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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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第18期留学奨学生、募集中! 〆切まであと1ヶ月![2021年07月15日(Thu)]
第18期留学奨学生、募集中!〆切まであと1ヶ月!

現在、第18期海外留学奨学生(給付型)を募集中!
日本やアジア諸国の聴覚障害者の社会的地域の向上、聴覚障害者コミュニティやろう教育機関等の発展を担うろう者・難聴者・(一部の聞こえる人)の海外留学を支援します!

キャプチャ.JPG

応募〆切まで、あと1ヶ月となりました。
留学に関心のある方など、ぜひ一度アクセスしてご確認ください。

<募集内容の詳細>   ↓クリックすると募集内容のページが開きます
Flyer.jpg

  ●応募に必要な書類等
  1)申込書
  2)留学計画書
  3)推薦状
  4)外国語能力を証明する書類の写し

  ●よくあるご質問 ←クリックしてください

<応募〆切>
2021年8月15日(日)


みなさまからのご応募、お待ちしていますexclamation

事業担当 根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 00:52 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
2021年6月生活記録【第16期生 大西啓人】[2021年07月08日(Thu)]

こんにちは!
夏季講義を無事に終わり、留学があと1年となりました。
これまでの1年間は手話で議論しながら知見を深める環境で様々なことを学べて、非常に有意義な1年間でした。最初はASLと英語に苦戦し、授業についていくのに精いっぱいで意見や質問もなかなかできなかった自分に対し、1年経った今ではほとんどの内容は読み取れるようになり、意見や質問も気楽に発言できるようになりました。比較してみるとASLや英語力がかなり成長したと実感しています。
これだけではなく、教育における知識や価値観などにおいても、日本と似ているところもありますが、アメリカ特有のものもあり、新しい視点も取り込みながら学習でき、充実した1年間を過ごすことができました。
残りの1年間は研究活動が中心になりますが、授業を通して貪欲に様々な視点や知識を吸収して、これまでの経験やこれからの経験を糧にして、さらなる成長へ活かせられるように頑張ります。

さて、今月のテーマは前回に続き、「教師の役割」について考えたいと思います。
前回では、教育メディアにおける重要性や有効性、中高生への仮説など説明しました。教育メディアはリテラシー能力や読解力、語彙力、様々な分野への影響は大きいです。研究では、ろう児が生まれて早い段階で手話言語に触れることで手話言語に触れていないろう児より高い識字能力を示すことが多いと述べているため、ろう乳幼児のための教育メディアは多くのろう学校で必要とされています。

しかし中高生のための教育メディアはまだその有効性や影響力について調査している研究は少ないため、明らかになっていません。

ただ教育メディアを求め、授業や教室内に取り入れるだけで、ろう児の識字能力は向上するのでしょうか?
実際にこれだけでも向上できますが、さらに教師がどう動くかによって、識字能力だけではなく、アイデンティティなど様々な視点から、より高い影響を与えることができます。
前回紹介した教育メディアで使われたビデオを用いて、教師からのサポートを行うことによるろう児たちの学びを研究した論文があります。

この論文では前回紹介した教育ビデオを視聴した後、教室の様子や教室内活動を観察し、その影響力を調査したとされています。実際に行われた教室内活動は「語彙」「ワードゲーム(グループと個人)」「物語」「概念」「順序」とテーマごとにろう児は教師と一緒に復習するなどを行いました。ここでの活動は言語獲得(ASL語彙、ASL文法構造など)リテラシー能力(英単語、内容理解、知識など)を意識していたそうです。教師による教室内活動を観察することを通して、ろう児たちのリテラシー能力関連の行動(書く、読む、理解するなど)を調べるために「行動意義」「行動基準」「行動頻度」をスコアにまとめたり、語彙テストを活動前後で実施したりして、調査しました。

結果として、
・語彙能力について、視聴後(活動前)と教師による教室内活動後の2点を調べ、参加者の平均語彙スコアが以前より高かった
・ビデオ視聴や教室内活動中に英単語、内容理解などのリテラシー能力について、教師と対話することでより利益を得ることができた
・実際に活動に関わった教師に教師による影響力についてほとんどが肯定的だった

以上でわかるようにろう児の場合、教師による影響力でより高い識字能力へと成長できるとなっています。教師の役割について理解したところで次は中高生における教師の役割について考えたいと思います。

別の研究論文で英語教育を受けた外国人の経験をインタビューでまとめたものがあります。日本も第一言語が日本手話または日本語になっており、英語は外国語として学びますね。同じように外国語として英語を学んだ経験のあるろう者にインタビューを行い、収集したデータを基に何ができるかについて議論されていました。
研究では4人のろう者チェコ人に経験をインタビューし、「学習経験」「モチベーション」「指導様式」「学習戦略と自主学習」のテーマごとにまとめました。インタビュー中に語った経験を読んで、私が過去に経験したものと類似しており、同感できる点がたくさんありました。例として以下に経験談を書いていきます。

【学習経験】
・語彙ばかりで他の学習がなかったため、かなり退屈だった。
・語彙を練習することの繰り返し、他のことを学ぶ機会がなかった。
・授業のはじめに宿題を確認して完了した後、文法や語彙を教師から説明を受けて、各々複数のプリントを取り組むだけの授業だった。(一方的な展開でコミュニケーションがない)
・つまらなかったため、授業に集中しなかった。

【モチベーション】
・旅行や留学での経験を使って、子どもたちに興味を示すようにしていた。
・語彙と構文を学ぶために様々なテーマで家庭教師とメールを繰り返すことで、間違いを訂正できた。
・英語に興味があったのに中学校での英語指導に失望し、モチベーション下がった。
・英語を学ぶことに対して、「問題があるから」「苦戦しているから」「強制されている」「義務だから」などで説明されて、意義がわからなくなった。

【教育様式】
・授業中、すべての時間を手話でコミュニケーションをしていた。
・基礎手話しかわからない教師の場合は通訳をつけていた。
・英語における口話発音教育が行われていた。
・一般学校で使用される教科書だったため、ヒアリングを要する問題から何も学ぶことができなかった。

【学習戦略と自主学習】
・語彙や文法構造を説明する際に、写真だけではなく絵を書くことで説明していた。
・自分の語彙をあげるためにわからない英語は英語で書かれている辞典を用いて調べていた。
・字幕付きのビデオ、映画、興味のある分野の本などを読んでいた。

見てわかるようにこれらはすべて教師によって大きく左右されてしまい、教師による子供たちへの影響力は非常に大きいとわかります。この研究は、教師は慎重に考えなければならないことを示唆しています。これらの経験は生徒として英語指導を受けた経験をまとめているため、生徒側からの視点になります。生徒側にとって何が一番望ましいか、どんなニーズをもっているか、何に苦戦しているかなど生徒たちの実態に基づいて、影響力を自覚しながら教師が知っている知識をどれだけ活用できるかが鍵になります。上記にある実際に感じた生徒視点での経験を読んで、教師がやるべきなことは何か、考える機会となればと思います。
私は論文や他教室から参考した理論や指導法を自分のクラスに取り入れても生徒にとって危険であると、この論文から学びました。例をだすと、前回のブログから教育メディアは有効性があるため活用するべき!とも捉えることができます。そこで私が教育メディアに効果があると信じ、授業に取り入れて実施していても必ず効果があるとは限りません。もしかしたら何らかの悪影響を与えてしまうこともあるかもしれません。生徒のニーズに合っているかどうか、戦略としてこれが望ましいのかを考え、慎重に検討するべきだと考えます。

また、教師の役割を考える際にこれといった具体的な役割ではなく抽象的であると思います。ただ私の考え方は教師として何ができるのか、生徒のために何が重要かなどを正確に見極め、それに対応できるように多くの引き出しを用意できるようにするべきと思っています。だから私が思い描く理想の教師像のために多くの知識、経験を積むためにこうして留学しています。このように教師は自分なりに学校から生徒から保護者から何が求められるか熟考しながら、自分にとっての「教師の役割」は何か、自分ならできることは何か考えるといいかもしれません。
2つの論文からモチベーションを維持できるように何ができるか、生徒が自主学習で効果を実感できるようにどんなサポートをするか、など常に考えながら取り組まなければならないこと、また教師による影響力はかなり大きいものと認識して、慎重に動いていかなければならないことを学びました。当たり前ですが、生徒たちの未来を肩にかかっているため、重大な責任があることも忘れていけません。

こうして私は論文を読んで、教師における役割、教室内で教師ができることを改めて考えさせられました。このブログで多くの人も改めて考えさせられる機会となれば幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

【参考】
・Golos, D., & Moses, A. (2015). Supplementing an educational video series with video-related classroom activities and materials. Sign Language Studies, 15(2), 103-125. http://www.jstor.org/stable/26190975

・Jitka Sedláčková, Edit H. Kontra(2019), Foreign language learning experiences of deaf and severely hard-of-hearing Czech University students, Pedagogická orientace, 29(2). https://doi.org/10.5817/PedOr2019-3-336

・2021, June 08. 2021年5月生活記録【第16期生 大西啓人】. Canpan. https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/1325
Posted by 大西 at 02:05 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
オンライン座談会”留学のススメ” 留学奨学生に聞いてみよう、第3弾開催[2021年07月02日(Fri)]
オンライン座談会”留学のススメ” 留学奨学生に聞いてみよう、開催

去る6月27日(日)、海外留学や留学奨学金事業をもっと知ってもらおう第3弾、留学奨学生と一緒にZoomを使ったオンライン座談会&留学奨学金説明会を実施しました。

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進行役の武田理事・4期生(右上)、奨学生からは辻10期生(右下)と大西16期生(左下)

今回は、辻10期生と米国留学中の大西16期生に参加してもらい、テーマ「留学準備のいろは」で話を進めました。
留学する目的、動機から留学先選定や出願までのプロセスや準備、留学奨学金応募へのスケジュールなどをステップ1〜6に分けて、順を追って伺いました。出願条件では、大西16期生がギャロデット大学を例に挙げ、実体験を交えて説明してくれました。条件を満たす出願先を決めたら、留学生の出願〆切日を確認し、そこから逆算して、いつまでに何をやる必要があるのか、余裕を持った計画を立て、行動していくと良さそうです。
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全3回の進行役を担当した武田理事・4期生(下写真)。
留学形態・先は、日本での最終学歴や専攻の学位を持っているかも関係する。場合によっては大学に編入となるケースも。自分の最終学歴に合わせて検討も良いかも。
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辻10期生は(下写真)、カリフォルニア州立大学チコ校ビジネス学部卒業(学士号取得)。
起業する方法や考え方を学びたくて、起業家の多い米国留学を決意。進学先調べの情報収集も、ASL力を上達させるのも、積極的に動くことが大切。
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大西16期生(下写真)は、ギャロデット大学大学院教育学部1年目。
日本でASL講師からのプライベートレッスンを受講して専門用語のASLを教わり、プレゼンの仕方(構成や表現力等)のアドバイスもらい、修正を重ねて出願時提出物のASL動画を収録。知っている人に相談するのは良い。
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参加してくださったみなさま、ありがとうございました。

<*2021年度 第18期生 募集中(8月15日〆切)*
なぜ留学したいのか、留学して何を学びたいのか、留学の目的を明確にして(整理して)、自分に合った留学先を探してみよう!

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 11:49 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL