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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2022年10月 第18期生 鈴木美彩 生活記録[2022年11月07日(Mon)]
2022年10月 第18期生 鈴木美彩 生活記録 イベント盛り沢山
↓動画はコチラから↓
https://youtu.be/jWNAktEn--8

※これまでInstagramのリンクをシェアしてきましたが、一部の動画が見れない問題があったためこれ以降はYoutubeのリンクを貼り付けます。これまでの投稿にもYoutubeリンクを追加いたしました。よろしくお願いいたします。

ギャロデット大学はろう・難聴者のために作られた世界で唯一の大学で、ここでは頻繁にイベントが開かれます。1400以上の学生の中には聴者もいますが、アメリカ手話という共通言語があるからこそ、他で得られない経験がここにはあります。

以前ご紹介したバイソンフェスタや最近開催された日本でいう文化祭のようなホームカミング(目玉はアメフトの試合)などの年行事だけでなく、日々の大学生活の中でも毎週何かしらのイベントが行われています。毎週の昼休みや空きコマ、授業が終わったあとの夕方や夜などです。また、金曜日は授業があるクラスが少ないので、大きめのイベントが開催されたりします。先日は通訳学部による企画があり、言語学の博士生が通訳に応用できる言語学の話をするとのことで、参加させてもらいました。10月31日に近づくと通訳学部と言語学部の共催のハロウィンパーティーが開かれました。食事とともに交流やゲームを楽しんだそうです。学生同士でも声を掛け合って個人的に学習会を開くこともあります。課題が片付いて空き時間を作ることができたら、ここぞとばかりにイベントへ参加しています。

これまでに参加したイベントをご紹介します。

APIA(アジア系の学生団体)による秋祭りでは、中国の文化を体験しました。月餅をみんなでシェアしたり、中国発祥のスポーツ、「ジェンズ」羽のついた重りを蹴り合う蹴鞠のようなものをやりました。

学内のみにとどまらず、ギャロデット大学の近くにあるビール専門のバー「レッドベア」では、アメリカ手話のイベントもよく開かれます。大学に近いこともあり、特にイベントがない日でもアメリカ手話を使うお客さんをよく見かけます。
先日はここでASLトリビアが行われ、参加してきました。アメリカ手話でクイズを出題し、チーム対抗で得点を競い、優勝チームには一人ずつ賞金が与えられます。私は遅れて参加したので見ているだけでしたが、クイズの内容はハロウィンが近づいてることもあり、ホラー映画のポスターを見て映画のタイトルとキャラクターの名前を答える問題がありました。

11月2日には、メキシコの文化「死者の日」故人を偲ぶ日で、そのイベントがオープンエリアで行われました。特別な料理がふるまわれ、文化を紹介するポスターが貼られていました。様々な人とお話し、交流を楽しみました。

学内の劇場では、DCの非営利団体による劇場からろうの劇団が来場し、「ISM」の演目が行われました。ISMはイズムのことで、オーディズム(聴能主義)やエイジズム(年齢差別)、ジェンダーイズムなど様々な差別について、自身の経験にもとづいた一人芝居が集約された舞台です。

アフリカの夜を祝う会ではアフリカの様々な料理が出され、それぞれの国の代表的なダンスや文化が紹介されました。

私達のいる言語学部では、手話の音韻について研究したストーキーの隠された物語という題目で講演会のイベントが開催されました。とても興味深い内容だったので次に述べたいと思います。
Posted by 鈴木 at 05:04 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2022年10月生活記録【第18期生 田村誠志】[2022年11月04日(Fri)]
皆様、おはようございます、こんにちわ、こんばんわ

日本の秋はどのようにお過ごしでしょうか?
こちらはギャロデット大学院の中間試験を終えて、一息ついております。しかしまだまだ学ぶことはたくさんありますので休憩できる時間はあまりなさそうだなぁと思いました。また大学では秋のイベントがたくさんあり、ハロウィーンのイベントが特に盛り上がりましたね。私が住んでいる家の周りも子供たちがたくさんお菓子を集めるために駆け回っております。


さて、今回のブログの記事は、私が現在受講している「Cognitive Linguistics」について説明したいと思います。和訳すると...認知言語学です。認知とは一体なんなのかというと説明がかなり難しいですね...(笑)
全ての人々は物事を認識する能力が備わっており、その能力は主に自分がこれまで経験したこと、実際に見た世界によって培われていきます。しかしその認識能力を使い、相手にどのように表現するか?手話で表現するのと、話し言葉で表現するのと違いは何か?そして言語学者はその認識能力から生まれた言語をどのように分析するのか?これらが本クラスの基本的な学習内容です。

ここで例を見せましょう。
とある「シチュエーション」… つまり私たちが目の前にある「状況」を目で見て認識します。
ワイングラスに半分入った水の「状況」を見てあなたはどう思いますか?
ある人から見たらまぁまぁ水が入っていると思いますし、別の人から見たら不十分だと思うかもしれません。この「認識の違い」がとても重要なのです。この「状況」を「conceptual content」と呼び、人々がそれを見ることでイメージして「construal」(概念という意味です)を形成することができます。
しかしここから人々に伝えるための言語はどうすればのでしょうか?もし話し言葉や書き言葉で伝えるとき、「ワイングラスにまぁまぁ水が入っています」「ワイングラスには水が不十分だけど入っている」というかもしれないでしょう。文章ではより正確な描写が出てきません。
そこで手話表現だとより正確に水が入っている描写を表現できます。この描写をconceptualization(概念化)と言います。手話による概念化(簡単に言えば表現方法)は大きく分けて三種類(semiotic mode)ありPlain form,Indicating form, Depictive form,となります(手話表現による描写の例はここの動画リンクをクリックしてください)

このsemiotic modeについて基本的な分析のコンセプトを学んでいきます。例えばASLでは実際の木からイメージして手話を作り出しますね。木というシンボルから手話を概念化するのをiconicと言います。これは描写がなく特徴も何もない概念化された「TREE」の手話です。この時ASLによる「TREE」の表現は掌を振っていますが、実際に「TREE」はそこまで激しく揺れていますか?実際にはそこまで揺れていない木もあるならば手を振らないでそのまま停止することもできますがほとんどの人はそれを「TREE」と認識しないでしょう。このように手話表現はそのシンボルの通りですが理由や影響を受けて手話が形成されます。このことをiconic motivateと呼びます。
このiconic motivateにはより描写を表現するかそうでないか(foreground or background)の2種類があり私たち認知言語学者はその分析に気をつけなければなりません。

話は少し戻りこの描写表現(depiction form)はよりカテコライズ化され、「VP-internal」と「VP-external」と大きく二つ分けられていきます。「VP-internal」は主に手話表現者が登場人物になりきって、登場人物の視線や経験、顔の表情を演じながらdepictive formの手話を表現をします。その時のsigning space(手話の範囲)は自分を取り込み、自分の視界全体に適用されます。例として魚が泳いでいる姿を自分に例えると、自分が魚の目線になり「泳ぐ」という手話を繰り出す。この概念化がdepictive formでありVP-internalなのです。
一方、「VP-external」はsigning space(手話の範囲)は自分の手の範囲だけであり、自分の視点ではなく第三者の目線として手話表現をすることです。例として魚が泳ぐのを、手で魚の手話を表現をする。この時、手の範囲だけdepictive formになります。ここまでが手話による認知言語学の基礎理論と分析方法です。
この手話言語による認知言語学のアプローチは人々が話している手話言語はより描写的であること、そして言語学者から見れば様々な手話言語は全ての人が持つ認知能力に基づいてどのように表現できるのか、その定説や根拠を証明できるのです。実際に手話による認知言語はかなり昔からアプローチをしており、現在も本大学の教授や博士たちが研究しており新しい理論を唱えております。


このような初歩的なdepictive dformの理論と分析を繰り返しながら日々勉学に勤しんでいます。
写真は中間試験を終え、ギャロデット大学の日本人聾者たちと集まってお食事に行ったワンシーンです。
第2期生:高山亨太様 第16期生:皆川愛様
第18期生:鈴木美彩様
写真掲載のご協力をありがとうございました。
image_6483441.JPG
Posted by 田村 at 03:34 | 奨学生生活記録 | この記事のURL