの程度のレベルに到達していることを目標とするかやその経緯、内容など事前に準備されたものです。その開発方法について学びます。

5. ASL 750 Assessing Sign Language Skills
 手話技術の評価
 Raychelle Harris 先生
 手話教育においては評価が欠かせません。わかりやすいもので言えば、テストです。学生はテストを受けて点数をもらいますが、その点数は評価です。他にも、教室内で学生が正しい手話を忘れたとき教師がそれを発見し、正しい手話へ誘導するのもアセスメント、評価に含まれるそうです。様々な評価方法、ツールがあり、それを学びます。

現在はオンデマンド形式で動画視聴や本読みの後、クイズや課題を解いて、自分の意見を英語やアメリカ手話にまとめたりと、ひとりで寂しく進めています。MASLEDは手話教師として働きながら修士を取りたいというニーズも高く、夏にまとめて集中講義を行う形にデザインされています。はじめの一ヶ月はオンデマンド形式、後の一ヶ月はアメリカ各地からギャロデット大学へと一箇所に集まり、殆どの学生は寮に泊まって、対面講義を朝から晩まで毎日集中的に行う形になっています。私はメリーランド州に住んでいるので通う形で受講します。言語学部と違って学生数が30名と多人数です。ろう者がほとんどであることも、言語学部とはまた違った雰囲気です。だから対面講義がどのような感じになっているのかますます楽しみです。
Posted by 鈴木 at 11:20 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2023年5月「ヨークシャー地方と文学」金本小夜(19期生)[2023年06月05日(Mon)]
こんにちは。
日本ではそろそろ梅雨入りの頃でしょうか。リーズも、ようやく陽の光が暖かくなってきましたが、それでも風は冷たく、最高気温が20℃を超す日は滅多にありません。私は未だにヒートテックとセーターを重ね着して図書館に通っていますあせあせ(飛び散る汗)

さて、今回は私の趣味(そして専門でもある)の英文学について語ってみようかなと思います。

イギリスがイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの四つの「国」から成り立っていることは知っている人も多いと思います。
今私がいるリーズという町はその四つのうちの一つ、イングランドの最北端に位置するヨークシャー地方の一都市で、私が去年過ごしたヨークもまた、ヨークシャー地方の中にあります。
このヨークシャー地方、英文学ではよく「荒れた土地」として登場するほか、宗教的にも重要な意味がある土地で、この辺りを舞台にした文学は案外と多いのです。

最初にご紹介したいのはブロンテ姉妹。『ジェイン・エア』で有名なシャーロット・ブロンテ、『嵐が丘』で知られるエミリー・ブロンテ(そして末っ子のアン・ブロンテもいくつか作品を出版している)はリーズ近郊の、ハワースという小さな町で生涯を送りました。特に『嵐が丘』はヨークシャー地方の荒々しい景色の描写が美しい作品で、ハワース近郊に広がる荒地(英語ではmoorと呼ばれる)にはブロンテ姉妹が作品のアイデアを語り合った滝のある岩場や、嵐が丘のモデルになったと噂されている廃屋が残っていたりします。夏場にはヒースの花が咲き誇り、見渡す限り真っ赤な大地が広がるのだとか。私は昨年3月に訪れましたが、いつか夏にも行ってみたいです。

『嵐が丘』のモデルの廃屋
20220415_113530155_iOS-a4e05.jpeg

ブロンテの家族が住んでいた家で今は博物館となっている建物
20220413_170242353_iOS-c887f.jpeg

よく知られた児童文学作品である『秘密の花園』もまた、ヨークシャーが舞台です。主人公メアリーはインドで両親が死んでしまい遠い親戚の家に引き取られるのですが、この親戚のお屋敷がヒースの荒野の真ん中に立っています。イギリス人であるメアリーですら、moorという言葉を知らず、ヒースの荒野を見た時には「これは海なの?」と驚きます。ヨークシャーはまた訛りの強い地域でも有名で、本作に登場する地元の人たちのセリフは実際に発音に忠実に書かれているようです。例えば召使のマーサのセリフ”Canna’ tha’ dress thysen!”、おそらく一般的な英語なら“Can’t thee dress thyself?”(あんた自分で自分の服も着られないのかい?) ではないかと思われますが、この直後にメアリーは正直に“I don’t understand your language.”(あなたの言葉全然わかんない)と答えています。もちろん、私も原文で読んだら全然わかりません笑

↓写真はハワースの荒野です。赤黒い植物がヒース。ヒースの生える地面は湿地であることが多く、下手に歩くと足がはまって危険です。
20220415_092907337_iOS-c4ecf.jpeg

20220415_114611296_iOS-c0d33.jpeg

またリーズはそうでもないのですが、ヨークの方は町としてとても歴史が長く、古くはローマ帝国がイングランドを征服していた時の最北端の拠点としてほぼ2000年の歴史を誇り、その渦中で建てられたヨーク大聖堂はイギリス国教会(イギリスで信者の多いキリスト教の流派の一つ)の重要な立ち位置にあります。
それもあってかヨークは度々シェイクスピアの作品にも登場し、『ヘンリー四世』では戦争を裏から操る黒幕として、『リチャード三世』ではリチャードの故郷兼拠点として出てきます。ちなみにこのリチャードの遺体が10年前の2012年、リチャードが最後に戦争をしたボズワースの近郊のレスターという街で、なんと駐車場の下から発見されたのですが(そしてレスターとヨークでリチャードの遺体を取り合った末、ヨークが負けました…。)この発見のおかげで、リチャード三世は生まれつき背中が曲がっていて、腕も足も満足に動かなかった、つまり身体障がい者だったらしい、ということが証明されました(脊椎湾曲症だった、という説が有力です)。私がやっている障害学でも『リチャード三世』はよく取り上げられる作品で、外見が醜い=悪役、という表象はいかがなものか?というテーマでよく出てきます。

ヨーク大聖堂
20220216_170344782_iOS-c052d.jpeg

聖堂内にあるステンドグラス
白イノシシが2体盾の脇に立っているのがリチャード3世の紋章
20220225_141619089_iOS-be6be.jpeg

あとあまり知られていませんがウィットビーという港町はブラム・ストーカーが『ドラキュラ』を書く時、ドラキュラ伯爵がイギリスに流れ着いた時の町として登場しました。『ドラキュラ』が執筆された頃にはすでに廃墟だったウィットビー修道院は今でもどこか暗い気配が漂います。また併設する博物館にはドラキュラ関連の資料がたくさんありファンには見応え満点です。

6月でも寒々しい海
20220605_102031760_iOS-743ca.jpeg

ウィットビー修道院跡地
20220605_141137321_iOS-e7787.jpeg

ほかにもヨークは20世紀最大の詩人の一人W・H・オーデンの出身地だったり、ヨークにあるシャンブルス通りはJ・K・ローリングが『ハリー・ポッター』執筆時にダイアゴン横丁のモデルにしたと噂されていたり、リーズ大学では『指輪物語』の作者トールキンが1920−1925年、オックスフォード大学に移る前に教えていたり…、と小さなエピソードがいろいろあります。ちなみに『オリバー・ツイスト』や『クリスマス・キャロル』の作者として知られるディケンズはリーズが嫌いだったようで”I particularly detest as an odious place”(下劣な場所で嫌悪感しか湧かない)などと手紙に書かれた、という逸話もあったりしますたらーっ(汗)(リーズはヨークと違い、19世紀以降羊毛工業で発展した都市なので、ヨークほど情緒がないのです…)

シャンブルス通りはこんな感じ。なんと15世紀から建っている建物もあります!
IMG_1173-6043d.jpeg

…好きなことを話していたら随分長くなってしまいました。
来週は指導教官との面談、論文の方向性も少しずつ固まってきているので、次は自分の研究のことなどもう少し書けたらな、と思っています。
Posted by 金本 at 21:56 | 奨学生生活記録 | この記事のURL